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コラム 三寒四温

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ナポリにて

 どこまでも続く群青の空、まだ4月18日だというのにチリチリと肌をさす太陽。南イタリアのナポリは上機嫌に私を迎えてくれた。
 ここは学生時代からのあこがれの地であった。ソフィアローレンがスクーターのテレビCMで「あらオリーブをわすれちゃった」と言って、さっそうと紺碧の空の下をスクーターで海岸線を下って行く光景が思い出される。35年という時が過ぎての訪問となるが、思った通りの素晴らしい街だ。路面電車を追い越すタクシー、僅かな間隔に割り込んでくるフィアット、バイクはブレーキング無しに突っ込んで走り去る。あちこちで鳴るクラクションの喧騒に救急車の警告音もかき消され、道をあける車もない。レンタカーをキャンセルして良かったとタクシーの中でほっとした。二千年近く前に突然灰に埋もれたポンペイの遺跡に、ナポリの歴史を見た。人々が最後の瞬間まで生活していた遺跡が、18世紀に掘り起こされた。その石畳をブラブラと歩く。一直線に続く商店街の遺跡には、酒屋あり、市場、住居、神殿、ライオンと格闘したという闘技場など古代の建造物を見て当時に想いをはせる。眼の前に迫るヴェスビオ山の突然の噴火、猛スピードで押し寄せる土石流と溶岩流、降りそそぐ噴煙と火山灰、阿鼻叫喚の世界だったろう。神は何に怒ったのか。
 そんな想いを胸に秘め本場のナポリピッツァを食べた。昼しか営業していないエウロペオ・マットッツィというイタリア料理レストランで出てきたオードブルに驚かされた。イタリアントマト、本場のモッツァレラチーズ、タコのオリーブオイルがけ、どれをとってもこれらの食材は日本では食べられない。ピッツァ・マルガリータは上品にフォークとナイフで切り分けていただく。小さく切ってクルッとフォークで突き刺し口に運ぶ。チーズやトマトの味よりも、石窯で焼かれたモチモチとした皮のおこげの食感が何よりも美味しさを引き立ててくれた。〝ナポリを見てから死ね〟も納得だが、それ以上にナポリの食は言葉にならないほど素晴らしい。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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