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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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帰国

チュニスでの2日目は早起きのスタートとなりました。
ヌルディーンさんの秘書から昨夜受けた連絡どおり、
6時にホテルへ迎えの車が来ました。

ドライバーに話を聞くと、これから墓参り、
その後は大統領選挙の出陣式との事。
到着したのは官庁街の一画にある、小さなドームに覆われ安置された
チュニジア独立の英雄である、
ヌルディーンさんの御父上の碑。

その後、20台ほどの車列で町の中心にある
青果市場へ到着しました。
競りが行われている市場の中をヌルディーンさんが歩むと
一斉に拍手が起こり、

ハシェッド! ハシェッド! の大声援。

両手を高々と掲げて応えます。

「本当に大統領選挙なんだなー」
 と今さら感心してしまいました。

青果組合の理事長室に通されると、
お父様の大きな写真が飾られていました。
独立後に労働組合を立ち上げた事でも高名な方だそうです。

多くのTVカメラが入り、フラッシュが光り続ける中で
インタビューは続きます。
このまま傍にいても仕方がないので、ドライバーさんを呼び

「ひとまずホテルへ引き上げて、ゴルフをしてディナーを待とうかな」
「グッド・アイデア」

ホテルに戻って遅い朝食をとっていると、
選挙事務所の秘書さんから電話です。

「2時から出陣式のセレモニーがございますので、
 1時に車でお迎えに上がります」

これでゴルフの予定はキャンセルですが、
こんな機会はそうそうありませんからね。

大きな選挙ポスターが貼られた会場内はまるでお祭り騒ぎ。
笛や太鼓が鳴り響き、民族衣装や黄色と赤のシンボルカラーのTシャツ姿で
旗を掲げる人々。コンサート会場のような光のカクテルの中で
ステージの前に出て踊っています。

そしてヌルディーン候補が登場するとボルテージは最高潮。
ここでもハシェッド! ハシェッド! の大合唱です。

「コウジも壇上に上がれ」

と誘われましたが、少し恥ずかしいので最前列に座らせていただき、
演説を拝聴しました。
とはいえアラビア語はチンプンカンプン。
でも盛り上がる所は万国共通、右手を突き上げて「オー!」と
ノリノリの私でした。

翌日チュニス空港からエールフランスでパリに向かい、
全日空に乗り換えて成田に帰国しました。

その後、ヌルディーンさんは選挙中盤から政策の近い
カイドセブシ候補の応援に回り、彼を大統領に当選させることができました。

ネット配信のニュース画像で新大統領の隣に
笑顔で座っているヌルディーンさんを見てひと安心。
大局を見据えた政治的判断に拍手です。


コスプレ

「どなたがチュニジアの大統領になられるのかわからないので、
 特定の候補者とお会いすることは日本国としての立場上無理なんですよ、菅田さん」

「あっ、そこまでは気が回りませんで失礼いたしました、髙原大使」


今夜のディナーをヌルディーン大統領候補とご一緒にいかがですか? と私がお誘いした際の問答です。そんなわけですから、ヌールさんの話題を外しておいしいランチを頂きながらお互いの世間話に花を咲かせていたところ、髙原大使から
とても興味深いお話を伺いました。

「この前ツイッターの呼びかけでマンガのコスプレをした男女が、
 チュニジア中から三千人以上チュニスに集まったのには驚きました」

「エッ、それは日本のマンガのコスプレファンですか?」

「これは観光客の誘致はもちろん、日本とチュニジアの双方にとって最適な面白いイベントになりそうです」

「チュニジアの若者は日本のマンガが大好きで、マンガ家になりたいと勉強している人も多いとか」

「そういえばヌールさんの息子さんも選挙が終わったらマンガ家を目指して勉強に専念するそうです」

「父上とご一緒に日本に長く居られましたから、日本のマンガ文化に傾倒したみたいですね」



チュニジアンフレンチ料理と楽しい会話であっという間に2時間が経ちました。
髙原大使のチュニジアでのさらなるご活躍を心より祈念します。

帰り道にチュニジアンブルーで有名な町を通ると「ストップ! ストップ!」
なんという事でしょう! メゾンカイザーがありましたよ。どうやらつい最近オープンしたらしいのですが、店のつくりが今まで見てきたお洒落な雰囲気ではなく、メゾンカイザーらしくありません。とりあえず美人店員さんと記念のツーショット撮影。いかにも仕事をしていそうでしょ?

