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コラム 三寒四温

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未来への道標

製パン企業の生産現場は逸材の宝庫だ。

 「未来のパン産業」をテーマとした日本パン工業会50周年記念事業懸賞論文の入選作品を読んで私は確信しました。懸賞論文の審査委員長である井上好文氏は選考にあたって「パン産業の今後の更なる発展に向けた取り組みを意欲的に考えている方々が多いのに感心しました」と言われている通りに、業界の現状を的確に把握して未来を予測する、応募者それぞれの個性豊かな論文は、確かな未来への道標となることは間違いないでしょう。3つの優秀賞から、神戸屋関東企画開発部の秋吉直樹さんは「夕食にパンを食べてもらうためには、料理との相性だけではなくご飯との差別化、ご飯と比べての優位性を持たせなければならない」。この優位性! これは未来への大きなヒントに違いない。皆で考えてみましょう。

 山崎製パン安城冷生地事業所生産課の山口さやかさんは、『挑戦し続けるために4つの〝目〟からヒントを見つける』と題して、「いったいどれだけの従業員が未来のパン産業について考えているだろうか。おそらくほとんどの従業員の目は、目の前のロス、生産高、工程時間などに向けられているだろう」「自分達は目の前のことをこなすのが仕事だから、新たな試みや方針は上の人が考えるだろう……という考えがどこかにあり、受身で指示を待つだけの保守的な職場環境を作ってしまっている」と手厳しい。しかし、「他部署との意見交換、同じ職場での相互評価など、従業員一人ひとりの意識を向上させて一体感を持てれば、強い職場になれる」と鋭い指摘で結んでいます。皆で強くなりましょう。

 フジパン東京工場製造課の高橋昌幸さんは論文の出だしが鋭い。「新商品も消費者のニーズを追求するあまり、最近では類似品であふれ、凡庸なものしか生まれていない。パン産業全体がトレンドの後追い状態に陥ってしまっており、自らが先頭に立ってパン食文化を切り拓いてゆく力強さや気概を失っているように感じる。今こそプロダクト・アウトの方向へ舵を切り、豊かな国民生活を主体となって創出していきたい」。マーケットのニーズよりも製品のスペックをあげることは難しいけれど、チャレンジですね!

 このような個性ある想像力が豊かな発想を持った現場の方々が我々、未来の、世界の食文化を担ってくれる事でしょう。

行列

 3年に一度、ラスベガスで開催される“ベーカリー・エキスポ”に合わせて、ニューヨークへ立ち寄った弊社企画の研修旅行の一行21名はエイミーズブレッドの新工場へ直行して大歓迎を受け、新工場視察とご自慢のサンドイッチやオリーブの乱切りを入れた新作の細長いバゲット(これすごくおいしい)やカラフルな甘~いケーキをいただきながら、ニューヨークのパン事情など貴重なレクチャーを受けました。最後にエイミーさんに「今流行のクロナッツやカナダから入ってきたジャパドッグはいかがですか?」と質問すると、「あまり興味がないからわからないわー。並んで買う時間もないしね」とウインク。それは何を意味しているのか。3日後、両店に立ち寄ってそのウインクの秘密を理解しました クロナッツを販売している店は数年前まで日本人経営のベーカリーだったそうですが、退店したあとにこのベーカリーが入店して、今年の春に売り出した“クロナッツ”(クロワッサン生地で作ったドーナツにさまざまなトッピングを飾る)が大当たり。今でも早朝より行列ができるその訳は一日、300~400個の限定販売にありました。開店わずか1時間で売り切れるうえ、週に一度ある予約電話も繋がらない、いわゆる“パニック販売”ですね。商品も見た目で味の見当がつくような、カラフルなトッピングのいかにも甘そうなのはニューヨーカー好みなのでしょう。

 “ジャパドッグ”はカナダで日本人夫婦が始めた創作ホットドッグ店で、帰国後の10月21日にテレビ東京系の「未来世紀ジパング」でも特集されていました。カナダで成功して、昨年満を持してニューヨークに出店した際に「全米制覇を目指します」とコメントしていました。私たち一行は土曜日の昼頃に、早速「ジャパドッグ」なるものを食べに訪れたのですが、行列どころかひっそりとした店内だったのが意外でした。メニューにはお好みドッグや焼きそばドッグ、おろしドッグなど、名前の通りにホットドッグの上に大根おろしなどアンバリーバボーな食材がのっかって1本約4ドル75セントです。皆と分け合いながら試食してみました。「ソーセージはおいしいね!」「でも、このパンはなんだろう? 甘いし、ベッチャリするし」「セントラルパークあたりの屋台のドッグパンと変わらないね」「創作ドッグはすき家の牛丼にカレー丼の具や焼きそばがのっかっている、アレに発想が近いね」というほぼ全員の評価でした。ちなみに未来世紀ジパングのインタビューでは「パンの開発に6カ月を費やしました」とのコメント。
……エイミーさーん!?

弊社社長 菅田耕司のコラム


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