ウトウの帰巣
日糧製パンの前社長、井上さんから二十四日の夜、私の自宅に電話がかかってきた。北海道からだという。電話口からやや興奮した口調で説明が始まる。「五月と六月の二ヶ月間、天売島(てうりしま)に渡り、“ウトウ”(=善知鳥。海鳥)の帰巣シーン目当ての観光客のためのボランティアをすることになり、明日現地入りする」ということだった。
そういえば在職中に伺った際、見せて頂いた“ウトウ”の帰巣シーンの写真に感動して「機会があったら是非行ってみたいですね」と答えたのを覚えている。その写真を見せながら当時、井上さんは次のように説明してくれた。「天売島には六〇万羽の“ウトウ”が繁殖しているんですよ。これは世界最大級で日本にもまだこんな自然が残っていたのかと感動を覚えたものです。太陽が沈むと同時に海の彼方から黒い点がどんどん迫ってくる。それが島に近づくにつれ、無数の羽ばたきが見え、そして物凄い羽音がせまってくる。その“ウトウ”の口には巣で待っているヒナのためにたくさんの小魚を咥えていて、私の足元にどんどん降りてくるんです。それを狙っているのは潜水が不得意なウミネコ達で、“ウトウ”がせっかく獲ってきた魚を横取りしようと企んでいるんです。ウミネコも自分の子育てのため必死で、これは自然の摂理なんですね」。
三菱商事、日東製粉、日糧製パンとエリートコースを猛進して昨年リタイアした井上さんは、ご自身の趣味を活かしてのボランティアで、この壮大なドラマを一人でも多くの人達に見てもらおうと六月二十四日まで天売島に滞在している。私は六月十日から二泊三日で井上さんと“ウトウ”に会いに行く予定だ。
“ウトウ” ウォッチングのお問合せは「ネイチャーライブ」TEL016-483-9001
そういえば在職中に伺った際、見せて頂いた“ウトウ”の帰巣シーンの写真に感動して「機会があったら是非行ってみたいですね」と答えたのを覚えている。その写真を見せながら当時、井上さんは次のように説明してくれた。「天売島には六〇万羽の“ウトウ”が繁殖しているんですよ。これは世界最大級で日本にもまだこんな自然が残っていたのかと感動を覚えたものです。太陽が沈むと同時に海の彼方から黒い点がどんどん迫ってくる。それが島に近づくにつれ、無数の羽ばたきが見え、そして物凄い羽音がせまってくる。その“ウトウ”の口には巣で待っているヒナのためにたくさんの小魚を咥えていて、私の足元にどんどん降りてくるんです。それを狙っているのは潜水が不得意なウミネコ達で、“ウトウ”がせっかく獲ってきた魚を横取りしようと企んでいるんです。ウミネコも自分の子育てのため必死で、これは自然の摂理なんですね」。
三菱商事、日東製粉、日糧製パンとエリートコースを猛進して昨年リタイアした井上さんは、ご自身の趣味を活かしてのボランティアで、この壮大なドラマを一人でも多くの人達に見てもらおうと六月二十四日まで天売島に滞在している。私は六月十日から二泊三日で井上さんと“ウトウ”に会いに行く予定だ。
“ウトウ” ウォッチングのお問合せは「ネイチャーライブ」TEL016-483-9001