M.O.F
先日、大盛況にて閉崔しました日本橋三越本店での三越フランスウィーク。
そのキャッチフレーズは
「ブーランジェリーで始まる幸せな一日。」
とあり、説明にはこんなコピーが添えられていました。
フランスでは誰しもがお気に入りのブーランジェリーがあります。朝のパン・オ・ショコラに始まり、ランチは公園でバゲットサンド、夜は家庭や仲間とチーズやワインと共にカンパーニュを楽しみます。
斯くも素晴らしき哉、パンづくしの毎日の暮らしよ! とばかりに少々オーバーに謳っているのは文字通りのキャッチフレーズだからでしょう。かつて日本のパン愛好家たちの合言葉であり、今では死語になってしまった『ノーブレッド・ノーライフ』そのままの再現のようです。
しかし、今回のパンは一味違っていました。
特別ゲストにはフランスのM.O.Fのティエリー・ムニエ氏が初来日してこの企画を盛り上げていたからです。4日からはじまった第1週目は、大阪のパリゴの安倍竜三シェフとコラボして、パリゴのパンを安倍シェフみずから目の前で焼き上げていました。
続く2週目はデイジイの倉田シェフとボン ヴィボンの児玉シェフの2人がムニエ氏とコラボして、至福のパンを焼いて大好評だったのは言うまでもありません。
三越で安倍君の焼き上げたパンにハムとチーズをサンドして、フランス産粒マスタードを塗ったミニバゲットを、帰路の車中で家内と一本ずつぺろり。というよりも、じっくりとパンの旨味を味わうという至福の時が過ごせました。
「おいしいね」
「うふふ」
会話はこれだけ。後部座席には安倍君がプレゼントしてくれた4種のバゲットと田舎パン、クロワッサンが車内においしい香りを漂わせています。さて、今夜はシャルキュトリとパンとチーズでヴーヴクリコのロゼでも飲りますか。
私が崇拝する哲学者・パスカルの写本から少しずつ読み取られ、現代へと語り継がれているパスカルのバイブル「パンセ」の一説にある「神なき人間の悲惨。神と共にある人間の至福」。この名文をだぶらせてはバチがあたるかも知れませんが、「パンは神が与えてくれた最良の贈り物」と改めて感動するほどに、至福の〝噛みごこち〟だったのは間違いありません。
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