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コラム 三寒四温

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なぜ生かされているのか

診察室のベッドに横たわりながら、口腔内部の診察結果を伝えるモニター映像を眺めています。医師は細胞壁の様子を指し示しながら一言、

「これが声帯ガンです」

宣告を受けたのは約1ヵ月前の事。「ガン患部切除の場合、声帯とともに摘出するので声が出せなくなります。放射線治療でガン細胞だけ取り除く方法もありますが、成功率は8割です」と、摘出か放射線かの選択を尋ねられました。毎週月~金曜、週5日を7週間、35回の被爆による放射線治療は結構辛そうですが、治癒するのであれば多少の手間や苦痛は想定内です。

という訳で放射線治療を決意し、翌週改めて家内と一緒に有明のがん研へ。頭部から肩まで覆う専用のマスクを装着して放射線照射位置を決める治療準備を進めます。両腕、両脇腹、胸部の中心に油性マーカーで×印を付けられました。担当したCT技師は「放射線治療は2週間後に開始しますが、それまでにシャワーや衣服の擦れなどでマーカーが薄くなります。毎朝マーカーをなぞって消えないように注意してください」との指示をいただき、帰宅。

ガンが見つかった時点では「摘出手術を受けたら、遠出の旅行にいつ行けるか分からないよね」と家内と話し合った末、ハワイに行こうと決めました。今、私はアラモアナのヨットハーバーを眼下に見渡すハワイプリンスホテルのベッド脇の小さなテーブルでこの原稿を書いています。帰国日の翌日、15日より放射線治療を再開、束の間の休息にあって、とりとめのない自問自答が続きます。

4年の歳月をかけてようやく新型コロナが収束に向かい日常生活が戻りつつありますが、地球温暖化による世界各地の悲惨な天災は我々人類がもたらした人災です。そして次々と勃発する世界の政治不信や内紛に侵略行為、食糧不足や限界を迎えつつも整備の進まないインフラ格差等々、問題は依然として山積しています。しかし我々は歩みを止めてはなりません。探究心を駆使してさらなる高みを目指し歩み続ける事。人それぞれ “なぜ生かされているのか?” という命題の答えを探し続ける事も、生きていればこそでしょう。

5月5日に羽田を出発して、はや5回目のワイキキサンセット。水平線に消える瞬間、鳥は空を舞いヨットハーバーに帰港する大小のヨット。沖合にはサンセットクルーズツアーの船が佇み、荘厳な自然の儀式を目の当たりにしています。乗客の皆さんも、きっと平和な日常を願っている事でしょう。

ギルトフリー

昨年の秋口あたりから、リハビリを兼ねて何度か海外へ行っています。プールウオーキングに2本のストックを用いて正しい姿勢での平地ウォーキングと、家内の介護を受けながら汗を流しています。近場で温暖なグアムや台湾、ちょっと足を伸ばしてハワイなども。時差が少々気になりますが、やはりハワイは最高ですね。

 台湾は今年の2月に訪れました。大相撲・立浪部屋の慰安旅行に同行して、久し振りに大勢の力士たちと楽しい時間を過ごせました。しかし部屋頭の大関・豊昇龍関は一月場所で二ケタ白星を上げるも14日目と千秋楽をケガ休場したため、規定により留守番。少しかわいそうでした。訪台前には謝代表と懇意にされている山東昭子参議院議員のお取り計らいで立浪親方と私の3人で東京・白金にある大使館クラスの台北経済部を訪問しました。すると訪台初日、サプライズで総勢29名を台北市の歴史あるレストランにお招きいただき、珍しい台湾料理を堪能しました。総統府のお計らいに感謝いたします。

昨年末より3回訪れたグアムでは、スーパーで偶然発見したハイネケンとアサヒの小瓶にハマりました。現地ではライトビールが主流で、1本当たり90キロカロリーとのこと。ただでさえ運動不足気味で、しかもリハビリ渡航の身としては “ギルトフリー”(罪悪感のない食料品・飲料)がありがたいのです。

かつて30代の頃、ハワイでの4年間にわたる留学(?)時代にはバドワイザーの小瓶をラッパ呑み、あるいはクラッシュアイスがたっぷり入ったジョッキでいただくロコ・スタイルで楽しんでいたものです。クラッシュアイス入りのライトビールなら運転もお咎めなし、という時代でしたから巡回中のポリスも飲んでいたような気が!? 

