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コラム 三寒四温

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レジェンド

フィリピンが生んだレジェンドボクサー、マニー・パッキャオ

11月5日にラスベガスで開催されたWBO世界ウェルター級タイトルマッチで1年6ヵ月ぶりに王者に返り咲きました。

誰からも愛される小さな巨人、マニー・パッキャオ。彼の人生は、その功績を称える世界各国のメディアのニュースを読むにつけ、グイグイと胸にこみ上げる思いがあるのは私だけではないでしょう。

「帰ってきたヒーロー」
「不屈のボクサー」

そんな愛称が似合う彼は、決して天才ボクサーではありません。自分らしく生きる喜びにあふれる勇姿を見せてくれる、努力の人なのです。その佇まい、一挙手一投足が彼をヒーローとして崇める子供たちに夢と希望を与えている事に間違いはありません。彼は幼少時、一日一度の食事もままならぬ極貧生活の中でボクシングに目覚め、ついにはライトフライ級からスーパーウェルター級まで実に11階級に挑み、6階級制覇を成し遂げるまでに至りました。この功績をもって唯一無二のレガシーとして語り継がれる事でしょう。

37歳での王者復活に、世界中のボクシングファンならずとも、誰しもが驚愕しました。LIVE中継のTV画面越しでも力強さとしなやかさを十分に感じさせる、小さな巨人が繰り出すパンチ。27歳のチャンピオン、ジェシー・バルガスとの10センチのリーチ差、10センチの身長差をものともせず、2度のダウンを奪い、12回フルラウンドの末、判定で勝利を掴み復活を遂げました。その勇姿は実に爽やかな感動を与えてくれました。

パッキャオの持ち味といえば左フックと右アッパーのコンビネーションですが、我らが小池百合子東京都知事はハロウィンのイベントでリボンの騎士の主人公・サファイアに扮して正義の剣を携えました。都知事就任以来、連日マスコミに登場する彼女は正義の剣を貫くために尽力されているようです。政財界に跋扈する魑魅魍魎たちに懐柔されることなく、正義の剣をパッキャオの拳の如く繰り出して活躍して欲しいものです。そして何よりも日本の食シーンを変えてしまった流通業界にも正義の剣を振りかざして、真のレジェンドとして称えられる事を希望します。
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ライムキャビア

「あのー、この植物の検疫、お願いします」

IBIE視察研修旅行での3日目。
全米屈指のリゾート地・サンタバーバラの町中の車道をブロックして開催されるフリーマーケットの視察です。当日は抜けるような青空の下にいくつものテントが立ち並び、新鮮なBIOの農産物が数多く取り揃えられて賑わいを見せていました。

そんな中で偶然出会ったのが、奇妙な植物。野菜なのか、あるいは果物でしょうか?大きさはわずか小指大ほど、柑橘系の匂いがほのかに香る皮に包まれた植物を手に取り、「何ですか、これ?」と問い尋ねると、長いブロンドの髪を後ろで束ねた可愛い女の子が笑いながら爪で真中を割いて片側をつぶすように指で押さえると、あら不思議、白いキャビアのような小さく丸い粒がゾロゾロと出てきました。このアンビリーバボーな植物の正体とは? そしてその味は…

「オー、これはまさしくライムだ!」

私の横で興味深そうに観察していたデイジイの倉田社長にも試食を勧めると、

「ウワァー、本当にライムだね! しかも見た目はキャビアみたいでおもしろい」

最初、若い女性の検疫官は「何でしょうね」と思案し、しばらくしてからどこかに電話連絡しました。「見たこともない植物が来ましたので応援お願いします」。すると二人のベテラン検疫官が現れて、パソコンを操作すると、

「あった! これはライムキャビアだよ。以前苗木を持ってきた人がいたね。でも現物は初めてだよ」

学名「ライムキャビア」、通称は「フィンガーライム」または「ブッシュキャビア」。あまりメジャーではないけれども存在感のあるフルーツです。「では、割って中を見ませんか」と、私は半分に割ってキャビアのような実を押し出しました。「オーッ」。検疫官の歓声です。

「食べてみませんか?」
「いいのですか?」

検疫官全員で試食です

「アッ! ライムだ」
「本当! おいしいわね」
「これは検疫パスですよ」

書類に判を押していただいた後に、「他の皆さんと味見してください」と一つ差し上げてから税関を通って帰宅した次第です。翌日、会社で編集部にライムキャビアを差し入れたら、皆、驚いていました。パソコンで「ライムキャビア」を検索してみると、なんと苗木や実までも通販されていたのには驚かされました。とはいえ、取扱はつい最近始まったらしく、値段も五~六個で千五百円位、苗木一本五千円前後。この価格設定では、普及にはまだ少し時間がかかりそうです。

白身の刺身や寿司の上にライムキャビアを少量のせて食べてみましたが、これが合う! 焼酎のロックにも合う! スライスバゲットにクリームチーズ、その上にライムキャビア。すごく合う!

いい出会い、いい発見でありました。

□■□■□■

つくり手

外食産業で激安とんかつを展開するチェーン店が業績を伸ばしているらしい。通常1,000円程度の定食を500円で提供するのだから、ワンコイン族には朗報なのでしょう。

ここまでコストを抑えられる要因には職人技を必要としない機械の導入とシビアな食材の仕入れ値調整があるのでしょう。しかし…。何か一抹の淋しさが見え隠れするのです。

とんかつ屋の親父が、パン粉を付けて油にくぐらせるとんかつはジュワーっと鈍い音を立てて、細かい泡がプツプツと油面を賑わせます。とんかつが揚がれば、サク、サクッと手慣れた包丁さばきで切り分けて、千切りのキャベツの添えられた皿に盛られてハイ、お待ち!てな按配で、つくり手と食べ手の阿吽の呼吸がおいしさをいっそう引き立てるのです。

それが機械揚げとなると、やはり淋しいですね。そして、とんかつの豚はどこから仕入れているのでしょうか。すでにパン粉が付けられてパックしてある海外からの輸入品なのか、あるいはカットされた豚肉を輸入して、パン粉を付ける最終工程が加工地となる日本なのでしょうか。トレーサビリティがはっきりしないワンコインフードはとんかつだけでなく、天丼、寿司など日本を代表する料理全般に及ぼうとしているのは皆様ご存じの通りです。

食品事故が起きてから安心・安全がマスコミで叫ばれても、喉元すぎれば熱さを忘れる、人の噂も七十五日とやらで、日本経済の発展・成長にはリスクが絶えず付いてまわる事を、消費者があまりにも無関心なのはどういう事でしょうか。もちろん安価なコストで提供する商品が安くて、なおかつ安全・安心でおいしければウィン=ウィンなのでしょうが、おざなりに空腹を満たすのでなく、大事な一食であるからこそ、五感で味わい、リラックスする余裕が、良き一日となるのではないでしょうか。

大事なのは、つくり手が見えること。
これでしょう!
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弊社社長 菅田耕司のコラム


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