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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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進化するヴィーガンフード

そごう・西武のストライキ決行が大きく報道されていますが、世間はおおむね静観の構え、どちらかといえば冷ややかな雰囲気を私は感じます。今回のような騒動に至る複雑怪奇な経済の流れは、私のような凡人には理解の範疇を超えており、「今後の推移は?」という興味しかありません。

百貨店とはラグジュアリー感で差別化する商業施設であり、それを求める層にとって集いの場であると私は理解しています。デパ地下の食品フロアでは、買い物する楽しさ、喜びがスーパーマーケットとは数段違います。吟味された多種多様な品揃えゆえに当然ながら単価も高くなりますが、まさにワンランク上のひとときを満喫できます。普段の買い物とは一味違う、ゆとりや余裕を求めているのかもしれません。

私はデパートへ、買い物という単なる作業ではなく “お散歩ショッピング” という趣で週一回ペースで出かけています。高級時計や宝飾品、著名作家による工芸品や家具など、気軽に手を出せないハイブランドの美しい佇まいを見て歩くだけでも、一時の満足感が脳を刺激して元気になるものです。気分だけかもしれませんが。

話題は再び食へ。欧米発のヴィーガン料理に対してもデパ地下は敏感で、近頃はそれらを支持して買い求める客が増加しているという話を、外商担当さんから聞きました。進化し続けるヴィーガン料理をいち早く取り入れてきたデパ地下の戦略は、バイオテクノロジーを駆使して開発する食品メーカーと、優れた料理人の技術と感性を引き合わせ商品化するものです。その結果、馴染みのある風味と味わいに仕上がった、抵抗感なく楽しめるヴィーガン料理が続々とお目見えする訳です。

これらヴィーガン料理のように、ラグジュアリー感を感じさせるのには「新たな価値の創出」も重要です。日本の食品業界が日々の研究開発、また時には海外諸国との技術共有で生まれる商品(情報)の発信基地。それがデパ地下の役割なのでしょう。

今後、西武池袋本店には大手家電量販店が入店し、またLVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン社)などの高級ブランド店がこれまでの売場を入れ替え・縮小されるとの噂に賛否が分かれていますが、デパ地下と高級ブランドの存在感を守り抜く事こそが、そごう・西武のアイデンティティであると胸を張って消費者に向き合っていただきたいですね。

そごう・西武の魅力もさることながら、私は日本橋三越派です。駐車場出口側にある「紅葉川」の鴨南蛮つけせいろを食べる楽しみも兼ねていますので。

戒名

私の父が昭和22年に日本パン菓新聞社を創業して今年で76年、私も76歳となりました。父は平成5年9月15日に亡くなり菅田家の菩提寺、品川区小山の法華宗・長應寺に埋葬されました。「秀鳳院慈源日松居士」の戒名をいただき、250年近く続く菅田家代々の墓、七基並んだ真ん中の墓石の下に遺骨が眠っています。

私は父の意思のもと日本パン菓新聞社を受け継ぎ、当時父と親交の厚かったオリエンタル酵母工業の竹澤勝三郎社長(当時)に薦められ、武蔵境に新たに献堂された「池の上キリスト教会」にて洗礼を受けました。

私の母も平成15年に救世軍中野記念病院に入院していた時に当時の島津牧師により洗礼を授かりました。洗礼の3年ほど前から認知症を患うも深刻な病状ではありませんでしたが、平成15年に脳梗塞を発症。以前より抱えていた胃ガンも進行が早く、救世軍杉並小隊朝野中将様のお祈りの中、穏やかな表情で天に召されました。

母の葬儀が終わり、遺骨は八王子霊園内の池の上キリスト教会の納骨堂に納め、墓誌には菅田つる子の名が刻まれました。

今年のお盆を前に、家内と相談して母も父の眠る長應寺の墓石に戒名をいただき、その生涯を刻もうと決めました。遺骨は八王子の納骨堂に残し、形見の品を父の骨壷の隣に納めましょうという事で住職に相談したところ、父と同格という「慈温院妙吟日容大姉」の戒名をいただきました。俗名・菅田つる子、平成15年10月18日、享年81歳。金色で筆書きされた立派な位牌も仏壇の父の対面に並びます。

なんだかホッとする気分で仏壇を見つめていると、時間を巻き戻しているかのように、今までの親不孝やさまざまな事が走馬灯のように巡ります。

焼きたてバゲット

2023年のお盆は、日本に上陸した2つの巨大台風がインフラに甚大な影響をもたらしました。超ド級の大荒れ天候を伝えるTVニュースを複雑な思いで食い入るよう見続ける休日になりました。

