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コラム 三寒四温

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想い出の味 ~エスコフィエ・後編~

〝エスコフィエ〟をアマンドで満喫したら、石原裕次郎さんの名曲「二人の世界」をハミングしながら今宵は赤坂のナイトクラブへ繰り出しますか。
 
 45年前の学生時代は、こんなノリだったかもしれません。その時代、〝ドラ息子〟のドラちゃん仲間は全員、外車に乗っていました。トライアンフのTR3、ベビー・サンダーバード、キャデラック・エルドラドのオープンカー、バンデンプラ・プリンセス等々。私はオールズ・モービルのナインティ・エイトという、車幅が210㎝ もある航空母艦みたいな黒いアメ車を当時乗り回していました。所沢のベーカリー東京中村屋産業の佐藤社長からのいただきものです。ある日、父と一緒に所沢の会社を訪ねたところTVで見慣れたプロレスラーが4~5人社長室におりまして、佐藤社長は白衣を着て自分の入れ歯を作っていました。それは不思議な光景でした。

「オイ息子! 親父と話があるから、この裏のステーキハウスで食って来い!」と10万円をポンとくれます。1時間ほど経って帰ってくると「車庫に行って好きな車を選んで来い」と、いただいたのがオールズ・モービル ナインティ・エイトでした。さっそく赤坂へ繰り出すと、ドラ仲間の一人が「うちの洗車場で洗ってから遊ぼう」と、白金にオープンしたばかりの、確か店名は〝シロカーネ〟の最新式トンネル洗車機に入れたのはいいのですが最後の最後、両脇が引っ掛かって出て来ません。「おかしいなぁ、昨日はマイクロバスが通ったのに」とドラ仲間が独り言……。結局機械を壊して車を出しました。「親父に怒られる~」。腐るドラ仲間に「エスコフィエ」を御馳走して、くよくよせずに、さあ今夜はナイトクラブで夢を見ようぜ!

 ミカドに月世界、ラ・ヴィァンローズ。赤坂の夜は華やかでした。あれから40有余年。ナイトクラブの灯りは再び赤坂に灯ることはありませんでした。楽しかったドラ仲間達との古き良き時代を年の瀬に思い出す、今日この頃です。

 2013年も残りわずかになりました。良いお年と、良い夢を。

想い出の味 ~エスコフィエ・前編~

「エスコフィエ」と言えば、食通の方を始め、フランス料理に関わる人なら誰しもがご存知のフランス料理界の伝説の料理人です。私と「エスコフィエ」との出会いは……いえいえ、決して巨匠を呼び捨てにしている訳ではなく、ましてや生きていた時代が違いますから、出会っている訳がありません。「エスコフィエ」は料理の名前なんです。私がまだ学生時代の一九六〇年代後半、石原裕次郎さんのヒット曲「二人の世界」がカーラジオから頻繁に流れていた頃です。赤坂の一つ木通り、TBS本社玄関口の真ん前に、あのピンクと白のストライプで有名な「アマンド」がありました。総ガラス張りの一つ木通りを見渡せるカウンターで、友人とよくハンバーグ・ライスを食べるのが楽しみでした。

 私は当時から、なぜか馴染みのレストランではどこでも食べる料理が決まっていました。六本木の「ハンバーガー・イン」ではポテトチップスとハンバーガー、「キャンティー」ではバジリコのスパゲティ、原宿のピザ専門店「ミッシェル」、私は「ニコラス」より「ミッシェル」派でしたね。もちろんオーダーはマルゲリータ。そして、アマンドではハンバーグ・ライスです。いま想い出すと、私の母もレストランによって食べ物が決められていました。中央線高円寺駅南口の洋菓子カフェ「トリアノン」では、スパゲティ・ナポリタン。新宿の京王デパートの食堂ではカキフライ、小田急デパートの食堂ではあんかけかた焼きそば、そして伊勢丹ではカレーうどん。何より一番好きだったのが高円寺「さぬきや」の鍋焼きうどん。今では超有名店になってしまいましたが、カウンターだけの古いお店を夫婦で切り盛りしているところへ、当時小学生だった今のマスターがランドセルを背負って帰ってきていた光景が懐かしいですね。母の食に対する遺伝子は、私にもしっかりと受け継がれているようです。

 たまに小遣いに余裕がある時は、赤坂のアマンドで“浮気”をしたものです。螺旋階段を階下に降りると甘くメロディアスなピアノの旋律が耳に入ります。気持ち良さそうにピアノを弾いているのは横森昭三さん。あの天才落語家、林家三平師匠の後ろでアコーディオンを笑顔ひとつ見せずに、話術にあわせて巧みに弾いていた、あの人です。ここでのオーダーが、そう「エスコフィエ」なんです。ピラフの上に薄切りのステーキが4~5切れのっている料理。それがとても好きでした。思い出せばたまらなく、あの時の味を記憶の中から探してみるのですが、再現することができません。 どなたかご存知でしたら、教えてください。エスコフィエを出す店か、せめてレシピを。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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