そして、その時
でん出らりゅうば、出てくるバッテン。でん出られんケン、出てこんけん…。最近、やたら耳にするトヨタパッソのTVCMのこの手遊び唄、どんな意味があるのかなと思ってインターネットで検索したところ、長崎県に伝わる「わらべ唄」のひとつで、解説を読んでも大した意味は無いな、と思いながら次々とクリックしていくと、興味ある「説」が出てきました。それは日露戦争に関わる唄らしいのです。以下の唄以外は私のフィクションです。
のちに陸軍大将となった秋山好古が世界に誇るロシアのコサック騎兵と、自らが作り鍛え上げた日本騎兵隊が二〇三高地で死闘を繰り広げた場面です。
「コサック騎兵はなぜ来んじゃろか、来られんけん 来ん来られりゃ来るばってん」
見事、コサック騎兵を撃破した好古はその後、陸の決戦地「奉天」に臨み、激戦を勝ち抜いて日本の勝利を導いたのでした。一方、秋山好古の実弟・真之は日本海軍の旗艦「三笠」に参謀として乗り込み、旅団を指揮して世界最強といわれたロシアのバルチック艦隊と国家の命運を賭ける死闘を繰り広げるのです。
「ロシアの軍艦 なぜ出んじゃろか 出られんけん 出ん出られりゃ 出るばってん」
そしてその時、あの有名な言葉が真之より生まれたのでした。
「皇国の荒廃、この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」
私は15年前にもう一度、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでから、旅順港と二〇三高地へ行ってきました。「夏草や兵(つわもの)どもが夢のあと」と松尾芭蕉は詠みましたが、まさにこういう気持ちなんだなと感じた次第です。歴史の場所に立ち、目を閉じて小説の場面を思い浮かべると、好古の〝檄〟が聞こえてくるようでした。
のちに陸軍大将となった秋山好古が世界に誇るロシアのコサック騎兵と、自らが作り鍛え上げた日本騎兵隊が二〇三高地で死闘を繰り広げた場面です。
「コサック騎兵はなぜ来んじゃろか、来られんけん 来ん来られりゃ来るばってん」
見事、コサック騎兵を撃破した好古はその後、陸の決戦地「奉天」に臨み、激戦を勝ち抜いて日本の勝利を導いたのでした。一方、秋山好古の実弟・真之は日本海軍の旗艦「三笠」に参謀として乗り込み、旅団を指揮して世界最強といわれたロシアのバルチック艦隊と国家の命運を賭ける死闘を繰り広げるのです。
「ロシアの軍艦 なぜ出んじゃろか 出られんけん 出ん出られりゃ 出るばってん」
そしてその時、あの有名な言葉が真之より生まれたのでした。
「皇国の荒廃、この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」
私は15年前にもう一度、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでから、旅順港と二〇三高地へ行ってきました。「夏草や兵(つわもの)どもが夢のあと」と松尾芭蕉は詠みましたが、まさにこういう気持ちなんだなと感じた次第です。歴史の場所に立ち、目を閉じて小説の場面を思い浮かべると、好古の〝檄〟が聞こえてくるようでした。