セッター “遥”
待ちに待った、リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック女子バレーボール世界最終予選が始まりました。
このコラムが皆様のお手元に届き、あるいはHPにアップされている頃には全ての予選が終了している事でしょう。日本チームはオリンピック出場権を手に入れ、日本国中の女子バレーボールファンは歓喜の中にいることでしょう。
ニッポン、チャチャチャ!
という訳で、
ペルーとカザフスタンに連勝した日本チームは第3戦で韓国と対戦です。
このカードの観戦を楽しみに、3ヵ月前に購入したアリーナ席CブロックA席。
大相撲でいう所の「向正面」ですね。ただし・・・
主審の斜め後ろの最前列というベストポジションゆえ、TV中継でバッチリ映り込んでしまうのです。無理を承知で“お忍び観戦”を目指すも、もはや打つ手はナシ! という訳で金色のスティック2本を叩いて思いっ切り応援しました。
ニッポン、チャチャチャ!
結果はご存知の通り、2対1で日本の惜敗でした。
が、残念! と思う前に私は素晴らしい選手を発見しました。
それは、セッターの宮下遥選手です。
日本チームが敗れた悔しさはもちろんですが、そもそもパーフェクトで勝ち上がれるほど“勝負”は甘いものではありません。また、ライバル不在でやすやすと勝ち残れる最終予選での勝利ならば感動もないでしょう。この厳しさで勝ち抜くことに意味があるんです。
そんな苦しい試合展開にあっても、
蝶のように華麗に舞い躍動感あふれる芸術的なプレイで
魅せてくれた宮下選手。
彼女の一挙手一投足に、私は酔いしれてしまったのでした。
リベロがレシーブしたボールにジャンプしての海老反りバックトス。
そこで図ったように沙織ちゃんが飛んできて強烈アタック!
入ったぁー!
会場内は割れんばかりの勢いで「サオリ! サオリ!」の大歓声です。
私は年甲斐もなく金色のスティックを打ち鳴らしながら
「ハルカー!」と叫んでいました。
続いて5月21日の土曜日には日本 VS イタリア戦が組まれました。
ファンにとっては今大会でもっとも緊張し、
なおかつ “力”の入るカードです。けれども私は抗癌剤の副作用がきつく、
家内が代わりにバレーボール部に所属する中学3年生の孫娘を連れて応援に行きました。
私はTV桟敷で宮下選手を中心に応援です。
遥ちゃんのバックトス。それはさながら、
フィギュアスケートで荒川静香さんが魅せたイナバウアーのように美しい……♡
トスを上げたその瞬間、一瞬時間が止まるんです。
そして素早く強烈なアタック!
世界ナンバーワンセッターとアタッカーの、
美しい連携プレーがそこに凝縮されているのです。
ご存知の通り、結果は韓国戦に続いて惜敗でしたが、
オリンピック出場権は確保しました。
目標に向かっての日々の練習は過酷を極めた事でしょう。
それでもチーム一丸となって最後の最後まで諦めずに
チームプレーに徹した結果の快挙。日本中に感動を与えてくれました。
おめでとう! そして感動をありがとう。
さあ、次はリオだ!
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