明日があるさ
久し振りに電車に乗って車内を見回すと7~8割の乗客がスマホをいじっています。この光景、もはや日常茶飯事とはいえ少々滑稽ですね。私は持っていませんから電車内での楽しみは人間ウォッチングです。
色々な事情があって、たまたま乗り合わせる車内は実に人それぞれ。ひたすら器用にスマホを操作している右隣のOL風の女性はガムをクチャクチャと音をたてて噛みながらナーンも考えないでゲームに夢中です。かたや左隣の小太りの若いサラリーマンはだらしなく足を組み、前でつり革につかまりながらスマホをしている女子高生にときたま睨まれています。ドアにもたれている人、床に座り込む人…。いずれも独りニヤニヤしながらスマホをいじっている異様な車内の人間ウォッチングのテーマは、
この人の家族構成は?
恋人はいるかいないか? 性格は?
どんな仕事に就いているのかな?
……あー疲れた。何の得にもならない憶測はやめて、目を閉じてリラックスしますか。と思ったその時、向かい側の座席の右端にナント、紀伊国屋書店のブックカバーが掛けられたハード装丁の本を身じろぎひとつせずに読む二十代半ばの見目麗しき女性を発見しました。ショートカットで知的な小顔に切れ上がった眼が印象的です。白いブラウスに紺色のプリーツスカートという上品なコーディネートもよく似合っています。
ああ、なんて清楚で美しい光景なんだろうか
そこだけがバリアされて異次元空間のごとく光り輝いて見えるのは私だけなのでしょうか。目を閉じながらも時たまチラ見してしまう自分が恥ずかしい…。それにしても車内で本を読む仕草が、これほど美しく新鮮に思えるとは!
“次は代田橋~”と車内アナウンスがあり、電車がスーッと停車し、
ドアが閉まり、再びゆっくりと加速する。そしてチラ見。
降りてない!
なんだか幸せな気分になりました。
“次はササヅカ~ 笹塚です”
もうドアが閉まっても我慢して寝たフリをしよう。そして終点の新宿に到着。おもむろに目を開けて右端を見れば 杖を持ったおばあさんがヨイショとばかりに腰を上げています。そうか、笹塚で降りたんだな。いいや、席を譲って場所を移動したのだろう。今日は何だか清々しいな。
(腰痛は相変わらずだけど)
さて私もヨッコラショと。
坂本九さんの名曲『明日があるさ』を口ずさみながら、いつか又、会えるラッキーな日を思いつつ、おじさんは地下鉄に乗り換えたのでした。
色々な事情があって、たまたま乗り合わせる車内は実に人それぞれ。ひたすら器用にスマホを操作している右隣のOL風の女性はガムをクチャクチャと音をたてて噛みながらナーンも考えないでゲームに夢中です。かたや左隣の小太りの若いサラリーマンはだらしなく足を組み、前でつり革につかまりながらスマホをしている女子高生にときたま睨まれています。ドアにもたれている人、床に座り込む人…。いずれも独りニヤニヤしながらスマホをいじっている異様な車内の人間ウォッチングのテーマは、
この人の家族構成は?
恋人はいるかいないか? 性格は?
どんな仕事に就いているのかな?
……あー疲れた。何の得にもならない憶測はやめて、目を閉じてリラックスしますか。と思ったその時、向かい側の座席の右端にナント、紀伊国屋書店のブックカバーが掛けられたハード装丁の本を身じろぎひとつせずに読む二十代半ばの見目麗しき女性を発見しました。ショートカットで知的な小顔に切れ上がった眼が印象的です。白いブラウスに紺色のプリーツスカートという上品なコーディネートもよく似合っています。
ああ、なんて清楚で美しい光景なんだろうか
そこだけがバリアされて異次元空間のごとく光り輝いて見えるのは私だけなのでしょうか。目を閉じながらも時たまチラ見してしまう自分が恥ずかしい…。それにしても車内で本を読む仕草が、これほど美しく新鮮に思えるとは!
“次は代田橋~”と車内アナウンスがあり、電車がスーッと停車し、
ドアが閉まり、再びゆっくりと加速する。そしてチラ見。
降りてない!
なんだか幸せな気分になりました。
“次はササヅカ~ 笹塚です”
もうドアが閉まっても我慢して寝たフリをしよう。そして終点の新宿に到着。おもむろに目を開けて右端を見れば
(腰痛は相変わらずだけど)
さて私もヨッコラショと。
坂本九さんの名曲『明日があるさ』を口ずさみながら、いつか又、会えるラッキーな日を思いつつ、おじさんは地下鉄に乗り換えたのでした。