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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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ランチ・ライスパック

 毎日いただくご飯に、お米のこだわりはありますか。そして、おいしく炊けていますか。「お米はおいしく食べたい」。これは、私の生涯学習の追究課題でもあるのです。以前は魚沼産100%、しかも生産農家指定で有機栽培でなければダメだね、なんて恰好つけて5kg1万円弱のお米を平気で買っていたのが、今ではウソみたいに5kg3000円を切っています。これは別に不景気だからとかではなく、やっと私の理想とするお米に少し辿り着いたら、この値段になったのです。普通に売っている富山のコシヒカリと、ミルキークイーンを5対5でミックスします。もちろん玄米を自宅で精米してからですが、これがたまらん旨さでお米が炊けるから不思議です。
 自宅精米仕立てですから、お米はよーく研ぎます。そしてザルにあげて30分くらいしたら普通より水を10%くらい少なくして即スイッチ・オン。電気釜は極厚銅鍋にこだわりますが、家庭でもっとおいしく炊くなら、私の場合は文化鍋を使います。先ほどのように仕事した米をガスの強火にかける。ふきこぼれたら、弱火で18分くらい。耳を近づけ、音を聞いて匂いをかぎます。甘ぁーい匂いは炊き上がりの合図。おコゲが食べたければ、ここで再び強火に。コゲの匂いがするまでかぎ続けて、火を止め10分ほど蒸らしましょう。お櫃にとって濡れ布巾をかぶせてから、文化鍋にへばりついたおコゲに醤油をかけ回します。そして竹ベラでゴッソリ、はがし落とし、おむすびにして、パクリ。これが一番、おいしい! そして、炊きたてのご飯もおいしくいただいたら、残ったごはんは、塩むすびにしましょう。それも、とっておきのおむすびです。このお米は、冷めた方がおいしいのです。テカって餅米みたいに粘りがほど良く、噛むと甘みが口の中に広がります。では焼き海苔一枚を半分に切って、その半分にうすく冷や飯をのせ、ひと塩してから残り半分をたたんで押さえます。ハイ、出来上がり。焼きタラコをまぶしたり、南高梅を少し塗ってもいいですね。孫も大喜びの我が家のとっておきの平たいおむすびであります。古代米を2割入れると、もっとおいしくなりますよ。お試しあれ。

送電塔

 階段を昇った脇にある書斎のドアを開け放つと、大きなガラス窓の先に映る東電の送電塔が、まるで一服の絵が描かれているかのようにピタッとはまります。3段ある送電線の下側に、白い雲が夕暮れ色に染まりながら左右に細く伸びていました。思わず席を立ち、背伸びをして左に目線を移すと、茜色の夕焼けがどんよりとした空を少しだけ染めています。送電線の頭の上に小さなはぐれ雲がひとつ佇んでいました。2月9日木曜日時刻は午後5時35分、パソコンのメールをふたつほどチェックしてまた空を見やると、はぐれ雲がありません。闇に隠れたのか、本当にどこかにはぐれてしまったのか知る由もありませんが、闇が迫ると遠くに見えるビル群の屋上の赤色灯がキラキラと点滅しているのが目立ちます。アッという間に、また寒~い夜がやってきました。家内が愛犬の散歩から帰ってきたようです。「ガラガラー」といつもの大げさな、うがいの声が下から聞こえましたから。「お帰りなさーい」と言いながら階段を降りると、家内が愛犬に玄関のマットの上で食事をさせていました。「何にしますかね、私たちの夕食は」。幸せな問いかけです。「宮川のうなぎを食べにいきましょう。今夜は熱燗でね」。
 今ではこの送電線に福島原発からの電気は流れてきません。でも、水力か、風力か、火力かは見えないけれど、電気は確実に今も流れています。文明に慣れた人間社会に無くてはならない電力。この偉大なエネルギーに私達の生活は守られていることをもっと知るべきです。そして、これからは何が大事かということも。
 あの忌まわしい原発事故からもうすぐ1年になる。

