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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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風と共に去りぬ

先週の土曜日、久しぶりの雨が夏の終わりを予感させるような秋の涼を連れてきました。春は行きつ戻りつ訪れますが、秋はいつもストーンとやって来ます。まだ8月なのに、もう夏は終わりかな?赤坂のスペイン坂から霊南坂へ抜ける桜並木では、雨上がりに散歩する犬達も気持ち良さそうに桜の木にマーキングをしています。この通りに、ポツンと一軒佇むお洒落な無国籍料理店の「RANDY」があります。よくテレビドラマや映画の撮影で使われていますよ。ひと月ほど前に、天海祐希さんをお見かけしました。顔が小さくて実に美しい方でした。
 テラスには白いパラソルの開かれたテーブルにワンちゃん連れのカップルがワイングラスを傾けています。おっと、私の好きな鶏の白レバームースを、トーストしたバゲットにたっぷり塗っておいしそうに食べているではありませんか!真っ白なスコッチテリアが「僕にもー」って顔で二人を見上げていました。今日は家内が孫の家へ遊びに行っているので鬼の居ぬ間の洗濯よろしく、ひとりDVDを楽しむと決めているので、ワインは後の楽しみにする、としますか。
 5年程前に、通販チャンネルで買い求めた「水野晴郎のDVDで観る世界名作映画」の入った箱を取り出すと、どれひとつ封が開けられていなかったのには唖然!マ、通販で買ったものなんて、番組に参加した満足感だけで、宅配された頃には興味が失せている。そんなもんです。「何を観ようかな」。ジーン・ケリーの″雨に唄えば〟なつかしいなあ。雨の日に銀座へ出かけると、必ず銀座木村屋のレストランの窓際に席をとり、眼下の4丁目交差点を見下ろすと、音楽と同時に傘をさした街中の人が、今にも踊り出しそうな、そんな幻影を想像したものです。
 オードリー・ヘプバーンの〝シャレード〟、お洒落なサスペンス映画ですね。でも、今日はヴィヴィアン・リーの「風と共に去りぬ」を観て、泣く事にしましょう。その前に、この映画のとっておきの秘密を教えましょう。「明日は明日の風が吹く」という有名なセリフ、原作では「Tomorrow is another day」と書かれています。アレッ! 日本語訳と意味、違いますね。実は、原作者のマーガレット・ミッチェルのクリスチャンとしてのメッセージだったのです(新訳聖書のマタイの福音書6章34節より)。「だから、明日のための心配は無用です。明日のことは明日が心配します。労苦はその日その日に、十分にあります」聖書の御言葉をさりげなく表現する、なんてとてもお洒落ではありませんか。
 それではDVDスタート。
 

天地創造

全国の交通渋滞情報がTV画面に流れる。「下りも上りもどこも込んでるな」と、ベランダに出て首都高のジャンクションを見下ろすとすでに都心も渋滞となっている真夏のお盆の日、旧暦では〝立秋〟なのに、この暑さは一体なんなんだ!ふきでる汗を手でぬぐいながら、頭上から照りつける太陽を目を細めて見やると、ふと〝天地創造〟が頭をよぎった。旧約聖書の創世記第一章第一節より三節まで。「はじめに神が天と地を創造した。地は形がなく何もなかった。闇が大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。そのとき神が『光よ、あれ』。と仰せられた。すると光ができた」。私は今、その光を見ている。その輝きはすべての物を照らして恵みを与えてくれる。朝焼けから夕焼けまでの光の変化を神々しく感じるのはこういう訳なのだと再認識しました。
 『失われたときを求めて』で有名な作家のマルセル・プルーストは「神に対する最高の賛辞は無神論者による神の否定だと言われている。彼らは天地創造の完璧さは創造主である〝神〟なしではすまされない域に達していると考えているからだ」と、語っています。釈迦は「宇宙空間は果てしないのか、果てがあるのか」との弟子の問いに「物事のはじめが明らかになることがいったいなんの役に立つのだろう」と、天地創造の謎には触れなかったと、私が読んだ『創造者たち』(集英社)に書かれておりました。お釈迦様も心の中では神が天地を創造されて現世があると思っていたかもしれないと想像すると人生観が変わっていきそうです。宗教は世界に数々ありますが、やはり〝天はひとつなんだ!〟とつくづく思わされました。
 日本は旧暦のお盆で民族大移動をしています。クリスチャンも仏教徒もヒンズー教徒もお盆はお盆。そして12月25日はみんなの〝クリスマス〟なんですね。友達、家族、大切な人を想う素敵な風習は誰もが大事にしなければなりません。

