「おいしいパンと暮らそう。」ご存知、山崎製パンのTVCMのナレーションです。スライスされた食パンにはレタス(L)、トマト(T)、ハム(H)そして半熟の目玉焼き(E)が、今まさにひとつにサンドされて…ちょっと、待ったぁー! TVCMはここまですが、私がこのスタイルでかぶりつくには、サンドする前に大事な大事な、ひと手間をかけなくてはなりません。それは半熟目玉焼きの黄身をフォークでつぶしながら醤油を混ぜ入れ、そして食らいつく。当然、醤油と黄身がタラーリとこぼれ落ちるのですが、そこは注意を払いつつ啜るのであります。あーおいしーい。
BLTサンドはあまりにも有名ですが、頭文字の〝HELT〟の意味はビートルズのHelter Skelterの略語として「混沌」または「慌てふためく」という意味とすればナント、ピッタリではありませんか。このネーミング、いかがでしょう?
パスコの小熊のTVCMは可愛いですね。イングリッシュマフィンのハンバーガー、これもついつい作ってしまいます。我が家では小熊の代わりに30kg超えのボーダーコリーの愛犬・RyuRyuが、小熊よろしく行儀よくお座りしてでき上がるのを待っています。
フジパン本仕込みの1枚のトーストに、バターが溶けて流れ落ちるのをバターナイフで塗り上げる時の、あの〝カリッカリッ〟という音、おいしそうですね。
ウエハースにチョコレートがかかった、キットカットの紅いロングドレスのみめ麗しき美女が〝サクッ〟と食べると〝音まで豪華な〟とナレーションが入りますが、食べものは、見た目も音も大事です。そういえば「美女がキムチを食べる音は、まるで小鳥のさえずりのようだ」と、食べる〝音〟について以前のコラムでとりあげましたが、(家内にキムチを食べさせて、目を閉じてその音を聞いた話)今度はキットカットで試してみようかな。豪華な音は聞こえるでしょうか。
この時期のTVCMは、まさに食欲の秋をそそる良い出来映えで、ダイエット中の私はホトホト困り果てております。 日本パン菓子新聞10月15日号で取り上げた、タカキベーカリーの秋の新作、平焼きブレッドは、見た目がとてもおいしそうですね。東京では販売していないとの事なので、来週の神戸出張の折りに買い求めて来ましょう。どんな具材がマッチするのかいまから楽しみです。
私がドイツから帰国した翌日には、息子が赴任している上海へ孫の顔を見に飛んで行った家内が、8日ぶりに帰国しました。翌日はモロッコ王国の駐日特命全権大使のサミール・アルールさんのプライベートな還暦パーティーへ、市ヶ谷の公邸に2人連れ添っておじゃましました。そこにはモロッコのクスクスをはじめとしたお料理の他に、今年、築地の初セリで大間産クロマグロを6千万円で落札した「すしざんまい」の木村社長が厳選された寿司ネタと職人3人を連れて、即席の寿司バーをオープンさせていました。家内は大の刺身好きで、久々の寿司に喜んで箸がすすみます。隣の席は外務省から内閣官房へ出向しているKさんのご夫人で、中国の話で家内と盛り上がっていました。何でも、ご主人が次の駐中日本大使の候補らしいのです。当のご主人は、というとアルール大使と一緒に〝60〟がデコレーションされたイルミネーションの点滅する眼鏡を掛け、共に赤いチャンチャンコを着て記念写真のポーズをとっています。そう、Kさんも還暦なのです。お呼ばれされた30名のゲストの中にはゴルフ仲間のウガンダやジブティ共和国の駐日大使も一緒に、楽しそうに踊っていました。
楽しかったパーティーから帰宅すると、何やら家内の様子がおかしいではありませんか。どうやらお腹の具合が優れないよう。実は、以前から生牡蠣や寿司を食べるとお腹を下すので、大好きなサバやアジ、イワシなど光ものが原因なのでは?と、それ以来、それらを食べずにいたら何もないので、気を付けて寿司を楽しんでいたのですが。なのに、どうして…? 多分、孫との遊び疲れかもしれません。ベッドに入って、寝る間際に「もう、お刺身やお寿司は控えないとね」と私が言うと、「私から、お刺身とったら、ナニもないよ」と、何やら中国人ぽい口調で意味不明な言葉が返ってきました。昼間、中国人のマッサージをしてもらったり上海に8日間滞在したり、中国の政治の話をしたりと、それが原因かなーと思うでしょ。でもこれは、家内の典型的な略語なんです。このくらいの意味は解読できないと、我が家の会話には入れません。曰く「大好きなお刺身とご飯が食べられなくなったら、食事の楽しみがなくなってしまいます。困ったわ」
「僕からビールを取り上げたら、ナニもないよ!」…痛風と上手に共生しています。
