「梅雨の鬱陶しい今日この頃ですが、皆様いかが毎日をお過ごしでいらっしゃいますか」
手紙の書き出しではないのですが、ついつい、書いてしまいたくなる今日この頃でございます。こんな時は、今が旬の「夏カキ」を食べて、シャキ!としようではありませんか。荒波が打ち寄せる岩肌に渾身の力を込めてしがみついている夏カキ君達は、我々においしく食べられるために栄養を補給しつつ、日々大きく育っております。生食では、ツルンと一口では到底食べられない程に"いい感じ"の夏カキ君。フライにすると、極厚のフィレカツみたいにその大きさにたまげさせられます。トンカツソースや醤油もよろしいのですが、カキフライは、やっぱ、タルタルでしょう。ということで、私のオリジナルのレシピをここに公開させて頂きます。
ゆで玉子2個(黄身は潰してみじんにした白身と混ぜる)、完熟アボカド1個(玉子を入れたボールに種を取り、皮からスプーンでかき出す)、マヨネーズ 1/2本(量はお好みで)、ジルタイプのピクルス大3本位(みじんに)、タマネギ大1/2個(みじんに。タマネギとピクルスのみじん切りはふきんで絞り、水気をとる。これらをボールに入れ)、塩・コショウして良くかき混ぜる。これだけ。
これをたっぷりかけて"アグッ"と熱々のカキフライを頂きましょう。もちろん、食パンにはさんでもおいしいサンドウィッチになります。今の時期だと、サッと茹でたホワイトアスパラをキレイに並べて、たっぷりのこのソースを挟むと見た目も美しいですね。我が家の万能タルタルは、フリージングしてもさほど味は変わりません。ちなみに、冷蔵庫で2~3日保存するには、アボカドの種を中に入れておくと、アボカドの変色が防げます。お試し下さい。
久々に築地魚河岸の場外へ出かけてみました。昨年の晦日に行って以来、約半年ぶりの場外は、生憎の小雨混じりで、ウィークデーの昼間も重なってか、人通りも少なく閑散としておりました。前回、寒鰤定食を頂いた食堂に立ち寄り、店主に「今の時期のお勧めは何ですか」と聞くと、「生憎だねえ。そうだ、鰹を食べて行きな。ツンと来るよー」と意味不明な答えに、オーダーしてから待つ事5分、"鰹のタタキ定食"が目の前に供されました。店主曰く、「和辛子とマヨネーズに鰹をつけて食べてみな。醤油は好みでね」。
早速、和辛子とマヨネーズの両方をつけて、一切れ口に入れると、なるほど"ツン"と和辛子が鼻腔をくすぐり、そして時間差でマヨネーズが鰹の旨みを包み込む。「ム、この鰹、塩ふりしているの?」。そばで表情を探っていた店主が「鰹のタタキとはそもそも塩でたたくから"タタキ"というんだよ。それをワラであぶって、香りを出すんだ」
「へー、そうなんだ」なんでも聞かなくてはわからないことが多いですね。
そのとき、スーと奥に消えた店主がなにやら小皿をひとつ持ってきて、
「食べてみなよ」「ハイ、頂きます」。ムムム…。これはカンパチのヅケではないか。それも天然の。歯応えがしっかりしていて、しかもヅケの塩梅が絶妙だ。その上に、荒くおろした本ワサビを金ゴマで和えたものがパラパラと振りかけてあります。
「お洒落ですなー。美味ですねー、酒が欲しくなりますねー」
旨いものを、もっと旨くする知恵。ここに来ると教えられます。ごちそうさまでした。
「持続可能な開発・民主主義と平和への貢献」で2004年にノーベル平和賞を受賞された、ケニアの前環境大臣ワンガリ・マータイさんが、先月の28日より横浜パシフィコで開催された「アフリカ・フェスタ」での講演のために来日されました。31日には自由が丘のケニア大使館にてマータイさんを歓迎する「ケニヤン・ナイト」が行われ、在日のケニア人や日本の政界・財界などから約200名が集い、楽しい一夜、となりましたが、私はというと、家内と中沢フーズの中澤康浩社長と一緒に、アスパラとサツマイモの天ぷらや、牛肉のタタキのにぎり寿司、玉子焼きなど、ひたすらキッチンでつくり続けてのボランティアに徹しました。料理は大変好評でしたが、寄る年波には勝てずにクタクタになりまして、ケニアのタスカビールを一本飲んだだけで、帰路の車中で爆睡というていたらくでしたが。翌日は、アウォリ駐日特命全権大使のお声掛かりで大使公邸にて、マータイさんと大使夫人も含めて5人でのランチにご招待して頂き、マータイさんとの楽しい会話と食事に、昨夜の疲れも一気に吹っ飛びました。
今度、来日されるときは、「もったいない」の精神にのっとった私の料理を、我が家で作るのでいかがですかとお誘いすると、「必ず行くわ」とかたい約束の握手をかわして、日曜日なのに「あと3件約束があるのよ」とウインクをくれて、大使公邸を後にされました。
世界中で植林活動を進めている「グリーンベルト運動」の創始者であり、会長も努めるマータイさん。そのマータイさんが提唱する”もったいない”は、「モノを慈しみ感謝する気持ちを表しているのよ。日本の皆様も次世代のためにこの言葉の意味を大事にして下さいネ」というメッセージを頂きました。
先週、東京お台場の“ビックサイト”で開催された「FOOMA JAPAN 2008」を取材して帰社した編集長が「社長、この食パンを試食して下さい」と手渡されたワンローフタイプの食パンはずっしりと重く「水分70%の薄力粉で作ったそうです」の説明に「そんな食パンってどんなんだろう」と興味本位でスライスしてみると、きめ細やかな内相のその食パンは、モチモチとして、強力粉を使用して湯種で作った食パンに近いおいしさにカルチャーショックを受けました。早速私は翌日“FOOMA”に出かけて、その製法の秘密となる“スタンピング・ミキサー”の実演に、またまた驚かされたのです。
実はこのマシン以前より製パン機械の展示会などで良く目にはしていたのですが、私にはただの“餅つき機”の認識しかありませんでした。
まず、驚かされたのは、ボールが回転して内部に設置された1本のフックがやさしくミキシングすることにより、無理な力を加えることなく短時間でまとめられて、捏ねの課程終了をコンピューターが感知すると、“杵”が生地を叩き始めるのです。これがスタンピングミキシングです。詳細は本紙7月15日号に掲載しますが、“叩く”という方法でグルテンを引き出すので、薄力粉でも充分おいしいパン生地がつくられるのだとか。
実際に、その場で焼きたてを再度試食しましたが、いやはや、そのしっかりとした食感にまたまた驚かされました。我が家に持ち帰って2日目、3日目と試食しましたが、劣化が遅く、ふわふわ、モチモチとした食感が楽しめました。
強力粉なら、水分は90%まで入れられるそうで、もちろん、その食パンも試食しましたが、“超”をこえるおいしさに、感動しました。この“スタンピング・ミキサー”は、原料高に悩む日本を始め、世界のパン企業にとって頼もしい救世主になる可能性を秘めています。さらなる改良を重ねて、製パン企業の発展に寄与してもらいたいものです。中井機械工業さん。期待していますよ。