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コラム 三寒四温

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独自のカラー

毎日通る飯倉交差点では、機動隊がその先にあるロシア大使館を警護するために不審車両を厳重にチェックする臨時ゲートを設置しているのが日常の風景です。

有事の際には道路を遮断するための鉄柵も設置されており、その引き手を担当する警官の口元から白いホイッスルが離れることはありません。そんな見慣れた風景に変化が起きたのは3月末のこと。何やら賑やかに人がたまり始めて、行列ができていました。

「パン屋さんが開店したそうよ」
と家内が教えてくれました。

信号待ちでよく見てみると、テラスにテーブルと日傘がセットされたお洒落な雰囲気の脇でお客さんが警備員に誘導されて整然と並んでいます。

「いつまで続くかな、この行列」
「フランスのパン屋さんらしいわ。雰囲気も良いし、なんだか美味しそうね」
「行列が少なくなったら一度、買いに行こうね」

それから2ヵ月が経ちました。
行列は日ごとに短くなり、警備員の姿も見えませんが、交差点の厳重な警備は相変わらずです。どうやら“日常”に戻ったらしく、先週の日曜日の午後、遠目にその店を見ると表には1人も並んでいません。

「よし、ちょっと待ってて。買ってくるから」と、
私は店の手前に車を停めてパン屋さんを目指します。

トレーとトングを手に店内を見ると、奥にレジが3台あり、3人のお客が順番待ちしていました。ではではパンの品定めといきますか。

「おやー、なんだこのパンは…えっ! ここ何処なの?」

ちょっと何処かで見た(感じた)この雰囲気。
あれ? もしや?と、店名をチェックすると“メゾン”の文字が。

いえいえ、「メゾンカイザー」ではないけれど、ほとんどどのパンがメゾンカイザーのパンとそっくりではありませんか。私はバゲットやクロワッサンをトレーにのせながら唖然と棚を見渡します。ほどなくして焼き立てのパンを並べる店員さんと目が合いました。

私は失礼ながら思わず、
「メゾンカイザーとそっくりだね」と一言。

対して店員さんは一呼吸おいて
「いえ、違いますよ」

そりゃ同じ訳はないですよね。




「次の方、どうぞ」

会計を済ませてレシートを見ると、なかなかのお値段です。車に戻ると家内が
「どうだった?」
「なんちゃってカイザーかな」
「エッ、ウソー!?」

フランスのパン屋さんですから、似たような商品構成になるのでしょう。ともあれ味はおいしかったですよ。行列の次はレジ台が少なくなる…なんて事にならないよう、独自のカラーを出して頑張ってください。

サブイボ

コンビニのレジで釣銭を客に渡す時、右手でつまんだ硬貨を左手で支える仕草はナンダ!?
マニュアル通りの接客?

「勘弁してよ、キモいよ…」
と、中学生の孫娘が言っていました。

ならば私も体験してみましょう。
黒ウーロン茶を1本取り、200円を手にレジに向かうと、いかにも学生アルバイト風の黒縁メガネをかけた店員が小首をかしげ、笑顔満開で

「2円のおつりでございます」
と左手を添えて差し出しました。

ナ、なんなんだ。
私の二の腕にサーッと走るサブイボ(鳥肌)は。
しかも一本だけ異様に伸びている左の腕毛が逆立っているではありませんか。切りたくても切れないでいた愛しい私の一部はこのような働きのために存在していたのですね。

 ホワイ、ジャパニーズコンビニ店員!
 お釣りだよね?
 添えた左手は失策しそうな右手を補っているんだよね?
 でなかったらレジには暖房が不可欠だよねー!



マニュアル通りの接客は時に失笑を買うが、ファンを作る。
だからアレンジは許されない…といった所でしょうか。
(ふーん)

コンビニを出ると、街路樹の青葉を抜けた夏日の太陽が体を優しく包んでくれます。いつの間にか“サブイボ”も消え、一本だけ長く伸びた愛しい腕毛が爽やかな初夏の緑風に揺れています。

「そうだ、ホットドッグにしよう!」

突然に訳もなく食べたいランチメニューが思いつくのはなぜなんだろう?

「新タマネギよーし、ケチャップ、マスタードよーし。
 ピクルス…? よーし」


家に常備してある食材を頭の中で指差し確認するのがいつもの私の癖なのです。

「ジョンソンヴィルソーセージ1パック6本入り、よーし」

あとはドッグパンだけ買えばいいな、と踵を返して再びコンビニへ。するとさっきのアルバイト店員と目が合ってしまいました。

「サブイボ、出るなよ!」

一人よがり

小学校の広い校庭の隅にひときわ大きな木が一本。
その下で顔を黒く塗りつぶした小さな女の子が独り、
校庭の真ん中でボール遊びをしている生徒達を眺めている


・・・そんな風景を描いたわが娘の作品は、ハワイ・カイルア市主催の絵画コンクールで金賞を取りました。うれしいやら悲しいやら、その絵を見せられて私は小さな娘を抱きしめて涙しました。
ゴ・メ・ン・ネ。

前回、書き切れなかったエピソードを冒頭にどうしても入れたかった理由、あれはGW最終日の5月6日の午後、家の近所を愛犬と散歩している時のことでした。

珍しく遠近両用メガネをかけての散歩で歩くのにちょっと難がありましたが、玉川上水道公園や道端に咲く小さな草花がとにかくよく見えて、まさにミクロの世界を見るかのような感動がありました。愛犬にしても昨年の末に両眼白内障の手術を受け、全盲から回復しての散歩は“見えすぎちゃって困るの~♪ ”なんて古いCMのように楽しいでしょう。


「オヤ、ずいぶん小さいてんとう虫だな」

普段だと気もつかない若葉の上でそれはじっとしていました。私は思わず優しく手に取り、「エイヤッ」とばかりに空にほうり上げました。「さあ飛べ!」と思った瞬間、「コトッ」と小さな音を立てました。聞こえた方向へ振り向きコンクリートの地面を見ると、てんとう虫が落ちているではないですか。良かった、何事もなく動いています。今度はさらに優しくティッシュに載せて、若葉の上に返してあげました。

「てっきり飛んでいくと思ったのに何やってんだよ、危ないなあ」
と、一人よがりな人間のおせっかい。誠に迷惑な事であります。

娘に対しても、やはり私は一人よがりの生活を強いて生きてきたのです。
その罰は一人娘が嫁に出て、菅田家が私で終わりになってしまった事かもしれませんね。

20年前、バツイチ同士で再婚した家内とは3人の子供が、そして孫は9人もいます。私の孫を入れると11人、日本の少子化阻止の快進撃はそろそろ打ち止めかもしれませんが、わが家に集まると騒々しいほどに賑やかで目を細めているどころではありません。もっぱらキッチンに入って孫メシを作るのに精を出しています。
 
45歳で会社を継いで今年で23年目、お蔭さまで欲も出まして2年後に控える70周年を今から計画しています。今までにたくさんの方に出逢い、そして教えられ、時には旅行にゴルフに食事にと、たくさんの友人を作れたことは感謝であります。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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