ティファニー・ブルー
4月15日付の日経新聞夕刊に掲載された
編集委員のコラムに興味を惹かれました。
冒頭の一節にはこうあります。
今年70代になる団塊世代がまだ若かった頃、銀座はボーイ(ガール)ハント、今で言う“ナンパ”の名所だった。ソニービル周辺は若者であふれ返り、声を掛け合い意気投合すれば酒場へ――
女性編集委員はおそらく私と同期、昭和22年前後の生まれなのでしょう。何が興味深いかというと、「ボーイ(ガール)ハント」と書いていること。彼女はボーイハントが主流だった事を認めていると思われるからです。もちろんカッコづけで“ガール”も併記していますが、積極派団塊世代の代表ガールだったのでしょう。こういっちゃ何ですが、実は私もこの時代には大いにモテました。
赤坂一ツ木通りのTBSビル前の「アマンド」は、通りに面したカウンターがあり、コーヒーを飲みながら道行くガールたちの品定めにもってこいの場所でした。というのも、学生時代から親のスネをかじって外車を乗り回し遊び呆けていたからです。それは“ティファニー・ブルー”のキーホルダーが私のラッキーアイテムだった頃のお話。
話をアマンドに戻しましょう。カウンターからは店の前に停めた私の車がよく見えます。そして、可愛いガールが車をじっと見ている姿も。これって「私をナンパして!」のサインなんです。本当ですよ。すかさず私は店を出て声を掛けます。
「何をしているの?」
「ウン……この車、あなたの?」
「そうだよ。乗る?」
「ウン!」
こんな時代でした。銀座に行けばズタ袋を小脇に抱えた通称“みゆき族”と呼ばれるガールたちの群れ。ゆっくりと車を走らせていると、声を掛けてきます。今思えば夢のような世界でした。
「時代の主役は若者」だった……。それから半世紀が経ちました。翻って現代の若者たち。果たして彼らは時代の主役でしょうか? 私たち団塊の世代から言わせると少々情けなさが目立ちます。いわゆる内面を見せられない、自分に正直でないとか、自己主張がヘタなんですね。
お会いしてみたいなぁ、同時代に共通の日常を過ごしていた人たちと。六本木のハンバーガー・インやキャンティ、ロシア大使館の隣には麻布ドライブインもありました。原宿ミッシェルのピザはおいしかったなあ。ディスコの先駆けだった「ビブロス」、会員制クラブ「檻の中」や「ポテトクラブ」「クレイジーホース」で出会った常連の仲間たち。自己主張たっぷりの若者が席巻していた時代が、今はただただ懐かしいばかりです。
コマドリの卵の殻、あの鮮やかなをブルーイメージして作られたティファニー社のシンボルカラー、
「ティファニー・ブルー」は今でも私のラッキーアイテムです。編集委員さんとも、あの頃のみゆき通りですれ違っていたかも知れませんね。ティファニー・ブルーのキーホルダー、思い当たる女性はおりませんか?
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