自分の居場所

とんかつの「とんき」目黒本店へ久し振りに家内と2人で行って来ました。確か30年以上前になるかな、私の母が「とんき」のとんかつが大好きで、当時の高円寺の自宅より運転手として、よく連れて行かれたのを覚えています。開店時間は16時でしたが今はどうだろうか。当時は開店時間前から行列ができて、あっという間に、40人は座れるコの字の白木のカウンターは満席になっていた記憶。16時30分を過ぎればカウンターの後ろにある、ウェイティング用のベンチシートはすでにいっぱいになって、入口のガラス戸にまで立って待たされる程の人気店であった記憶がよみがえり、南北線の目黒駅の階段を上るのももどかしく、ついつい急ぎ足になってしまいました。
 着いてみると外観は昔と相も変わらず、周辺のビル群に、2階建ての店舗が溶け込んでいました。白地に黒の平仮名文字で「とんき」と書かれた暖簾をくぐり、ガラス戸を引き開けると、30年前にタイムスリップしたみたいです。「ナ、何も変わって無い!」ぜいたくな程の広さのオープンキッチン内ではノリのきいた白衣に白帽の、とても清潔に感じる従業員が規則正しく接客しています。ながめていると楽しいですよ。とんかつの皿に盛られた千切りのキャベツが少なくなるとザルにいっぱいのキャベツを菜箸で「おかわりいかがですか?」ってカウンター内を走りまわる係が何回でも盛っていました。「変ってないなー」そう! 私は大のキャベツ好き! 今日は3回くらいおかわりをしそうです。
 10分程の待ち時間でカウンターに座れた私達は、ビールと熱燗をそれぞれ注文。ピーナッツと塩昆布が2皿ずつサービスされるのも同じで、有料のお通しではありません。ロースとフィレの定食をそれぞれオーダーして酒をひと口飲んだら、「アッ」と気づきました。さっきから何か足りない、と感じていたんだ。それは30数年前、アトランダムにウェイティングシートで待つお客様のオーダーと順番を正確に覚えてくれていたお姉さん。それはそれはまるで神技でしたよ。席が空くと手を差しのべて「そちらの3人様、どうぞこちらへ」。お客の顔、全て覚えている訳です(それを一人で仕切るのです)。聞くところによると、今はご隠居の身ですが毎晩閉店前の9時過ぎ頃に店へ遊びに来て店内を眺めているそうです。引退しても自分の居場所がある。なんかほのぼのしますねー。あの技、もう一度見てみたいな。

直伝の味

経理事務の仕事をしている家内が、仕事の合間に会社のキッチンで小気味の良い包丁の音を立てている。トントントン、サクサクサク。そこへ三浦記者がお茶を飲みにやって来て「もうこんな季節なんですねー」と、感慨深くお茶をすする。
 そうなんです。我が家の名物、ネギ味噌は毎年今頃になると社員へふるまわれるのです。その会話を聞いて私もキッチンへ行ってみました。柔らか白ネギが50本?茗荷が大量!大葉が大箱に2つ、青唐辛子百本?ぐらい。味噌3種類、各1kgずつ。これらの食材が台所に所狭しと置かれているのを、まな板でひたすら切る、切る、切る。すべてを微塵にするんです。大きな洗面器2つに次々と微塵切りにされた野菜が入れられていきます。そこで登場するのが米酢、ザラメ、本味醂、日本酒です。ザクザク、ドボドボ入れちゃいます。まるで目分量の神の域に達しているかのように。メジャーカップなんて必要ないんです。見ていてハラハラしますよ。そしてざっくり手を入れてかき回して味見。「ウンウン、酢をもう少し」「ウンウン、ヨシヨシ」。人差し指にたっぷり乗せた出来立てのネギ味噌を私に無言で食べろ!と突出します。無言の圧力です。そしてその目には自信がみなぎっています。そう、私は〝勝たない〟〝勝てない〟〝勝とうとしない〟の我が家のルールを守っていますから、ア・ウンの呼吸なんです。「なんだよ、今はいいよ」なんて言えません。「う、旨い!」。この味は本当にホンマものです。
 ネギ味噌は実は私の母の直伝の料理なんです。世界で一番の我が家の味と自負してます。よろしかったらおすそわけしますよ。
 早速お昼にいただきました。前日の残り飯をおにぎりにしてありましたので、よーくオーブンで焼いて一面を残して醤油にまぶし、残り一面を上にしてネギ味噌を塗り、もうひと焼き。お椀には小匙2杯のネギ味噌にお湯を注げばネギの味噌汁の完成です。大葉、茗荷、青唐辛子が彩りよく、目が喜びます。そして口にうれしい、喉においしい。明日は冷や麦につけてたぐってみますか。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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