夏の夜
行き付けの寿司屋のカウンターでワサビ入りの芋焼酎を飲んでいる時、関東混合機の林孝司社長が以前言っていたアイデアを思い出した。「寿司屋の白木のカウンターでね、若い女性客がロールケーキ巻いて下さいってオーダーするのよ。中の職人は手馴れた様子でカステラ生地に好みのフルーツやトッピングを聞いて実演して見せる。洋菓子の寿司屋バージョンね。これ面白いよ」。なるほどアイデアはどこにでもころがっている。「注文方法、いわゆる呼称はどうしよう。寿司は一貫・二貫と数える。ケーキは一菓子・二菓子かな。箪笥は一棹・二棹、提灯は一張・二張」思いはどんどん違う方向へいってしまった。
焼酎が回ってきたのかそんな想像をしているところに大将が“ヘイお待ち”とアワビを殻に盛り付けてカウンターに置いた「大将、キモは?」「ヘイ、お好み通りに」。仙台赤味噌にみじん切りの生姜とキモを、まな板の上で丹念にたたいた一品は私の大好物。この味噌をたっぷりアワビにのせて、キリッと冷えた“黒龍のしずく”をグイッと飲み干したらもうロールケーキは忘れていた。
こんな夜私が帰路必ずといっていい程買いたくなるものが“ジャム&マーガリンのコッペパン”。肝悪いなんて言わない事。これが意外と酒のあとのラーメンより合うのだ。
焼酎が回ってきたのかそんな想像をしているところに大将が“ヘイお待ち”とアワビを殻に盛り付けてカウンターに置いた「大将、キモは?」「ヘイ、お好み通りに」。仙台赤味噌にみじん切りの生姜とキモを、まな板の上で丹念にたたいた一品は私の大好物。この味噌をたっぷりアワビにのせて、キリッと冷えた“黒龍のしずく”をグイッと飲み干したらもうロールケーキは忘れていた。
こんな夜私が帰路必ずといっていい程買いたくなるものが“ジャム&マーガリンのコッペパン”。肝悪いなんて言わない事。これが意外と酒のあとのラーメンより合うのだ。