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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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赤飯まんじゅう

 日本は広い! 第二弾であります。江戸時代の一時期、倹約令が日本全国に発令されました。江戸の粋なお兄さん方は綿の着物に絹の裏地で"粋"を競っていたそうな。
  長野県の飯田市では、住民の楽しみは赤飯を食べる事だったそうで、そんな折、倹約令の施行により、堂々と赤飯を食べられなくなった農民の一人が妙手を考え出しました。赤飯を饅頭の皮にくるんで赤飯を隠して食べる方法でした。これが町中に広まり、住民はいつでも好きな時にその赤飯饅頭を食べていたとかで。いやあ、涙ぐましくも、食い意地の張った落語のようなお話でございます。
  これを知った私は言うまでもありませんね。慣れぬインターネットを駆使しまして、飯田市の名物「赤飯饅頭」を買い求めたのは言うまでもありません。後日、菓子箱が冷凍便で送られてきまして、化粧箱を開けましたところ、紅白のお饅頭が20個チドリに並んで私に食べられるのをお行儀よく待っております。
  「オヤ? なんで饅頭の頭だけ開いて赤飯が見えるんだろうか?赤飯は隠れてないぞ」この疑問を箱に同封されていたパンフレットにある販売元に電話して聞いてみると、「アンコの饅頭と区別するためです」と単純明快な納得の説明に、昔は赤飯は全部お隠れになっていたのが、現在になって、やっと日の目を見ることになったのだと、赤飯びいきの私はうるうるして赤飯饅頭を食べました。 翌日の朝にアイデアが閃いてアルファー米大納言の赤飯を炊き、サンドイッチ用食パンで手巻きにしていただきました。飯田市の赤飯饅頭は皮が甘いのでお菓子感覚なのですが、赤飯手巻きロールサンドは、結構いけます。コンビニで売れそうですね。
  炭水化物と炭水化物って意外と合うんです。

読者プレゼント
  今回の三寒四温で取り上げた赤飯饅頭を読者プレゼントします。「赤飯饅頭10個入り」を抽選にて10名様へプレゼント。宛先はsugata@panka‐ shinbun.co.jpまで。件名に「赤飯饅頭」と入れて会社名、氏名、送付先の住所と電話番号を書いてください。締め切りは、6月30日(火)23 時59分まで。当選者は商品の発送をもって発表とさせていただきます。商品到着予定は7月15日前後です。

キンキとメンメ

 日本は広い! 私は日本人でありながら、あまりにも日本を知らなかった自分を最近になって知りました。特に"食"に関してはこのコラムを通して"ウンチク"をたれていたのを恥じる思いです。
  先月、何気なくテレビのスイッチを入れたら、「秘密のケンミンSHOW」というTV番組をたまたま放映していました。その番組で「キンキ」のおいしい食べ方を北海道から中継しているのではありませんか。キンキは別名「メンメ」とも呼ばれ、魚の女王とも言われるほどの超高級魚でありまして、"釣りもの"になると一匹五千円はしますので、我が家ではなかなか食卓に上がらない逸品です。
  さて、テレビで紹介する"おいしい食べ方"なんですが、お湯でただ煮るだけ。「湯煮」という、そのものの調理法でして、煮上がったら皿に盛り、ウスターソースをかけていただく。ウ・ゲー! 中継を見ていたスタジオも侃々諤々「ウッソー! 本当なのー?」「キモチワルー!」など全員が顔をしかめていたのですが、北海道の人たちはおいしそうに食べています。という訳でスタジオでも試食となりました。
  タレントの友近さんが、ひと口食べてのコメントは「これまで、この食べ方を知らなかった私は人生を損しましたー」。スタジオの試食した人は皆、絶賛の嵐です。番組も悪乗りなのか、中継の大阪で道行く人に声をかけてウスターソースをかけたキンキを食べてもらいました。「キンキにソース? ふ、ふざけるなー」と言っていた若者は、ひと口食べて「これイケルわー、たまげたなー」と感心しきりです。キンキの脂はソースに負けず、ほど良いマッチング。とは司会者の弁。早速私は翌日に高価な釣りキンキを買い求めて、湯煮にして、そして覚悟を決めて、この美しき魚の女王を冒涜する行為、すなわちウスターソースをかけて食べてみました。
  「いやあ、合いますね。酒よりも白ワインが合います。ご飯にも最高の相性でして、とにかく、脂がうまいのなんの、ホクホクとした身にウスターソースとその脂が絡んでたれてゆく、その汁を吸った飯がまたうまいのなんのって」
  その土地々で色んな食べ方がある事を知りました。そもそも湯煮にしたキンキにウスターソースをかけて食べる方法は、漁師が船上の食事で醤油がないのに気付き、たまたまあったウスターソースをかけて食べたのが始まりだそうです。

