私の大好きな、そして尊敬の人でした。
オリエンタル酵母工業の社長になられたとき、「パンの窓を通して考える」というコピーを作られた内藤利邦さんは確かにクリエイティブな方でした。創造的な中にも確固たる自信がみなぎっていました。独創的な中にもロマンがありました。とにかく内藤さんは存在感のある方でした。ご自身の考えをしっかりもたれていて、その言葉にはいつも重みがありました。内藤さんにはオーラがあり、カリスマ性すら感じられました。そして長年の研究やたくわえられたその学者のような豊富な知識から雑学のうん蓄にいたるまで理路整然とされた物腰、物言いに誰もが背をシャンとして耳を傾けました。
通夜の日の朝、私はいつものように家内と連れ添って池ノ上キリスト教会の日曜礼拝へ出かけました。そして私にみ言葉が与えられました。
――彼は傷んだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともなく誠にもって公義を尽くす。彼は衰えずくじけない。ついには地に公義を打ち立てる島はもその教えを持ち望む――。
旧約聖書のイザヤ書42章、3節から4節のみ言葉です。公義とは〝道〟の意味があります。神様がつくられた〝命の道〟です。内藤さんは信念の道をつくられ、社長、会長を歴任されてそしてそのように歩んで来られました。ですから、その功績は偉大です。
とても楽しみにしておられた11月10日に開催されたNOBU TOKYOでのディナーの席には内藤さんはお見えになりませんでした。でも通夜にそのシャンパンとワインを持っていきますから、天国で楽しんで下さい。私の父も待っていますから。
「菅田君、このワインはまるで野に咲く一本のバラのようだね」。今度はどんなイメージなんですか。もっとたくさん教えてくさだい! 内藤さん。
(株)カワグループ(川良弘社長)は、10月26日に和歌山市内のダイワロイネットホテルに関連取引業者と従業員約300名を招いて創業30周年記念祝賀会を開催しました。
てんてんてんまり てんてまり
てんてんてまりの手がそれて
どこからどこまでとんでった
垣根をこえて 屋根こえて
表の通りへとんでった とんでった (中略)
感謝イベントのコーナーで、津軽三味線による「まりと殿様」が唄付きで演奏されるとしみじみと歌詞を聞き入ったのですが、和歌山に縁のある歌なんだって初めて理解しました。
カワグループは和歌山県内を主な商圏として、ベーカリーの他にも外食フランチャイズ、自営のレストランなど29店舗を経営して、最近では焼きたてピザの店を大阪の若者の町、アメリカ村に出店させるなど、とても元気な会社です。
てんてんてまりは殿様に
抱かれてはるばる旅をして
紀州はよい国 日のひかり
山のみかんに なったげな
赤いみかんに なったげな なったげな
西條八十作詞、中山晋平作曲の「まりと殿様」の詩のように、和歌山より毬からパンに変わって日本全国津々浦々まで進出してグループ事業を発展・成功させるだろうな、と感じさせられる勢いのあるパーティーでした。
カワグループの殿様である川良弘社長を先頭に、精鋭かつ信頼厚き社員達が一丸となって、今度は山のみかんたるカワのパンと数々の事業が日本全国を席巻する日は近いでしょう。
引越しのあいさつの際に「おそばに越してきました。末永く、よろしくお願いします」と、向こう3軒・両隣に盛りそばを2枚ずつ振る舞ったという江戸っ子の洒落、最近ではトンと見かけませんねー。
私の父が60年程前に世田谷から東京都中野区に引越してきた際に、ご近所にそばを配っていたのをちょっぴり思い出しました。それから3~4年くらい経った頃に、お隣さんが引越してきて、盛りそばを人数分の3枚いただいたのですが、両親が留守だったのと、子供ごころに伸びてはもったいない、腹も空いている、という塩梅で育ち盛りの自分は3枚全部ツルリと平らげてしまった記憶がございます。
