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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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芋けんぴ

 私は間食をほとんどしません。ジュース類や缶コーヒーも飲む事はほとんどありません。でも、一日おきに通うスポーツクラブではヘルシアや特保のコーラが必需品です。また、ランチで天ぷらそばやカレー丼を食べたら、黒ウーロン茶を買いにコンビニへ走ります。なぜかそれらのドリンクは〝飲まずにはいられない〟体が気になる年頃仲間のキメ・ドリンクなんです。飲むと、なんとなく安心するんですよね。
重かった90kgの体重をなんなくクリアして、次の目標値の80kg切りは努力と苦労を我が身に課してもなかなか突破できません。この壁の厚さは間食をがまんしているストレスも原因の一つかな、とついついスーパーのレジ横に並ぶ、ふと目につくスナック菓子に手が伸びるのは最近になってからの事です。
 今回の困ったスナック菓子は、ナショナル田園スーパーのレジ横に並んでいた〝土佐・廣田修一作「芋けんぴ」〟名古屋の松風屋が販売しています。長さ15cmほどのスラリと長い芋けんぴが行儀よく袋におさまっています。原材料はさつま芋とライス油に砂糖、これだけ。いかにも健康そうでしょう? 開封して光り輝く1本を取り出し、前歯でポリポリと噛み始めたら、もう止まりません。痛風を考えてプリン体85%オフ、糖質75%オフのアサヒクリアを飲み干したら、芋にはやっぱり芋焼酎でしょ、という訳でワインセラーに大切に寝かせておいた幻の芋焼酎〝村尾〟をロックにして、家内と乾杯です。ホロホロと酔ってきて芋けんぴの袋をしげしげ眺めると「土佐・廣田修一作」の廣田の〝廣〟の字が気になります。「広田より廣田の方が、何か風格を感じるなー」たかがラベル、されどラベル。この一枚の中には生産者と販売者のそれぞれの思いがたくさん詰まっています。
 いつしか袋はカラになりまして、口直しにきゅうりをチクワの穴に差し込んで、家内が昨日作ったねぎ味噌をつけて2本たいらげて、締めは冷や飯にねぎ味噌をのせて、お湯をぶっかけてのねぎ味噌湯漬けが今夜のディナーとなりました。これじゃあ〝きちんと3食〟とは言えませんね。旨い芋けんぴも2~3本のほどほどが良いようで。
 レジ前では決してキョロキョロしない事が肝要ですね。

ねぎ味噌

 「今度の誕生日プレゼントだけど、高価なものはいらないわ」「おや、どうしたんだい?」「私、英語を覚えたいの。だから英語力がつく環境を整えてほしいの」「ハイ、それではNHKの続・基礎英語のテキストをプレゼントしましょう」「何それ、本気で言ってるの?」「本気も本気、駅前留学とかスピードなんとかよりも一番マシだと思うよ」…てな会話のあとで来客者へのプレゼントをどうしようかと話をすり替えて、今回は家内の特選料理の一つ、ねぎ味噌をタッパーに詰めてお持ち帰りいただく事に決定しました。お世辞抜きで家内の手作りねぎ味噌は魔法の調味料です。野菜のスティックに、あたたかいご飯の友に、特に冷や飯にたっぷりのせて湯漬けにすれば、青唐辛子、ミョウガ、白ネギ、大葉が辛みを先頭にお酢和えにした田舎味噌と一緒にサァーっと喉ごしに食道へと流れ落ちてゆく快感は、大脳を刺激して五感をふるわせてくれます。「ちょっと味見してみて」「ハイハイ、あっ、キタキター!」。今年のねぎ味噌も、只者ではありません。暑い真夏日には氷でしめたそうめんにねぎ味噌をのせて、汁にちょんとつけて、大きくすする…。あー、お中元が待てませーん。
 誕生日当日、大人気の即席寿司カウンターには、野菜スティックとねぎ味噌を置きました。ねぎ味噌軍艦もなかなかのものです。わさびがわりの中トロのにぎりは、醤油も必要ありません。みんなに好評です。汁椀にねぎ味噌をたっぷり入れて、湯で溶いたインスタント味噌汁は至高か究極か、はたまた、これは言い過ぎか。
 この、ねぎ味噌のお土産はサプライズになるな、と独りほくそえんでいたところ、ゲストの一人、メゾンカイザーの木村周一郎社長のサプライズプレゼントには〝一本〟とられてしまいました。なんと、1m×1m超えのタルトモンデュが、特大の保冷BOXからその巨大な姿をお披露目した時の事です。信じられなーいと家内は両手で口をおおって目を丸くし、巨大ケーキに目が釘付けです。ワイングラスを片手に団欒していたゲストも口々に「おー、これはすごいね!」の驚嘆とともに、写メの嵐です。
 来年の誕生日には、ごくさりげなく「オー・マイ・ガーット」と茶目っ気たっぷりの家内が見られそうです。

