破顔
「常にバージョンアップする努力をしていますか?」
などと、どこかのセミナーで講師が熱弁をふるっています。まあずいぶんとファジーな物言いではありますが、ヒト・モノ・コトに振り分けて、それぞれについてあてはめて考えてみると秒殺で感化されて「なるほど」と納得してしまう私は、この手の類いのセミナー主催者にとって格好の標的かもしれません。
バージョンアップとブラッシュアップ。「ん、同じ意味かな?」などと考え込んでみても時間の無駄ですね。元々の感性無くしてなし得られるものではありません。
連日続く猛暑の今夏、私のバージョンアップは「舌の進化」です。という訳で、長い入院生活で病院食になじんでしまった我が“舌”を絶好調に回復させるべく、まずは思い切り喜ばせてあげたい! と、超我がままに(体調と相談しながら)、なじみのレストランを訪ねまくっております。真っ先に足を向けたのは、言わずもがなの高円寺「さぬきや」。お洒落なイケメン店主の近藤くん(通称:やっちゃん)は暖簾をくぐった私の顔を見るや破顔して私を迎え入れてくれました。
「さぬきや」はうどん屋の看板を掲げながらも、その実、酒・肴の名店なのです。お通しからシメまで際限なく絶妙なまでに酒と肴の相性を高めてくれるメニューの数々。そう、彼こそが、日々バージョンアップし続ける“人”なのであります。
提供される酒・肴の合間に出される、この時季ならではの逸品、さて今宵は・・・
小振りの洒落た木椀に盛られた“冷やしカレーうどん”です! 他の客の料理をつくりながら冷やしカレーうどんを食べる私の顔を、最初からドヤ顔でうかがうやっちゃん。「これ、最高!」
至高の酒肴を締めるうどんは、全粒粉のぶっかけうどん!
やっちゃん、やっぱりハンパない!という訳で、ごちそうさまでした。
翌週、体調抜群の日にNOBU東京へ行きました。
久々に見渡すオープンキッチンには元気な従業員の面々が、「お帰りなさい!」とここでも破顔して全員が声掛けしてくれます。あーこの空間、このひと時、この爽快感がNOBUにはある! ホスピタリティーあふれる“世界のNOBU”だからできる、もうひとつの“味”なんですね。
まだまだ行かなければならないお店がたくさんあります。会わなければいけない人がたくさん待っています。私のバージョンアップの夏は、まだ終わりません。
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