桜
新しい門出に似合う花、それは”桜“。日本人にとって春の訪れの象徴であり、希望に満ちた祝福の花であり、ちょうどイースター(復活祭)と時期が重なることから、私にとって”桜“は特別な存在だ。 しかし古くは花といえば梅であった。桜にその座を奪われたのは平安時代になってからのことである。ここで食にイヤシイ私はある想像が頭の中を駆け巡る。実は先月もハワイに行って来たのだが、ハワイで少し小腹のすいた時に食べるものといえば今ではスパムむすびが主流だ。「スパム」というブランドの缶詰のソーセージを5~6mmにスライスして、高さ4cm、長さ8cm程の四角いおにぎりの上にのせ、焼海苔で包んだこの「スパムむすび」は、ABCストア、セブンイレブン、全てのゴルフ場のスナックなどで大体1ドル20セント~50セントで売っているが、これが実にうまい。日本では岡山木村屋の梶谷社長が経営する岡山シティホテルの一階レストランで食べられるが、今のところ日本進出を果たしていないようだ。この素晴らしいアイデア商品は実に十年程前からコーン寿司というおいなりさんから主役の座を奪い、今では戦前から日系移民が作り上げた伝統のコーン寿司は面影さえ無い。 話を元に戻そう。梅から桜である。そして次第に”花“は桜を指すようになり、「雪月花」と言われるように日本の美意識を代表するひとつとなったのである。 桜の時期は季節の変わり目。急に寒い日が訪れたり、曇天の日が続く事があり、古来より「花開く時、雨風多し」と言われてきた。「花曇」は春の季節現象を美しく表現した季語で、その花曇の桜の下で小さな発見に大きな感動を覚えることもしばしばである。木村屋總本店の初代木村安兵衛氏が、明治天皇に献上したのも「桜あんぱん」。以後爆発的に流行。日本人はとにかく桜が好きだ。