武蔵野の野辺に立ちて
山崎製パン創業者で社主であられる故飯島藤十郎氏の奥様、和夫人が12日、102歳の天寿を全うされて天に召されました。前夜式の前にご自宅を訪ねて和夫人のお顔を拝見させていただいて、家内と2人で顔を見合わせてハッ!と息を飲むほどに驚きました。
まるで102歳とは思えない、お若くて健康でふくよかでハリのあるお顔。頬紅が塗られてはいたものの、目を閉じたそのお姿は素敵な貴婦人そのものでした。
山崎製パンは来年、創業70周年という記念の年を迎えます。千葉の市川で起業されてから、今ではご長男の延浩社長の指揮のもと、連結で1兆円超の売り上げを誇る企業への成長を見届けて、天にて待たれる社主へご報告されている事でしょう。
和夫人のご功績は数多くありますが、特に武蔵野の地にて教会建立に尽力された事は業界の方であれば誰しもがご存知でしょう。
和夫人は生前90歳のとき、ご自身の半生を記した自伝を出版されました。
その帯にはこう書かれています。
夫・飯島藤十郎とともに歩んだ戦後は、ヤマザキパンの創業と事業発展の歩みにも重なります。無我夢中で走り抜いた、戦後の日本の誰もが歩んだ道でした。事業の成功と新しい挑戦を繰り返すうちに、人の力では乗り越えられない試練に直面、夫の強い祈り求めと、熱心で心の優しい性格は、キリスト教との交わりの中に温かさと希望を見出しました。
平安に天の御国におられる和夫人の詩より2編の詩をご紹介します。
雑草(あらくさ)も 命の限り生きており
花咲き根を張り 実を結びつつ
そよ風に かすかに揺らぐ
花づるに 蝶舞い来たる 朝の静けさ
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