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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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サハラ砂漠

 リスボンからモロッコのワルザザードへ飛んだ。モロッコ王国は太平洋に面したアフリカ大陸の左上に位置するアフリカでありながらアフリカではない中東の国だ。今回の旅の目的地マミアドへはここワルザザードからアトラス山脈を越え、砂漠の入り口ザゴラを経由してそこから100kmと、はるかな旅路となる。マミアドはモロッコ最果ての地でアルジェリアの国境までほんの40km位程の、もう「サハラ」といってもいい砂に覆われた砂漠の地だ。前日はザゴラのホテルに夜半にチェックインしたというのに今朝は午前3時30分の出発だと言われ早々に仮眠をとる。
  漆黒の闇を突き刺すように20年前のランドクルーザーのヘッドライトが私を迎えてくれた。1時間ほど舗装道路を走って砂利道に曲がって入った。途中の景色は何も見えない。30分ほど揺られながら走るとドライバーが前を指差して「サハラ、サハラ」と叫ぶ。目を凝らしても何も見えない。車のタイヤが砂にとらわれるように右に左に滑りながらやっと止まった。ドアを開けて外に一歩踏み出すと砂に足をとられて倒れそうになる。風紋の砂丘と数張りのテントがヘッドライトに照らし出された。
  「ここがマミアドの砂丘かぁ」すぐ近くでラクダが数十頭、輪になって正座をして小さないななきを上げていた。「日の出を見たら乗せてくれよ」とラクダに言って、ガイドの先導で砂丘の尾根を登る。もう靴は砂まみれだ。夜がしらじらと明けてきたのに今日は太陽を拝めないようだ。ふと前を見ると十数mの風でできた巨大な風穴が眼下にある。落ちなくてよかったなとまじまじと見ていると一筋の線がこちらに突き進んで登ってくる。どうやらゴキブリ大の砂漠の虫らしい。ものすごい勢いで登ってくる。私は稜線を急いで駆け下りた。なぜかって?映画の「ハムナプトラ」を思い出したからだ。大挙して襲い、人体の中を食らう虫!スティーヴン・ソマーズ監督もここでこの虫を見て想像したのだろうか。この続きは次号で報告する。

メタボは健在

 数年前に日本で大流行した"エッグタルト"はポルトガルのジェロニモス修道院の近くにある老舗「パステル」が発祥の店だ。シントラの帰りに寄ってみた。相変わらずの大行列だ。20人程の後ろの列に並んだが、歩道ギリギリの石畳に敷かれたレールの上を市電がスレスレに通りすぎる。3つ購入したうちの1つはそのままで、1つは粉シナモンを、1つはパウダーシュガーをたっぷりふりかけて全てたいらげた。どれもものすごく甘く、しかししつこくなく、なぜか懐かしさを感じさせてくれるエッグタルト。苦いエスプレッソを流し込んで今日の昼食は終わりかな。
  日本では一部のデパートを除いてもうこの味は味わえない。そのデパートの一品も「パステル」とは比較にならないお粗末なものだった。
  「どこへって行ってしまったんだ、みんな!エッグタルト、ポンデケージョ、シナモンロール!たちー」。特に「シナボン」のシナモンロールは私の大好物の1 つ。毎年ハワイへ行く楽しみの1つはカハラモールのこいつを手と口をベタベタにしながら、1切れだけ、いや半分にしとこう、エイッ!全部食べちゃえって心の内で葛藤しながらがら食べること。だから未だにメタボは健在だ。

焼き栗

  10月2日、私は成田よりパリを経由してポルトガルのリスボン空港に降り立った。出迎えのガイドに連れられて外に出るとお決まりの強い貿易風が手荒に歓迎してくれた。  今日から3日間滞在する市内のシェラトンホテルに向かう車窓の景色は15年前に来た時と変わらない。いや、何も覚えていないからそう思ったのかもしれない。チェックインを済ませ、フロント脇のピアノバーでバーボンのダブルを引っ掛けて早々にベッドにもぐり込んだ。 翌日の目覚めは爽快だ。時差ボケも一日で正常に戻す特技は、数多くの海外出張をこなす身体が覚えていてくれる。今日の午後は仕事の約束があるので、その前にロカ岬に行って壮大な大西洋を見てこよう。欧州の最西端に位置するロカ岬までは世界遺産「シントラ」を経由して約一時間の道のりだ。シントラは元貴族たちの別荘が緑に覆われた広大な敷地に点在している高級住宅地で、離宮周辺には大理石を砕いて敷き詰めた石畳の細い迷路に小さな土産物屋がひしめいているエキゾチックな街並みだ。そこで屋台の焼き栗を発見。灰まみれになった熱々の割れ栗をむいてほおばる。そんなに甘くないが、なぜか渋皮が秋の味覚を感じさせてくれた。この続きは次号でご報告したい。

安全宣言

 極めて納得のいかないニュースが連日、日刊紙の一面を占めている。そのひとつが中国の大手乳業メーカー等によるメラミン混入事件だ。M食品が加工動物パンに微量のメラミンが検出されたと公表した。この会社は今後消費者からの安心・安全への信頼を取り戻すには並大抵の努力では追いつかないだろう。前回のこのコラムで取り上げた製パン大手の社長が「会社はいつも順調である訳がない、困難と試練は絶えずつきまとうものだ」と語られた言葉は重い。表示義務のない加工食品の原材料に人体に有害な物質が混入していたとは、夢にも思わなかっただろうが、あまりにも高い代償と引き換えに勉強できた事は「試練」といって済まされるものなのか、「困難」な事には間違いがない。経営陣は消費者の前に出て真摯に事態を受け止め涙を流して猛省し、事件の問題解決に取り組んでもらいたいものだ。2008年は船場吉兆の食品偽装や食品の使い回しから始まり、出るわ出るわ食品不祥事のオンパレード年となった。ただ、それだけ消費者が賢くなったのも"成果"であるのかも知れない。我々製パン業界も中国より数多くの食品や原材料及び製品を輸入しているのは国策上いなめないが、まだメディアが取り上げていないものの中で心配なことがひとつある。「冷凍生地は大丈夫だろうか」。輸入している各メーカーには徹底した調査を重ねて、一日も早い安全宣言をして欲しい。M食品だけを悪者にしてはいけない。
  事故米の扱いについては、石破農相が手腕を発揮して農水省による、より一層の徹底した指導で二度とこのような不祥事を起こさぬよう、国民の信頼回復に全力を尽くして欲しいと熱望する。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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