IMG_0269.jpg  IMG_0271.jpg


そういえば帰国したら、翌週にはオークラホテル東京でアフリカのアンゴラ共和国の独立記念パーティーに参加者500人分の各種パンをドネイションしてくれる約束をエリックカイザー・ジャポンの木村周一郎社長からもらっていました。

世界生活費調査によると、アンゴラは世界で最も物価の高い国とのことで、ファストフード店のバーガーセットが20USドル近くするそうです。高級志向のメゾンカイザーのアフリカ大陸2号店は、アンゴラで決まりでしょう。帰国後、木村社長にチュニジア店の話をするとフランチャイズだということでした。

それにしても、NOBUもカイザーも世界を相手に大したものですね。(つづく)

大統領選挙

カサブランカ空港からモロッコ航空でチュニジアの首都にあるチュニス空港まで2時間30分のフライトで、夕刻に空港へ到着、入国手続きを済ませてロビーに出ると私の友人の指示どおり “Mr. Sug ata” のボードを頭上に掲げていた若者を発見しました。

彼が帰国までドライバーを務めてくれるのですが、アラビア語しか話せず英語がまったく通じません。これからどこに行くのか、一切の説明を受けることもなく車窓からの景色を楽しんでいると海が見えてきました。そして豪華なリゾートホテルらしき大きな鉄柵のアーチの前には自動小銃を持った軍人と門番数名の姿が。彼らとドライバーが会話を交わすと、トランクや車の下を覗き込んだりして厳重なセキュリティチェックを受けました。やがて門が開かれ玄関で車を停めると、ホテルマンがうやうやしく出迎えてくれました。そう、ここが今日から泊まるチュニスの5つ星リゾートホテルです。隣にはゴルフコースがあります。

案内された3階の部屋はオーシャンフロント、眼下にはバー付きの大きなプール。なんと豪華なホテルに招待されたのでしょう!

しばらくしてチュニジアの友人から流暢な英語で電話がかかってきました。とりあえず明日は朝の9時に迎えの車をホテルに差し回すのでそれに乗ってきなさいとのこと。コンシェルジュにレストランを訪ねて、今宵はチュニジアン中国料理を楽しむことにしました。

翌朝、英語が話せるドライバーが迎えに来ました。それは昨日、私の友人にアラビア語だけでは非常に困ると伝えてあったから配慮してくれたのです。

1時間ほどで町の中心に入ると、人の出入りの激しいビルの一角で車が停まりました。待ち構えていたブラックスーツの紳士に連れられて迷路のようにビルの奥まで通されると、

「あっ、ヌールさん、お久しぶりです!」
「ハーイ、コウジ、スコシ ヤセタカナ?」


と力強く握手を交わして、繁々と私を見てから、熱くハグをしました。そうなんです、このヌールさんのお名前はヌルディーン・ハシェッド氏、チュニジアをフランスから独立へ導いた英雄の息子、そしてジャスミン革命で帰国するまで日本で特命全権大使をしていた私の友人で、実は明日からチュニジアでは大統領選挙が行われるのですが、ヌールさんも有力候補のひとりなんです。

(つづく)

サティスファクション

あけましておめでとうございます。 
「速報・製パン情報」は昨年、12月24日号にて2000号を刊行することができました。

同紙は昭和22年に日本パン菓新聞社が創業された18年後、昭和40年に第3種郵便物の認証を受けてから、本年は創刊50周年の節目となる記念の年となります。また、月刊紙「日本パン・菓子新聞」は、2017年に創刊70周年という慶事を迎えようとしています。これもひとえに業界関係者様のご指導ご鞭撻のお蔭と心から感謝申し上げます。

2015年の元旦、毎年恒例のニューイヤー駅伝をTV桟敷で見ていると家内がベランダを指さして

「あなた雪が降ってきたわ」と一言。

テレビに目を移すと、上州の空っ風で有名な群馬で開催されているニューイヤー駅伝に降雪はないようです。選手、大会関係者、日の丸の小旗を振る大勢の沿道の人達の熱心な声援に、どうやら上州の空だけはヒートアップしているみたいですね。食事中だった残りの雑煮を平らげてベランダを見れば、つかの間の雪は跡形も残さず止んでいました。それにしても最後の走者まで、ゴールテープを切らせてくれていた振袖の御嬢さん達は、さぞかし寒かったことでしょう。ご苦労様です。

2014年はスポーツ界で「レジェンド」が流行りましたね。
我が業界で2015年の流行を考えると「サティスファクション」というキーワードが思い浮かびました。

少しでも良いものをつくり、価値ある商品を顧客に提供するのは当たり前のことですが、そこに「サティスファクション」という「満足」をつなげれば、さらに活気あるものに進化するのではないでしょうか。
2014年は、パン業界として本当に消費者に満足してもらえる製品作り、いわゆる高品質化、高付加価値化に各社が積極的に取り組み、高級路線のパンが人気を得るようになりました。このサティスファクションをさらに皆様と共に盛り上げていきたいと思います。

