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コラム 三寒四温

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創作タイ・キュイジーヌ

 先週、今年二回目となる訪タイで、思わぬ体験をした。タイの友人がごちそうしてくれるレストランはいつもお決まりの〝キャック〟フカヒレレストランや、タニヤの〝シャングリラ〟中華レストランでのロブスターのシャブシャブが定番なので、今回はこっそりと日本から同行した友人と二人で食の探索をした。タイ料理といえばトムヤムクンに代表される「辛くて、甘くて、酸っぱい」料理が主で日本人としては、好きと嫌いに二分されるほど個性が強く、私はどちらかというと苦手な方だ。
 タイはどちらかというとタイチャイニーズが、政治や経済を動かしている。そのため中国やマレーなどの食文化も混在するキュイジーヌが現在では若者を中心に台頭している。そのバンコックの「今の味」を探してきた。
 フルーツの王様と呼ばれる〝ドリアン〟は私の苦手な食べ物の筆頭で、あの臭さといったらたまったものではない。一流ホテルの玄関前には「ノー・ドリアン」の立て看板が置いてあるほど、その異臭は多くの人を不快にするのではないかと感じられるが、反対に好きな人にはたまらない香りと味なのだという。そのドリアンを大胆にもチーズケーキにしてしまった店があるというので訪ねてみた。
 「ブルー・エレファント」はオールドタイを彷彿させるコロニアル調の館でバンコックの〝ザ・ベスト・ヤングシェフ〟にも選ばれたチュンポン・チャンプライシェフが腕を振るう。フォアグラのタマリンドソースがけは、その濃厚な味わいにタマリンドの酸味が絶妙に調和するタイ人ならではの一品だ。トムヤムクンはスープの上に、ブドウとプチトマトがのっていて甘味と酸味を一体化させている。付け合せのパンもシェフお手製のルヴァン入りバゲットだ。ドリアンのチーズケーキはドリアンを想像して食したら〝ハッ〟とさせる驚きに続いて、何故かウンウンと頷かされる新しい味の発見に、創作タイ・キュイジーヌの奥深さを感じた。

フード・フランスの続き

 美食への探求は人類にとって永遠の課題でもあるが、土地や風土、そして料理人たちの歴史そのものであり、文化でもあると思われる。素材を知りそれを食する喜び、そして名脇役のパンが花を添える。
 フランス料理といえばトリュフ・キャビア・フォアグラを語らずにはいられない。トリュフでも冬場にしか採れない「白トリュフ」はフレンチでの美食を極めるには最高の食材であろう。イタリア北部のピエモンテ産の白トリュフはグラム小数点以下3桁までの計量による売買といわれる程高価な食材だ。香りがとばないようにオーブンで焼き上げたニョッキの上に薄く削られた一品は、ふわりと立ち上がる白トリュフの香りに身も心も喜びに満ち、口に運んだとたんに口中に広がる香りと美味は至福の時を感じさせてくれるだろう。
 キャビアは、金に糸目をつけずに贅沢三昧の食を楽しむ時のステータスでもあるが、チョウザメの乱獲による出荷停止など、ますます高嶺の花となる傾向にある。
 フォアグラは言わずもがな「フランスの文化遺産」といっても過言では無かろう。一口食せばフォアグラの旨みが口の中で花開き濃厚だがしつこくない絶妙のタイミングで味覚を刺激する。
 今年日本でも実施されるフード・フランスは、これらの食材をふんだんに使用して、フランス料理の楽しみ方を教えてくれるだろう。

フード・フランス2006

 フード・フランス2006が日本で初めて開催されるにあたり、2月28日にフランス大使館にてレセプションが行われた。
 このフード・フランスはアラン・デュカス氏が2003年に立ち上げ、パリの代表的なホテル「プラダ・アテネ」のレストランにてデュカス氏に選ばれたシェフたちが各国のメディアや美食家たちの前でパフォーマンスを繰り広げたのが始まりで、「料理の世界に国境は無い」という氏の考えのもと、日本での「フード・フランス」を開催することを決定。選ばれた若手シェフ5人が創るそれぞれの料理を日本の美食家に楽しんでもらうという、日仏の交流をより一層深め、お互いの新たな発見の場となることを目指すという。
 フード・フランス2006日本開催にあたりアラン・デュカス氏は、料理界のこれからを代表する5人を厳選。彼らはいずれもフード・フランスの参加経験があり、またフランスの地方の小さな町や村でオーベルジュを営む有能な若手シェフたちだ。素晴らしい料理を提供するために、地元で選び抜かれた最高の食材とワインを携えて日本にやって来る。
 第1回は4月24日~29日、ローヌ・アルプ地方のアヌシーで「ル・クロ・デ・サンス」のオーナーシェフ ローラン・プティ氏が腕を振るう。会場は港区六本木のグランド・ハイアット東京2階の「フレンチ・キッチン・ブラッセリー&バー」。ランチは八千四百円、ディナーは一万五千七百五十円(共に税・サービス料込)。食前酒とコーヒーが含まれる。特別なパンも食べられるので、是非読者の皆様には出かけてほしいものだ。(K・S)
 予約・問合せ 0120‐588‐288(グランド・ハイアット東京レストラン予約)

醤油考

 私はことさらに醤油にこだわる。最近のスーパーでは日本各地の醤油が並べられおり、楽しく選べるのだが、我が家の醤油はこれだ!と確信して五年前から使い続けているのは、和歌山県は湯浅の「昔造り」。これを使い始めてから全く浮気をしていない程惚れ込んでいる。馴染みの寿司屋の醤油も親方が試食のうえ納得し、変更してもらった。今では毎月湯浅より宅配便で取り寄せているらしい。
 なぜ醤油にこだわるのかと問われると、五年前にフラッと入った高円寺の寿司屋のカウンターに三種類の醤油が置いてあったことに起因する。巷では健康食品ブームで、私も健康的にと思い、減塩醤油を小皿にたらして平目のにぎりをほおばった。平目とワサビとシャリと醤油が渾然一体となって旨さを引き立てる。しかしまてよ、なんだか変だぞ、生臭ささばかりが口の中で主張を始めている。おもわず無理に飲み込んで、たっぷりのお茶で流し込んで考えた。原因は減塩醤油にあったようだ。次に小皿にたらした丸大豆醤油でもう一貫の平目を口にした。マ、マズイ、なんだこの醤油は! 日にちが経ち過ぎて色も変色し、味もおかしくなっている。思わずお勘定してこの店を後にした。
 そんな話しを和歌山の友人にしたら、一週間後に和歌山の醤油が我が家に届いた。これが「昔造り」との出会いであった。それ以来醤油瓶は冷蔵庫に、卓上の醤油さしも冷蔵庫に仕舞う癖が出来、おいしい食生活が送れるようになった。
 我々日本人は醤油なしでは生きてゆけない。だからこそ醤油にはこだわりたい。食べ物の旨さを引き出す名脇役の我が家の「昔造り」。今朝もトーストの上に半熟の目玉焼きをのせ、黄身をフォークで崩してたらした「昔造り」がおいしい一日をスタートさせてくれた。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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