5月の連休にハワイへ行くのですが、帰国翌日から声帯ガンの放射線治療が再開します。当然ながら治療期間はライトビールも絶対NG。我慢します。

 最近テレビCMで流れる、日清製粉グループ本社の「ベースオブライフ」は素晴らしい内容で感動しました。

“なくてはならないものだけつくっている”

このフレーズに期待するとしたら、運動不足に悩む方々向けにギルトフリーの冷食やレトルト食品、そして食の根源であるパンの専用粉もつくっていだだけないでしょうか。

母の味

久し振りに新宿の三越伊勢丹、レストランフロアのファミリーレストランでショーケースをじっくり見ることができました。

普段はフロア入口すぐにある私のお気に入り、中華料理店「南国酒家」に直行して、五目汁そば、または五目あんかけかた焼きそばで決まりなのですが、家内との待ち合わせ時間まで余裕があったので大きなショーウインドーの前に立ち、食品サンプルの群れをじっくりと観察。

ああ、懐かしい! 山型に盛り付けられたチキンライスの頂上に日の丸の小旗が立てられたお子様ランチを発見しました。とはいえ幼き頃、私はデパートの大食堂で周りの子ども達が皆楽しそうに頬張っていたであろう、お子様ランチの味を知りません。ご飯やハンバーグにパスタ、デザートがワンプレートに並ぶスタイルが好みでない母との外食時、大食堂は無縁だったのです。

仏壇に祀られた父母の位牌にお供えしている頂きものの銘菓、鎌倉紅谷の「クルミッ子」を、“もらうね” と御鈴を鳴らしてつまんでから、当コラムの執筆。そういえば母との思い出はこんな調子で記憶も鮮やかですが、出張続きでなかなか家に帰らない父と外食した記憶はなく、思い巡らしてもやはり母との思い出がよぎります。

まず自分の好みを優先しメニューも決まっている母でしたから、京王デパートはカキフライなどの洋食、小田急デパートならお寿司、伊勢丹では日本そば、といった按配。中村屋のカリーライスやタカノフルーツパーラーにもよく行きました。中学生になるとランチやディナーに行く事はなくなり、ときたま高円寺駅前の喫茶店でスパゲティナポリタンを一緒に食べるくらいでしたね。

母の趣味だった詩吟や日舞のお稽古で外出して、お手伝いさんもお休みという独りで留守番の日は母がアルマイト製の弁当箱に詰めたお昼を用意してくれるのですが、中身のおかずはなんと2種類のみ! ロースハムのスライスを炒め、ウスターソースで味付けしたものがご飯の上に敷き詰めてある “洋風”、または太切りのゴボウと人参、縦切りレンコンのキンピラがつまった和風スタイル。どちらかというとワンプレートディッシュ否定派の母でしたが、“ワンデリカ” なドカ弁スタイルとのギャップは何だったのでしょうか? 

しかしお袋の味は忘れがたく、77歳になる今でもたまに自分でつくります。味がよく染みるのでご飯にはもちろん、パンに挟むのもおいしいですよ。

街のパン屋さんにエールを

「街のパン屋さんの倒産数が過去最多」という朝のテレビニュース。

厳しい状況に至った原因を伝える中で、新規参入店舗の閉店を挙げていました。確かにコロナ禍以前には高級食パン専門店が新奇性で注目され行列をつくる事もありましたが、利益追求にこだわる一方で実際の店舗運営は技術力・マーケティング力の低さから早々に撤退するケースも多いようです。メディア露出によるイメージ戦略で一時のブームを演出しても、既存のベーカリーとの蓄積は歴然。お土産や自分へのご褒美感覚で楽しむプレミアム感といった目の付け所は良いですが、地元民から長く愛される、飽きのこないおいしさや地域との関係性は一朝一夕で得られるものではありません。もちろんすべてのお店が投資目的というわけではありませんから、じっくり腰を据えて生き残るベーカリーが、いつか改めて注目を浴びる事を期待します。

コロナ禍での内食需要増加に際して、菓子パンや総菜パンの価値を今一度見直すべく大手製パン各社は苦心しながらも、よりバラエティに富んだラインアップを展開しました。こうした分析力・実行力も、単なる投資対象としてベーカリーをプロデュースする立場ではなし得ないものです。そしてこの一連のブームの良い所だけを切り抜いて発信するマスコミの手法にも閉口します。結局のところ、天候不順やコロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻などが原因の小麦価格および各種コスト高騰などさまざまな悪条件への対応策として相次ぐ値上げ、それに伴う消費停滞という悪循環に行き着いてしまいますが、諦めずに続ける事が大切です。

こうした厳しい逆風が続く中、東京都パン商工協同組合の創立70周年記念祝賀会が帝国ホテルにて5月23日に開催されます。同組合が70年もの長きにわたって製パン業界の発展に取り組んでこられた努力は計り知れないものであり、いま厳しい現実に直面している都内のパン屋さんにとっても、共に乗り越えようと励ましてくれる心強い後ろ盾でありましょう。

創立70周年、おめでとうございます。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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