さてさて、先月に杉並区の下高井戸へ越してきた江戸っ子の私としましては、そばでも配ろうかと思案しましたが、そば屋はどこだ? おいしくないかな? 留守だと困るな…などと一人案じていたところに、「パンの業界紙の社長なのだから食パン三昧なんて、どうかしら?」と家内のアドバイスで、急ぎスーパーへ出向いて大手3社の食パンを10斤ずつ買い求めて家に帰り、ふろしきに厚手のダンボールを切って下敷きにして3種類を包み、「となりに引越してきました。どうぞ、よろしくお願いします」と配ってきたのです。いやー、喜ばれましたよ。「3種類の食パンの食べ比べはとても参考になりましたよ。いつも同じ食パンだったけど、あえてチェンジする冒険心がなかったので、こんなにも食パンの味って違うんだと目からウロコでした。オ・ホ・ホ」なんて皆さまからお褒めをいただきました。パンは人を幸せにしてくれます。ここで私は確信しました!「引越しパン、これは売れるゾ!」「でしょー」と、どや顔の家内、いやー、参りました。
セミハードのボックスに3種類の食パンを入れて、リボンでもかけたら、お洒落ですよね。引越しだけでなく、ちょっとした手土産にどうでしょう? 千円以下で喜ばれる手土産って、そうそうありません。
おいしいコンソメスープは、ここにあります。
「絶対の一品」と過剰なまでに豪語する、ホテルオークラ東京の伝統料理の代表作の筆頭〝コンソメスープ〟は、テーブルに用意されたスープ皿に、ウエイターが銀器に盛られたスープを銀のレードルでうやうやしく注いでくれたその瞬間に、気品ある琥珀色のスープは、筆舌に尽くしえぬ芳醇な香りを漂わせて私の眼の前の皿に鎮座しました。
銀のスプーンでひと口、ああ、なんという事でしょう。ああ、この上品な香りと舌ざわり、そして幸せも一緒に飲み込むのどごし。じわじわーっと食道を落ちていく幸せの味と香りに、「やっと会えたね」なんて心の中でひとり語っちゃってロマンティックな気分にもしてくれます。これもひとえに結婚式にお呼ばれされての特権でありまして、そうそうお口に入るものではありません。
という訳でありまして、オークラのコンソメスープの味とはまた違った意味で、リーズナブルなお値段で幸せにしてくれるおいしーいコンソメスープを提供するレストランがここにもあります。それはJR恵比寿駅近くの恵比寿橋下にある、「ゴッサム・グリル」。ここは、東急百貨店・渋谷本店前にある人気ベーカリー〝ヴィロン〟を経営する西川隆博社長によるこだわりの炭火焼きステーキレストランで、オープンから今年で3年目になるでしょうか。ステーキ好きな私は、開店以来「ゴッサム・グリル」の虜になってしまいました。国産ジャージー牛を0℃の温度で1カ月ほど寝かせるエイジングにより熟成させたゴッサム・グリルのビーフは、どの部位も絶品ですが、私は大好物のリブアイをミディアムで、家内と2人で600g位シェアして平らげます。A5ランクの霜降りたっぷりの神戸牛や米沢牛は一人で150gも食べれば胃もたれしますよね? 不思議な事に、ここのステーキはこれだけ食べても「もう少し、いけるかもね」と家内と会話するほどに、胃もたれしません。
その秘密は、ステーキをいただく前のスープにあるのではないでしょうか? ゴッサム・グリル特製〝コンソメ・ロワイヤル〟素晴らしい! ハラショー! コンソメスープに玉子豆腐のようなものが入っているだけのこのスープ、オークラ東京とは比較できない、驚きの、深いストーリーがいっぱい詰まったような…。ゴッサム・グリルの〝コンソメ・ロワイヤル〟をいただくと、食欲がなぜか沸いてくるんです。そしてステーキがどんどん入っていくんです。この相性、ぜひ一度試してみて下さい。