手作りの餃子

 作家、有吉佐和子さんの著書で、確か「中国レポート」だったか記憶は定かではありません。これも25~6年前に読んだ一節に、興味のある事はすぐ実行する癖のある私は当時、キリキリ舞いさせられたのですが、楽しい想い出として紹介します。
  「中国の餃子にはニンニクは入っていません。これでもか、と大きなセイロに蒸した餃子が山盛りにセイロごとテーブルに出てくるんです。そして脇には生のニンニクがどっさり置かれていました。そうなんです。蒸した餃子を食べながら生のニンニクをかじる。これが正式な餃子の食べ方なのです」。エー! ウソー! 私は衝撃を受けました。(ある村落の話なので、中国全土ではどうなのかは定かではありません)
  家で餃子を作るのはお手のもので、その日の気分によっては生のみじん切りキャベツをしぼったものや、白菜のみじん切りをゆでてしぼったものに豚のひき肉やキノコ、エビなどの海鮮をみじんに切って、好みの調味料を足して混ぜ合わせます。もちろん、すりおろしたニンニクの入っていない餃子なんて、"餃子ではない!"のであります。以上をアンコと業界用語で言うのですが、この臭いアンコの山盛りをせっせと手作りの皮に包むのは、最近では孫との共同作業となり、休日の楽しみのひとつであります。
  さて、本題に戻りましょう。当時の私はその衝撃にいてもたってもいられずに、その時は白菜をメインに餃子を作った記憶があります。
  皮作りは力が要ります。手のひらで押すのですが、腰を使わなくてはコシのある良い皮は作れません、うどんもそうですが、汗ダラダラの作業に小学生の娘が汗を拭いてくれたものです。丸く伸ばした生地を花マルの型で抜くのも娘の作業で、毎回百枚以上作ります。
  一緒に包んで蒸しと焼きが出来上がりました。早速、試食してみましょう。餃子の皮はプルプルッとした食感にアンコがタレと絡んでイイ感じ。さてニンニクは「カ、辛い!」「ク、臭い!」という訳でありまして、苦い辛い想い出は、有吉佐和子さんからいただきました。
  6月10日より上海へ出かける予定があります。中国人の友人宅を訪れて、生ニンニクをかじりながら食べる餃子の味を試してみる事にします。

ドン・ゾイロ

 25、6年前頃に読んだ、タイトルは忘れましたが、ある小説の一節が今でも妙に頭に焼き付いて離れません。私はその小説を自室で夕刻より読み始めたのですが半分ほど読み進んだあたりの一節が私に衝撃を与えてくれました。うろ覚えながら内容はこうです。
  スペインに駐在している若手の商社マンの元へ久しぶりに日本から恋人が訪ねて来た。主人公は迎えた空港から小一時間ほど車を走らせ、とある田舎町の小洒落た小さなレストランに車を止める。「素敵なお店ね」と、白いワンピースのスレンダーな彼女は彼の腕をとり店に入る。それにしても今日は暑い一日だった。「一つ星なんだけれど、リーズナブルな値段で地元の食材を中心に、毎日メニューを変える家庭的な店なんだ」と店の説明をしながら席に着くなり、彼はシェリー酒をソムリエに注文した。よく冷えたグラスに注がれたそのシェリーを口に含んだ恋人は、思わず目を閉じてドライなシェリーの喉ごしの余韻を楽しんでいる。「なんておいしいの! こんなシェリーは初めてよ」。「よかった。料理もそうだけど、君にこのドン・ゾイロを飲ませたかったんだよ」。「口説き上手なセリフね」。テーブルに置かれた小さなキャンドルが吐息に揺れている。
  私はパタリと本をたたみ、高円寺の行きつけのフレンチレストランへ小走りに向かった。22時を少し回って、レストランは私と入れ替わりに最後の客を送り出したところだ。「どうしたの、菅田さん」と総料理長がニコニコと近づいてくる。「ドン・ゾイロある?」。「ごめん、ティオペペしかシェリーはないよ」。「やはりねー、残念だけど。それじゃあ、それを一緒に飲もうか」。従業員が掃除や片付けをしている脇を抜けて、2人でバーカウンターに座り、その本の話を私はシェフに話した。話は夜中まで続き、従業員も参加してティオペペと3本のワインを空にした。食い物談義は留まることを知らない。
  翌々日に私はその「ドン・ゾイロ」と対面することになるのだが、まるで、まだ手もにぎったことのない恋人に逢うような高揚感を持って栓を開けたのを覚えている。無性にあれが飲みたい、食べたい、という感情を抑えられなくなる事ありませんか? ですから、私の家には私のお気に入りの日持ちのする食材は必ずストックしてあります。だってそうでしょ。フランスのアルルで食べたタプナーゼ、パリのラッフルズ食品館でイベリコの生ハムを売っているカウンターの脇に置いてあるニンニクトマトソースの瓶詰め。どちらも薄切りのバゲットにディップして食べるのですがサラダにかけても絶品です。そしてパリの定番のウナギの燻製。これは少しずつ切り分けて骨と皮をとって食べるのですが、程よい脂に赤ワインが良く合います。いずれも日本では手に入らない逸品です。北海道に旬のウニを食べに行くのはお洒落ですが、フランスは遠すぎます。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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