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コラム 三寒四温

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ナポリタン

 私が小さい時から好きだった料理。それは“スパゲティ・ナポリタン”。小学生の頃から母親の手に引かれて良く連れて行かれた中央線の高円寺南口にある “トリアノン洋菓子店”の喫茶室で食べた“ナポリタン”。母も、これが大好物だったようで、毎月のように食べていたのを記憶しています。でもこんなに好きなのに家では決して作らなかったから不思議でありまして、とにかく外食が好きなようでありました。
 時は過ぎて、今度は私の娘が中学生の頃、母のお供は孫とあいなりまして、京王デパートの食堂では“カキフライ・ライス”、伊勢丹デパートのレストラン街では“カレーうどん”ときに新宿中村屋のカリーライスと行く先々でのオーダーは全て決まっておりました、と娘が懐かしく思い出して話してくれました。
 さて“ナポリタン”に話を戻しましょう。具はマッシュルームのスライス、ピーマンと玉ネギのくし切り、そしてサイの目に切ったプレスハム。これらをフライパンで炒めたところへ、茹でたてのパスタを投入して、塩・コショウ、そしてケチャップで味付けして完了。しごく簡単。誰が作っても同じ味となります。が、最近、味付けにとんだスグレモノが現れました。「具入りケチャッピー、ナポリタン」。具入りとはいっても、ほんの少しみじんに切った野菜が入っている位なので、具は以前通りに用意して、ケチャップ代わりに使ってみましたところ、ほど良い甘さで、品が良く、パスタにも良くからんで、老若男女、万人に受けるナポリタンソースです。
 私はナポリタンを食べるときはいつも食パンを用意します。包んでもよし、そのままでも良し、最後は食パンの耳で、皿をきれいにふき取って、全てを楽しみます。さあ、今度のゴールデンウィークは、ケチャッピーと食パンで、孫のサービスをしてみませんか。きれいに食べる。これも食育の一環ではないでしょうか。

奇跡の泉

「ユーロパンの出張、お疲れ様でした」
「事故もなく、日程通りに全員無事に帰国しました」
「今回は、“ルルド”にも行ったのよね。どうでしたか」
「10年前のユーロパンの研修旅行で訪れた時には、ロウソク行列に参加できなかったので、今回はイースターに合わせて1年前からバスやホテルの予約を入れておいたんだ」
「あなたが出かけてから、ネットで見たんだけれど、ぼんぼりのロウソクを持って、1万人規模の行列はそれは荘厳で、世界中の巡礼者や観光客で埋め尽くされるそうね」
「そうなんだ。1858年の2月11日に、ルルド村に住む14歳の“ベルナデッド”という薪売りの貧しい少女の前に、“マリア様”が18回も現れたというんだ。9回目にマリア様が現れた時のお告げの通り、洞窟の砂利を指で掘ると泉が湧き出して、近所に住む眼を患った青年がその泉で顔を洗ったら、眼が見えるようになったり、腕の痛みに苦しんでいた老女が、その泉に腕をつけると嘘のように痛みが引いたというんだ。その噂が全世界に広まり、今では人口 18,000人のこの町にハワイと同じ年間600万人もの人々が“奇跡の泉”を求めて来るんだ」
「その“水”がこれね」
「深い信仰を持って飲まなければ奇跡は起こらないよ」
「それで“ベルナデッド”はその後どうなったの」
「1879年に35歳の若さで他界したんだけれど、その30年後に司教立会いのもとベルナデッドの墓を掘り起こしたところ、彼女の遺体は全く腐敗していなかったというんだ。その後1933年に彼女は聖人に列聖されたんだ」
「まさに奇跡の話ね」
「ユーロパン研修団もロウソク行列に参加したんだけれど、今でも“アベマリア”の歌声が耳に焼き付いているようだよ」
「参加者全員が、ミラクルパワーの可能性を秘めているのね」
「パワー全開で頑張りましょう」

南仏の田舎料理

「この料理、ひと口食べてから目をつむって、感想を言ってくれる?」
「まあ、どこの料理かしら。麦ご飯に、お肉と人参とか野菜がゴロゴロ入った煮込み料理ね。ウン、ン? あっ、これ大麦ね! ツルッとしている食感、リゾットみたい。ブイヨン味の牛肉は良く煮込まれていてとても柔らかいわあ。ああ、プロヴァンスを感じるわ」
「バカ言ってるなよ」
「だって南仏から帰って来てから、初めて作ってくれたお料理だもの。ズバリでしょ」
「そうなんだ。アルルから南へ50km程行った山あいに、“ゴルド”という“天空の町”との異名もある素晴らしく美しい町があってね。そこの伝統的な田舎料理なんだ。大麦以外は日本の食材だけどね」
「このパンはポンパドウルのパリジャンでしょ。良く合うわね」
「そうなんだ、モッチリしたバゲットが出てくるのかと思ったら、意外とソフトな焼きのカンパーニュが薄切りで出されていたんだけど、お皿にこすり付けてキレイに洗ってしまったよ(笑)」
「この、オリーブのしぼりカスで作った“タプナード”もパリジャンに良く合うわ」
「オイ、僕の分もとっておいてくれよ。うちの近所には、ポンパドウルはないんだぜ」
「私も、又、南仏へ行きたくなったわ」
「石畳の迷路のような小路にポツンとある小洒落た小さなレストランの軒先のテーブルで、道行く人達をながめながら飲んだサングリア」
「そうそう、そこのお店のパエリア、とてもおいしかったわ」
「いつか二人で、又、訪れてみたいね」

牛追い祭り

 イースターに合わせて訪れた南仏は、プロヴァンス地方の歴史ある小さな要塞都市アルル。紀元前一世紀末に造られたという古代劇場の前に位置する4ツ星ホテル、ジュール・セザールにトランクを置いた。
  ホテル前の中央通りには、約500mにわたって高さ2m程の鉄柵が道路の両脇に張り巡らされ、歩道には、おびただしい数の屋台が立ち並んでいる。フェイスペインティングや仮装を施した若者達の軍団があちらこちらにビールを片手に、歌い、踊り、目が合えば「さあ、一緒に騒ごうよ!」と手招きをする。クレープを食べようとした女の子が、思わず手放してしまった銀色のミッキーマウスの風船が夕暮れのアルルの空をユラユラとのぼって行く。茜に染まった赤レンガの屋根々が古都色にきらめいている。
  さあ、お祭の始まりだ。牛追いの騎士達がのったカマルグの白馬の蹄鉄が石畳を激しく打ち鳴らす。
シュル、シュル、ドーン。祭の開始を告げる花火が上がった。檻から放たれた2頭の興奮した牡牛が勢いよく飛び出す。それを騎士団が上手に囲んで一目散に500m先のゴールを目指す。と、同時にあちこちの鉄柵から観衆がなだれ込み、牛を追い駆けながら奇声を上げる。
 『アルルの女』の小説を書いたドーデも、アルルを愛したゴッホもゴーギャンも楽しんだに違いない。
この牛追い祭を終えると、名画「ひまわり」の舞台となったアルル近郊のひまわり畑が、辺り一帯を黄金色に染める夏が訪れる。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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