駅弁
実に面白い。
実に的を射た表現ではないか。私はこのテレビCMを観てワクワクしたものです。包装されたままの駅弁とビールを列車にしつらえてあるテーブルに置いて出発を待つ女性(石田ゆり子さん)。なぜかソワソワしている様子。そして鳴る出発のメロディ、列車はゆっくりとホームを滑り出します。待っていたかのように彼女は駅弁の紐を解きフタを開け、そして缶ビールのプルトップをパキッと開ける。
「いただきます!」
まずは缶ビールを口にして、アーッ! とひと言、そして駅弁に箸をつける。駅弁好きな人にはたまらないCMですよね! これは『キリン一番搾り』のCMなのですが、鉄道と駅弁好きの習性を熟知したこのCM、好感が持てます。そうなのです、列車内で食べる駅弁は走り始めてから車窓の景色も“おかず”として楽しむ、それが鉄則なのですよね!
ちなみに駅弁といえば「崎陽軒のシウマイ弁当」が私にとっての定番で、中の具材から食べる順番まで決まっています。
紐を解き、フタを開ける。小さな辛子の袋を切ってシウマイに均等にのせる。添付の小さな醤油ボトルのキャップを開けて掛ける。まずはサイコロ状にカットされて甘辛く味付けされたタケノコをひと口、そしてシウマイを半分かぶりついてゴマのついた俵飯を半分食べる。これがスタートの手順、あとは隅にほんの少しだけ盛られたピンク色の千切りショウガと千切り昆布とを2~3本ずつ大事に食べながら、残しておいた俵飯、竹の子、カマボコ、マグロの煮付けと玉子焼きもすべて完食すれば、
残るは小梅と杏のデザート。ゆっくりゆっくりと30分以上かけて味わいながらいただくのが私流です。
列車内で食べる駅弁の食べ方は人それぞれなのでしょうが、心ワクワクする楽しいひと時に間違いありません。あっ! 忘れていました、列車での駅弁は一人旅に限ります。なぜかというと、おしゃべりは厳禁なのです。一人で味わう至福のひと時、かくも哀愁を誘う日常の景色をテレビCMにしてくれた、制作会社に感謝です。
最近では、ハムとチーズ入りのバゲットサンドも列車のお供としておすすめします。ルヴァンを使用したバゲットサンドは、噛めばかむほどに小麦本来の味が幸福感をあおって、通り過ぎる景色に“合う”。
とにもかくにも、走る列車内で食事は楽しいものですね。
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