オペラ・キャンディード

 兵庫県の淡路島を訪れて、2003年から展開している「パソナチャレンジファーム」を見学してきました。これはパソナグループが、農業分野で雇用を生んでいこうと始めたプロジェクトの1つで、農業分野で起業したい人材を支援する農業ベンチャー支援制度の一環だそうです。1988年に建設されて、少子化による統合で廃校となった鉄筋3階建て校舎(延べ1637㎡)を昨年、市から無償貸与され、これらを活用した地域活性化に着手して、農作物の加工所、カフェ、コミュニティサロン、薬用植物などの水耕栽培施設の建設などを計画しています。そして2011年4月13日には、〝芸術〟と〝農業〟による若者の人材育成のための「COCOCALA村」の入村式が行われました。これは農業と芸術、地域産業を結びつけて地域活性化を図ることができる人材を育成することが目的で、社会人として必要なビジネス基礎を学ぶ研修のほか、芸術家に必要なマネジメントスキルや企画力を習得するために、プロの芸術家に研修講座を実施してもらうなど、芸術活動と農業による新しい事業スタイルの提案で、現在170名の芸術家のタマゴ達が活動しています。昨年の12月には島のホールにて「ONE STEP~ここから始まる最初の一歩~」と題したオリジナルショーを開催して、島の近隣住民の皆さんにタップダンスや連太鼓など日頃の練習の成果を披露して交流を深めました。ファームで作った淡路島玉ネギも元気に育って、評判が良いそうですよ。
 淡路島は景色が美しい。空気がキレイだ。人情味がある。何よりも魚が旨い! しかし、育ち盛りの若者には必要不可欠なパン屋が無い! 町の人もおいしいパンが食べたいハズだ。という訳で、ここにベーカリーを作りたいのでアドバイスを…という事での訪問でしたが、何とか年内には本格的なCOCOCALA村ベーカリーが誕生できそうです。その暁には、ぜひ芸術家を目指す皆さんで演じてもらいたいものが1つあります。私の好きなオペラ「キャンディード」です。18世紀のフランスの思想家ヴォルテールの小説が原作で、バーンスタインがオペラにしました。終幕の合唱に、このプロジェクトと共感できる象徴的な一節があります。
 「夢想家は好きな世界を夢見ればいい。エデンの園は見つからない。僕らは賢くも善人でもない。精一杯やるだけ。家を造ろう、森を拓こう、農園を育てよう」。
 地産地消を合言葉に、地域に密着して地域の活性化を図りながら芸術と農業を学ぶ。ナント素敵なプロジェクトではないでしょうか。ブラボー!

〽馬鹿は死ななきゃーなおらない

 先週のコラムで寿司を取り上げましたが、皆さん、〝寿司〟と言われて連想するのは何ですか? 私の場合は♪トロは中トロ、コハダ、アジ、スシ食いねー♪って、すぐに反応してついつい唄ってしまいます。シブガキ隊のこの歌は一世を風靡しましたね。もう、耳に焼きついています。そして、寿司といえば何と言っても強烈なインパクトでイの一番に連想できるのは、ご存知、遠州森の石松、金毘羅様への代参帰りの三十石船の中でのくだりですね。広沢虎造のしわぶき声の節まわしに引き込まれます。八軒谷から伏見へ渡す渡し船、大阪本町橋の名物押し寿司を脇置いて、ふちの欠けた茶碗で酒を呑みながら乗り合い客のつまらない話を聞いている森の石松。お国自慢に名物自慢、聞いているうちにバクチ打ちの話になり、海道一の親分の話になった。何人かの親分衆の噂話が聞こえてくる。と、その時、横になって聞いていた男がたまらず起きあがって、「何を四の五の云ってやがる。黙って聞いていたが、もう我慢ならねえ。海道一の親分は、なんと云っても駿河の国が安倍郡(あべごおり)、清水港の有渡(うど)町に住む山本長五郎、通称、清水の次郎長でい!」。待てば海路の日和ありとはこの事だ、とばかりに喜んだ石松は手招きをして「オイオイ、そこの客人、こっちへ寄れよ、ホラ、寿司食いネエ、酒呑みネエ、江戸っ子だってねェ」「神田の生まれよ」「それで、次郎長の一番強い子分は誰でェ」と問いただすと、「いわずと知れた遠州は森の村、森の石松をおいて、他にはいねえぜ」。気を良くした石松は「ホラ寿司食いねえ、もっと酒呑みねえ」。と、盛り上がるのですが、この場面は水戸黄門様の印籠のくだりと同じでスカッといたしますねなんとも楽しいお話ではありませんか。ところで、この中で気が付いたこと、ひとつございませんか。そう、「江戸っ子だってね、寿司食いねェ!」と石松さんが振る舞っている寿司は、ナント、大阪の〝押し寿司〟だったんですよ。皆さんご存知でしたか。
 それにしても浪曲は素晴らしいですね。広沢虎造は天才です。いつ聞いても鳥肌が立って感動して、あまりの語りのうまさに、主人公に好感が持てて涙があふれ出てきます。歳を重ねると情にもろくなり、涙腺がゆるみっぱなしです。さて、しまいに、この話の中で当時の東海道で、子どもたちによく歌われていたというシブガキ隊より有名な〝森の石松子守唄〟の一節で締めましょう。

〽 馬鹿は死ななきゃー、なおらない

私の事ですね。さて、今夜も寿司を食べに行きますか。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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