新春を迎えるにあたり、2015年こそ最高の年となりますようにお祈り申し上げます。

次回は引き続きモロッコ・チュニジア視察旅行です。

ドヤ顔

「エッ! 9ポンドもあるの!?」
「それにしても見事に大きいわね」

リエちゃんの親友キャサリンも、そのロブスターの大きさには驚きました。

聞けばバミューダはロブスターの宝庫で、フロリダからセントジョージまで、ハミルトンを経由してでも世界のグルメ達がこぞって食べに来るそうです。キャサリンはずばりバミューダ島出身、3年前からパリを拠点に世界を飛び回っているエールフランスのCAですが、その地元娘が驚くレベルと来ればハンパではありません。

トレーにのせて見せに来たウエイトレスは我々の驚く顔を見て満面の“ドヤ顔”を決めています。

「これを食べなくてはね(笑)」
「バーベキューでお願いします!」

と、リエちゃんの即決は鋭い! さてさて他は何にしようかな。

「ステーキは今日はパスね。リーフサラダと舌平目のムニエルをひとつずつ皆でシェアしましょうよ」

と、キャサリンのオーダーも早い! 私はモロッコの赤ワインを飲みながら二人のやりとりをただ見て聞いているしかありませんでした。メニューをひたすら品定めしている女性の顔は素敵ですね。

このレストランは、ILOLI(イロリ) のオープン前に古河オーナーシェフが2年ほど修業した有名店です。店自慢の炭火焼きステーキは次回にとっておくことにしましょう。

店のいたるところにキャンドルが置かれて、その炎が妖しく店内を照らします。トイレに立とうとした私にリエちゃんが

「右側のトイレに入ってね」

と一言。キャンドルが飾られた螺旋階段を上ると、左右に大きな扉が3つずつ。言葉どおり手前の右側を開けると……なんということでしょう、総ガラス張りの向こうには大海原が月夜に輝いているではありませんか! なんとも洒落たトイレに驚かされました。

ロブスターのバーベキュー、おいしかったですよ。モロッコは今夜が最終日です。ホテルのバーで「亀の手」を肴に白ワインで乾杯。キャサリンとはチュニスからのパリ便で会えるかな? リエちゃんも元気でね。
2015年も皆様にとってよい年でありますように。

明日はチェニジア共和国の首都・チュニスを目指します。(つづく)

アルガンオイル

「ILOLI(イロリ)カサブランカ」の超美人パティシエ“リエちゃん”と食材市場でデートです。オリーブの専門店では種類の多さに驚かされました。見た事もない色合いや、変った形のものなど超山盛りで三角錐の形にディスプレイされています。

店主の「どれでも味見をしてください」という言葉に、おそるおそる口にするとスパイシーなもの、塩辛いものや酸っぱいもの。吐き出したくなるような超激辛なグリーンの奴はハラペーニョでした(笑)。

オリーブの他にも小さなピクルス、太いピクルスはスイートタイプで、これほど数が揃うと見て回るだけでも楽しい! その中に、リエちゃんがこっそり教えてくれたのが

「これがオリーブのヌーボーよ。つまり、絞りたてのエキストラバージンという訳なのよ」
「オヨヨのヨ! 日本でも限定販売してるけど、これぞ本場モノだね」。

11月20日はボジョレーヌーボーの解禁日ですね。お皿にたっぷりのオリーブヌーボーを注いだら、モロッコの伝統的パン「ホブス」をつけて、さあ遠慮なく食べましょう。

「おいしいね!」
「ボジョレーヌーボー入りのバゲットにつけて食べたら、どんな味なのかしら?」

来年はパリからエリックカイザーのヌーボー入りバケットを持って来ましょう。

「それは来年のお楽しみ、さあ次はメインのアルガンオイルよ。とても希少なんだから」
「あぁ知ってる知ってる。10年ほど前、リョーユーパングループのモロッコ旅行の時にお土産に買っていたんだけど、愛する家内の美容のためにコスメティック用ばかり買っていたのを思い出したよ」
「駐日モロッコ大使の公邸で何気なく食べているクスクスや塩レモンチキンにも実はアルガンオイルがたっぷり入っているって、知ってました?」
「エー、そうなんだ」
「ではでは、たっぷりのアルガンオイルに塩とコショウを入れて、今度は“キスラ”をいただきましょう」
「なんでキスラなの?」
「これはね、水分が少ないからたっぷり染み込むでしょ? だからおいしいのよ」
「あー、でもダメだわ、これ以上食べると太ってしまうわ。今夜のディナーのために試食は終了!」

ハイ、という訳でアルガンオイルとオリーブヌーボーを買い求めて、楽しいディナーのためにカサブランカのモスクまで散策しましょう。 (つづく)

弊社社長 菅田耕司のコラム


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