居心地の良いオアシスが虎ノ門のホテル内にあります。ペンタハウスの階下にはこのホテルのフラッグレストランがあり、同じ入口の反対側の右奥に、隠れ家的シガーバーがひっそりと〝選ばれた客〟を待っているのです。入ってすぐ左にはウォークインクローゼットのようなガラス張りのシガーセラーが設えてあり、中には世界中の〝葉巻〟がまるで高級ワインのように鎮座しているのが壮観です。六本木のビル群や高級コンドミニアムの部屋の灯り、首都高の赤坂ジャンクションを走る車のテールランプの連なりがこの小さな空間にいる私達に極上のやすらぎを与えてくれるBGMなのかもしれません。
家内と、家内の妹の3人で近くのレストランで夕食を楽しんだ後、家内の好きなこの場所に、いつものようにやってきました。大きなソファーが4つでワンテーブル、手前から奥に3つのセットがゆったりと総ガラス張りの窓際に配置されています。いつもの奥の席は先客がいるので、今宵は真ん中の席で飲むとしますか。と、座ってほの暗い奥の席を見やると、ナ、ナント、あの、みのもんたさんの姿が。テレビ関係者らしき人と身を乗り出して何やらお話に熱が入っているようです。「ママ、みのさんだよ」。小声で言うと「本当。素敵ね」。ここで声を掛けたら、ただのミーハーです。とはいえ知らぬ顔の半兵衛を決め込んでみても、みのさんは余りに近い。2~3分してから思わず立ち上がって「お話中すみません、みのさん、こんばんは」。ミーハーをやってしまいました。御年65歳です。ハ・ズ・カ・シー。と、その時思わぬ展開に、3人は度胆を抜かれたのです。
スクッと立ち上がったみのさん、あのニコニコ顔で両手を広げて「いやぁー待ってましたよ。いつ来るかってね」「本当にすみません。お声を掛けるつもりはなかったんですが、みのさんがあまりに身近に見えて…」「うれしいなー。そう言ってくれるのが一番うれしいですよ。ところで、2人の美女を連れて、いやー羨ましい限りですねー」「いやー、美女だなんて、めっそうもない」…と、まあ、こんなやりとりがあったのですが、さすが役者が違う。〝人生の天才〟なんですね。嫌な顔ひとつせず、思いもつかぬたったの一言の切り返しで、サーッと周りが和んでしまうのですから。
すばらしい出会いに感謝して、朝ズバ!でまた、お会いしましょう。私は〝2人の美女〟を連れて帰ります。
iba2012研修旅行の一行29名は無事、さまざまな思い出を胸に成田からそれぞれの家路につきました。空港から一歩外に出ると長かった暑い夏も終わっていて、リムジンバスの車窓に走る風景は、いつのまにか秋色に染まりかけていました。
海外に10日以上出かけて帰国したら何を一番先に食べたいと思いますか?ラーメン、寿司、カレーライス、日本そば。旅の後半に色んな答えが返ってきました。
「ただいまー!」真っ先に出迎えてくれるのは30㎏超のボーダーコリー、私たちの愛犬リュリュです。ちぎれんばかりに尾を振りながらわけのわからない〝奇声〟?を発して、私の顔を舐めまくります。「分かった、分かった、ただいま!」と座ってハグ、今度は耳を舐めまくりです。荷物を整理して、リビングへ行くと「お疲れ様」と家内がビールを注いでくれます。「小腹が空いたな」とつぶやくと、間髪を入れずに「できているわよ」と汁椀が一つ出てきました。「ウーン、いいニオイ。タンポ汁だぁー」。私の場合、帰国してから食べたいものの一番は、そう、キリタンポなしの具だくさんのタンポ汁なんです。どうしてキリタンポは入れないの?ってよく聞かれるのですが、あれってすぐにお腹がいっぱいになっちゃうでしょ。ただそれだけ。おいしい秋の味覚の王様、キノコたっぷりの具とスープを楽しむ。″オレ流〟ですかね。鶏ガラも鶏肉も〝比内鶏〟でないと、この味は出ません。これは〝ママ流〟ですかね。って、いうかなんでだろう、やけに今日は優しすぎるなー。そうか!私と交代で明日から息子の赴任先の上海へ8日間、孫の顔を見に行くからだ!そういえば、リビングの隅に、おもちゃや、お菓子や日用品が山のように積んでありました。そんな気配を察してか、愛犬リュリュは「行かないでよー」って顔つきで家内にまとわりついてきます。「冷蔵庫にサンマがたくさん入っていますからね」。塩釜の親戚がやっと買えた中古の船でサンマ漁に出たらしい。〝落とした気〟(昨年5月30日同コラム参照)を根気よく見つけたみたいだな。おかげで、焼きサンマでおさんどん、翌日は味噌煮と一夜干しと続けておいしくいただきました。
いやー、秋の味覚って、本当においしいですね。