どんちっちあじ

 〝どんちっちあじ〟ご存知ですか?島根県浜田市の水産ブランド名で、旬の初夏には脂の乗りが他地域の約3倍もある真アジの事なんです。ちなみに浜田市では、あじ、のどぐろ、かれいの3種類を″どんちっち3魚〟と命名してネット通販で売り上げを伸ばしていますが、旬が短く漁獲量も少ないため、幻のどんちっち3魚とも言われています。
 私はこの〝どんちっちあじ〟の干物を先週やっと手に入れることが出来ました。脂質含有量は12・5%、開いて一夜干しにした状態で約130グラム、同封されていたパンフレットには、冷凍したまま焼いた方がふっくら焼けて脂が逃げずにおいしくいただけます、との説明通りに、すぐに食べたい私は真空パックに納まった〝どんちっちあじ〟を丁重に開封してガスレンジに焼き網をのせ、身の方から強火の遠火でじっくり焼いてみました。魚焼き専用のレンジで焼けば良かったかなと後悔するくらい煙があがり、探知機の作動が心配になりましたが、ともかく焼き立てを皿に取り箸でさばくのももどかしくアチチと頭と尾を両手でつまみあげてかぶりつきました。「オー!これはナントぷっくりとした気品のある旨味、ああー美味なるかなー」と独り言も缶ビールで流し込みます。感動にひたりつつレンジを見ると、ガスの火を消したのに焼き網には滴り落ちたどんちっちあじの脂の炎がほのかにゆれて、そしてゆっくりと静かに消えました。このどんちっちあじの脂質含有量は時に15%を超える猛者も出現するとかで、これは来年の楽しみにとっておくことにしましょう。ちなみに普通のアジは3・5%だそうです。
 干物の中でもわたし的好物の1~2位を占める〝どんちっちあじ〟は日本でしか味わえませんが、海外へ出かける時の必需品の一つに〝焼きうるめ〟は欠かせません。日本橋三越の地下食品売り場にある「中辰」の〝焼きうるめ〟は日持ちも良く、香ばしく焼き上げられたうるめいわしはなぜか意表をつく英字新聞の切れ端に1尾ずつ簡易包装されています。15本入りで525円というのも買い求めやすいお値段ではないでしょうか。この〝中辰の焼きうるめ〟には、ワンカップ大関とか菊水のフナクチとか昔でいう2級酒の常温が合いますね。トランクに忍ばせて旅のお供に加えてみてはいかがでしょうか。       

切磋琢磨

 東京メトロの方南町駅は丸ノ内線の分岐線で終着駅です。環七から方南通りを新宿方面に向かうと、すぐ右手に駅へ降りる2番出入口がありますが、その手前に3畳弱の細長い店構えの立ち喰いそば屋があるのをつい、この間見つけました。方南通りに面した看板には「地下鉄そば」と店名が書かれていますが、地下鉄のすぐ〝そば〟にあるのが由来かどうかはわかりません。
 狭い。とにかく狭い店内には4人分の立食カウンターがあり、目の前の厨房ではひたすら天ぷらを揚げ続けている背中しか見えないご主人と、注文をとり蕎麦を湯がいて丼を手渡してくれる可愛い若い女性の2人が狭い店内を阿吽の呼吸で切り盛りしています。それは素晴らしい動線となって蕎麦を待つ客を飽きさせません。この店は天ぷらの種類が半端じゃありません。海老、ゴボウ、人参、玉ねぎ、かき揚げ、ちくわ、イカ…しかもその一つひとつが、どでかいのです。さらに一つ80円と安いから方南通りに面した表にせり出した小さなカウンターには天ぷらの盛り合わせがプラスチックケースにはちきれんばかりに納まり輪ゴムで止めて販売していて次々と売れて行きます。そう、「地下鉄そば」は天ぷらも売っている珍しい立ち喰いそば屋なんです。「この値段は惣菜店の半値以下だわさー」と、おばちゃんがガマグチから小銭をかき出して「ありがと」と店の女性の手に握った代金を渡します。買ってありがと、売ってありがと。杉並にも下町の気概がまだまだあります。ゴボウ、インゲンとレンコンを蕎麦で注文、家内はさつま芋と人参の天ぷら蕎麦です。私は汁を一滴も残さずに完食したのは言うまでもありません。
 最近の立ち喰いそば屋は、互いに競り合って切磋琢磨される修練の技は、競合店同士で味を高みにまで引き上げて勝負をしています。ですから最近ではハズレの店が少なくなった気がしますが、牛丼店やハンバーガー店に押されて店舗が減少しているのはさみしい限りです。
 とある昼さがり、空腹を満たそうと近所にそば屋が見つからなかったこともあり、うかつにもある牛丼屋のノボリにひかれてカレー丼をオーダーしたところ、こともあろうに牛丼の上にカレー丼の具がかかっていました。ハァー、早合点した私もわたしですが、牛丼は牛丼で、カレー丼はカレー丼で食べたいですよねー。明日はそんな不埒なノボリには脇目もふらず、期待に胸をふくらませて立ち喰いそば屋の暖簾をくぐる私です。  「蕎麦でネギ多目ね!」「ハイヨー!」

弊社社長 菅田耕司のコラム


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