イチゴ汁
最近、平日の朝から色々な局で韓流ドラマの再放送が連日流されていて、まさに日本のお茶の間は韓流に席巻されているかのようです。我が家でも韓流スター大好きの家内から「ビデオに録っといてね」と言われ、毎週一週間分たっぷりと昼の再放送分を録画しております。先週は暑い暑い四連続猛暑日となりまして、外食に出かける気力もなく、目いっぱいエアコンをかけて、韓流ドラマのビデオを家内に付き合わされ、たっぷりと見ることとなりました。この日のストーリーは、ちょっと太ったアラサーの女性パティシエが主人公でホテル王の一人息子とのラブロマンスは笑いあり、涙ありのドタバタ喜劇風で、演技は〝素のママ〟なんでしょうか。好感が持てるそのキャラクターに物語の構成や背景も良くできていて、いつの間にか、第4話、第5話とひき付けられ、見てしまいました。「さあ、今夜はここまで」とキリがないのでCMを飛ばしながら見たストーリーの中で気になるワンシーンがありました。恋人に裏切られたと勘違いした彼女は傷心の中、ひとり冬山に登ります。冷たい雪が降りしきる無人の山小屋の軒下で寒さをしのいでいると「ここに来ているらしい」と、聞きつけた恋人がマホービンに温かい彼女の好きなワカメの味噌汁を持ってやって来ました。「何しに来たのよ」と彼女。「君の好きなワカメの味噌汁を持ってきたよ」と恋人。怒りながら口をとがらせて「じゃあ、私の好きなウニも入ってるの?」エッ?ワカメの味噌汁にウニ!気になるセリフとシーンではありませんか!結局、そこの描写はなく、ふたりは下山して〝つづく〟で終了しました。夜も更けてきました。ウニ入りの味噌汁の夢でも見ながら寝るとしますか。翌日は昨夜のことも忘れて会社で原稿を書いていると宅配便がやってきました。岩手県は久慈でベーカリーを経営する私の友人からです。クール便の発泡スチロールのフタを開けてびっくり。ナ・ナント塩水入りの生ウニではありませんか!早速行きつけの寿司屋のノレンを家内と一緒にくぐりランチの海鮮丼とワカメ入りの味噌汁を注文します。海鮮丼の主役は一時、丼の端に退避させて新たな主役のウニ様をドーンと盛り付けてからワサビを溶かした醤油をタラッタラーと回しかけてクリーミーなウニに包まれたシャリをやさしく口に運び頬張るのです。「ウン、シ・ア・ワ・セー」。塩水ウニの旨さは筆舌に尽くせないおいしさです。そしていよいよワカメの味噌汁にウニを投入!「潮の香りが――」「アッ、少し熱を加えただけでクリーミーからプリッとした食感に変化したよ」「海のもの同士は相性がいいし、お互いの良さを味噌汁が引き立たせているわ」そんなふたりをカウンター越しに観察していた店の大将がひとこと、「それ、イチゴ汁といってかなり有名だよ」「エッ、本当、知らなかったなー」食通が、聞いて呆れます。