浄水倶楽部
大相撲福岡場所が開催中の11月、
久し振りに家内と連れ立って福岡へ足を伸ばしました。
久々の博多で感心したのが多種多様なレストランが豊富なこと。特に博多駅とその周辺ではニュースタイルの菓子店やベーカリー、コーヒーショップ、そしてキッチンスタジアムを思わせるバラエティー豊かなフードコートの数々。みなクオリティーが高いですね。福岡県民、いや九州人の“食”に対する探究心の深さを実感させられました。
2日目のランチは行列のできるうどん屋を選びました。ホテルからほど近いオフィス街の一角に行列を発見、11時30分の開店までまだ15分あるのに、行列はすでに60人を超えていました。私達はふだん5、6人待ちでも滅多に並ぶ事はありませんが、このうどん屋には興味がありました。紹介していただいた方の親切丁寧な説明によると、
「博多のうどんは柔らかいのですが、ここのはもっちりしていて、地元でもなかなか評判がいいですよ」
「店内は30人ほどの席があるので、11時50分頃には入店できるでしょう。それと、メニューは一番人気の『ごぼう天肉うどん』でいかがでしょうか?」
とのこと。しばし周りの客を観察します。7~8割の客はキャリーバッグを携えています。どうやらお隣の韓国から訪れたようで、尋ねてみると韓国のガイドブックには「福岡空港に着いたら、博多の『うどん平(たいら)』でごぼう天肉うどんのランチをまず食べましょう」と紹介されているそうです。
我々の前に並んでいた韓国の若いカップルやファミリー連れの方がキャリーバッグとともに店から出て来て、いよいよ私達も入店です。オーダーはもちろん『ごぼう天肉うどん』です。
着席して待つ事7~8分、「お待ちどうさま」と店員らしからぬ品の良い若年増の女性がニッコリと丼を目の前に置いてくれました。それではいただきます。スープをひと口すすってごぼう天を食べると……おや?
正直、期待していた味からは程遠い食感です。スープは薄口で讃岐っぽい味、うどんはもっちりとしていてそれなりにマッチしているのですが、ピーラーで削った極薄切りのごぼうの天ぷらは衣ばかりが目立ち、しかも作り置きなのか冷えて固かったですね。そして肉、これがいけません。丼の脇に沈んだ大さじ2杯ほどの牛バラ肉はうどんつゆで湯がいてあるだけなの?
店を出て開口一番
「ここのうどんは“醤油のぶっかけ”が合うかもしれないね」
「韓国人のお好みに合っているのかも」
「“かろのうろんや”で口直ししますかね」
「いやいや、夜まで我慢ですよ。今夜の浄水倶楽部が俄然楽しみだわ!」
やはり、慣れない行列はするものではありません。
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