先週の17日、弊社主催のサンドウィッチセミナーの特別講師としてニューヨークから駆けつけてくれたエイミー・シャーバーさんに、レセプション会場にてマンハッタンスタイルのサンドウィッチ2種を実演していただいた。「ベージュ東京」でも使われているメゾン・カイザーのプチシリアルと四角いプチバゲットで、ハモスとスモークターキーのそれぞれのサンドウィッチを提案した。健康指向が高いニューヨーカーらしいサンドウィッチだ。春野菜の代表「菜の花」をオリーブオイルと塩だけで味つけしたプチチャパタのサンドウィッチはメゾンカイザーの木村周一郎氏の即興オリジナル。旬の食材を使用したそのアイデアとシンプルな味に脱帽。
エイミーさんは博多郊外にあるリョーユーパングループのダイヤモンドシティジャスコ内「パン工場」で5日間のデモンストレーションを行うため翌日福岡に飛んだ。天然酵母で種づくりを済ませ、夜はスタッフ一同と共に北村社長夫妻のお招きで、オープンしたての「浄水クラブ」にてフレンチのフルコースをいただいた。生演奏のグランドピアノが奏でるクラシックをBGMに、運ばれてくる料理はフランスの星付きレストランのシェフがキッチンにいるのではないかと想像する程の絶妙なタイミングで出されるスモールポーションの料理の数々。博多発の美味しい料理を優雅な雰囲気で楽しめる。
福岡の一夜を和ませてくれる優しい味のこの店は、内装、照明、食器、従業員の接客、料理の味どれをとってもお世辞ぬきで私もエイミーさんも満足した。来週からはエイミーさん提案のテーブルブレッドもメニューにのるそうでますます楽しみだ。
今週の17日、いよいよ弊社主催の「サンドウィッチ・セミナー」が開催される。シャネル銀座ビル10階に昨年グランドオープンした「ベージュ東京」のグランシェフ、ダヴィッド・ブラン氏が第一部の講師を務めるが、総指揮はパリの「be」とモナコの三ツ星レストラン「ルイ・キャーンズ」を立ち上げたグランシェフ、クリスチャン・ジュリアール氏によるものだ。もちろんアラン・デュカスグループのリーダーとして、ADF+TSUJIの立ち上げにも参加して毎日多忙を極めているのだが、先週レシピ通りのパーフェクトなパンを焼き上げ、一品だけADF+TSUJIのキッチンにて試食を行った。
「チャパタ、セップ茸のソース、コロナの豚肉の塩漬け、パルメザンの薄いコポー」という一品だ。チャパタを半分に切り、下部のパンにはセップ茸のソース(パリのbeで販売している。日本では5月頃よりアルカンにて販売予定の瓶詰)を塗り、コロナの豚肉の塩漬けを薄くスライスして、パルメザンのコポーと共に挟み、軽く胡椒を挽いて、オリーブオイルをサッとかける。それだけなのだ。このサンドウィッチを一口含んだ瞬間筆舌に尽くし難い味わい、香ばしいチャパタと共に口の中では至福のハーモニーが広がる。これがアラン・デュカスの感性を受け継いだシェフにだけ創れる料理としてのサンドウィッチなのか。詳細は後日、日本パン菓子新聞で明かされる。
食品産業新聞社の社長、会長を歴任した世良弘さんが他界された。12年前私の父が亡くなり、製パン業界から15年以上も離れての会社復帰で、右も左も分からない私に手取り足取りアドバイスをしてくれたのが世良さんだ。私の父も親交が厚かったせいなのか、私を不憫だと思ってのアドバイスなのか、今となっては分からないが、取材で会ったときには、要所を的確に教えてくれた世良さん。銀座の居酒屋で業界の仕組みや人事予想、裏話などウイスキーグラスを片手に語っていただいたことが、昨日のことのように想い出される。
食品業界紙のリーダーとして、その輝かしい功績は計り知れない。まだまだ教えていただきたいことがたくさんあったのに・・・。天に召された世良さんは私の父と仲良く昔話をしながら私を肴に酒を酌み交わしていることだろう。ご冥福をお祈りいたします。
我々パン業界人が一番関心を示す事項のトップに「パンの売れ行き」が当然ある。売れ行きを左右するのはヒット商品だ。いつまでも飽きがこないパン、ついつい買ってしまうパン、今日はこれを食べてみようと購入するパン。地域や消費者の年齢、性別などにより色々だ。ヒット商品は各地、各店に存在する。
先週モバックショウと合わせて開催された「タナカフーズフェア」では様々なヒットパンや弁当が日本中から集められ、量販店、CVS、百貨店、インストアベーカリー、郊外立地店、ターミナル立地店などにシーン分けして展示されていたが、これらを参考に新たなヒット商品のヒントを田中食品の新製品コーナーで担当者が詳しく説明していた。全国の製パン業者にとって心強い味方となることに疑いない。
先週末、久しぶりに我が家でくつろいでテレビを観ていたら、イタリアのシシリー島でバンズに挟んだイタリアンジェラートを紹介していた。パンでアイスクリームを食べる発想にゲストは驚き、スタジオ内での試食では皆いかにも美味しそうに食べており、テレビを観ている私も興味をそそられた。鮪のカラスミをペーストしたパスタも紹介されたが、焼きそばパンの変り種としても面白いかも知れない。世界の食習慣をテレビで観て夢想する楽しさ、きっとこんなところにもヒットパンのヒントが見え隠れしているに違いない‥‥と考えるうちに、今年のパン菓新聞社主催ヨーロッパ視察ツアーでは、やはりナポリに行くべきだとひらめいた。日本人にこよなく愛されているイタリア料理。今年の4月は、ヒットパン・ヒントの宝庫、イタリアへ皆様をお連れします。