天災のニュースは国内のみならず、大好きなハワイでは大規模な山火事が発生しました。マウイ島ラハイナ地域を中心にハリケーンの強風にあおられて延焼が拡大し、現地に住む方々の “今までに体験したことがない被害” というコメントから深刻さが伝わってきます。ハワイ州政府は緊急事態宣言を発令、米国政府も総力を挙げて支援するという大統領の談話がありました。世界中から支援表明が届いていますが、ラハイナタウンの復旧には途方もない金額と年月を要するそうで、度々訪れていた私達夫婦にとって決して他人事ではありません。

お盆明けの17日、「日本国内の一部地域を除いて35度を超える猛暑が当分続く」と伝えるウエザーニュースのとおり、私の住む新宿界隈も強い日差しが戻ってきました。経済成長を最優先する結果、人類は地球温暖化のツケを溜め続けています。未だ理不尽な戦争を続ける国や自国第一主義を貫く利己的な大国のエネルギー政策、発展途上国の取り込みによる乱開発により、地球のオゾン層は悲鳴を上げています。

いま我々は何をすべきか? ……と考えても格好良い言葉は思いつかないし似合いもしませんが、せめて日々のルールを守り寄付と祈りを捧げ、“今を生きる” ことに徹する。そんな思いに至った瞬間、南仏の美しい港町・プロヴァンスにて、漂ってきた香りにつられて購入した焼きたてのバゲットの味を思い出しました。

思わず近所のデイジイ西新宿店に電話。

「バゲットの窯出しは何時ですか?」と訊くと、今焼き上げたバゲットが1本
だけ残っていますとのこと。すかさずキープをお願いして店舗へ車を走らせゲット! 帰りがけに行きつけのカフェに寄り、オーナーとたまたま居合わせた友人と分け合って、焼成60分以内のフレッシュな逸品を頬張りました。

フランスのパン職人M.O.F.(国家最優秀職人章)であるティエリー・ムニエ氏のレシピによるバゲットを、クーラーの効いた部屋で食べられる幸せ! 少々バチ当たりにも感じる贅沢に感謝しつつ、一日も早く世界中で穏やかに幸せを感じられる日常が取り戻せますよう祈ります。

NOBU

昭和23年5月、弊社発行の「日本パン・菓子新聞」が創刊。そして本年2023年に75周年を迎えることができました。

節目にあたり、弊社を支え共に歩んできた多くの方々をお招きして記念レセプションを開催しました。会場はNOBUレストラン東京。青山から虎ノ門に移転して16年、変わることのない人気を誇る、国内唯一の “NOBU” です。

オーナーの松久信幸さん(ノブさん)との出会いは遡ること15年ほど前。
当時の住まいだった六本木界隈を家内が愛犬と散歩していた折、数あるお洒落なレストランの中から見つけたことがきっかけでした。外観や内装の雰囲気、料理の美しさとおいしさに魅了され毎週のように通ううち、2ヵ月に一度 “来日”するノブさんにお会いすることができました。アメリカの名優、ロバート・デ・ニーロさんとの共同経営で世界五大陸20ヵ国に30店舗以上のNOBUレストランを展開、コロナ禍の4年間にも着々と世界進出を続けるという、料理人かつ経営者としても卓越した才覚で世界各国のファンに愛されています。しかし3年前、ハワイのオアフ島にあったNOBUホノルルが閉店したことは寂しい限りでした。ラナイ島内のフォーシーズンズホテルにあるNOBUラナイは現在も経営を続けていますが、

昨年2度ハワイを訪れた際、滞在先のオアフ島からラナイ島への渡航制限が厳しく訪れることが叶いませんでした。

先週の7月30日、NOBU東京にて何年かぶりにノブさんと再会。ノブさんのおしゃべりが止まりません。シンガポールに移住しているNOBU東京のオーナー、ノブさんの長女・順子さんと奥様の洋子さんも加わって明るい笑顔がたえないひとときになりました。残念ながらクローズしたホノルル店が話題になると、「来年にはノースショアのタートル・ベイにNOBUホテルとNOBUレストランをオープン予定です」と、思わぬ発言に驚きつつ、2024年のオープニングには必ず訪れる約束をした次第です。

NOBU東京では2年に一度のペースで弊社イベントを貸切開催していますが、本年末には先日、大相撲七月場所で初優勝そして大関昇進を決めた立浪部屋・豊昇龍関の祝賀会を行うかもしれません。その節は改めて告知をいたしますので、多くの業界関係者の皆様のご参加をお待ちしております。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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