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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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ゆで玉子

じわり々と冬が忍びよって来るような冷たい雨が一日中降り続いていた日曜日。PCの画面を開いてメールをチェックすると

ホノルルマラソンの開催まで1ヵ月を切りました。
レイトチェックインも今ならまだ間に合いますよ


と、参加意欲を煽ります。

「一度は出場してみたいね」

なんて夢を語った日の晩酌は昨年の今頃、養殖トラフグの身欠きを購入して、さばいたヒレをキッチンのガラスに貼り付けて干して作り置きしておいたのものをガスにかけた網で炙り、「この酒がヒレ酒に合いますよ」と、中野の酒販店“まちだ屋”のお嬢から教わった山口県麓井(ふもとい)酒造の「美酒辛口」を小鍋で熱燗にして、取っ手のついた耐熱グラスのカップに焼いたフグヒレを入れ、燗酒を投入。

「アルコールは飛ばしますか」

と家内に訊けば

「あら、もったいない。一瞬だけにして蓋をしてね」

と通ぶった返答があるところが恐い! というか、ま、たくましい限りでございます。
そうですよね。折角のお神酒のアルコールを全部飛ばしてしまっては“美酒辛口”に申し訳がたちません。いい按配に、おいしそうな艶が美しいヒレ酒の完成です。

ときに、この酒は常温がおいしくいただけると、2杯目のヒレ酒を燗するときに盗み飲みして感心したものですから、家内に内緒で水を張った鍋を火にかけて生玉子を入れてしばし10分。トイレに行くフリをして湯呑に注いだ常温の“美酒辛口”にそえて、ゆで玉子と塩をテーブルに運べば、

「ヤッター!」

と無邪気にはしゃぐ家内は、かわいい呑兵衛でもあります。

実は、常温の酒とゆで玉子の組み合わせは絶品でして、20数年前、ある冬の日に家の前を通ったチャルメラの屋台を呼び止めてラーメンを待つ間に、常温の2級酒のアテがゆで玉子でした。

この時のおいしかったプレミアムな組み合わせの一品が、今では我が家のごちそうなのであります。

駅の路地横に“おでん”と書かれた赤ちょうちんが小さな木枯らしに揺れる中、コートの襟を立てた私はグラスの3分の1が底の分厚いコップに、アルミの徳利で燗酒を注いでもらいます。ここでおでんの玉子を食べていたのが懐かしい。今ではチャルメラもおでんの屋台も、どこかへ消えてしまって寂しい限りです。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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