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コラム 三寒四温

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思いもよらない

海外出張帰りの全日空機内にて。

日本語に飢えている私は日経の1面から順に、全ての記事に目を通します。その中で電子版に掲載されていた「日本酒品評会」の記事が気になって読み進めていくと、それはフランスのパリで開催された「KURA MASTAR2018」の結果を伝えるものでした。これは日本全国の酒蔵から出品される多数の日本酒がフランスの飲食業界関係者によって審査される品評会です。まだ昨年から始まったばかりで今年は2年目ですが、かなり盛り上がっているようで大会HPでは、「フランス人によるフランス人のための、フランスの地で行う日本酒のコンクール。フランスの歴史的食文化である“食と飲み物の食べ合わせのアバンチュール”を体験し、さらにフランス市場において日本酒をアピールする場の提供」とありました。

昨年は純米大吟醸酒が金賞をほぼ独占、というよりも、日本国内でも同様に大吟醸酒の人気は高く、人気メーカーの酒は通常価格の5~10倍と高騰したプレミア価格が当たり前で、ネット通販での加熱ぶりに食品スーパーが追従しているのが現状です。純米大吟醸とは酒米を通常50%以上磨いて(削って)仕込むことで格付けされるらしいのですが、時には25%以下まで贅沢に磨き込む銘柄も存在します。しかし私にはイマイチ見分け(味分け)がつきません。しかし人気加熱で入手困難なプレミア日本酒ほど先入観が下駄を履かせるのか、一層おいしく呑めてしまうのは家内も同じで、世の中の左党が認めているからこそのプレミア商品なのでしょうね。

KURA MASTAR2018の栄えある第一位、グランプリ輝いたのは大分県の中野酒造が出品した「智恵美人」(ちえびじん)で、50%以上磨かない“純米酒”でした。発表会場はどよめきに包まれたと聞いています。記事によると、中野酒造の担当者は胸を張って「米を磨くよりも米の多く
の成分を生かしてつくりました」。お見事なコメントであります!

パン用の小麦粉は決して酒米のように磨く事はありません。「砕く」のです。何回も何回もロール機で砕かれた小麦はふるいにかけられ、ひと粒々がやがて粉となり、なおもふるいにかけてふすまを取り除くことで、ようやく純白のパン用小麦粉となります。古代から続く製法から解き放たれて、麦のさまざまな成分を生かした斬新なアイデアでの生産方法が現れる日が来るかもしれません。とはいえ私自身も世界中の製パン関係者も、今の方法がベストだと信じているうちは、“思いもよらない”事はそうそう起こらないのでしょう。

おいしいパンをいつもありがとうございます。

上質のアウトプット

食パンの製造は、
生地が発酵して“ナンボ”です。

 もちろん使用する食材によって材料は複雑に配合・ミキシングされ、湯種・中種・ストレート法など各社の独自開発により、品質の優れた食パンが生まれます。焼成後もクーリングやスライス、そして包装という工程が続き、製造担当者にとっては一瞬の手抜きやミスも許されない緊張の連続でしょう。現代の食パンライン、特に大手ベーカリーでは大半が全自動で稼働しています。しかし、オートメーションの恩恵を過信していると、不慮のトラブルや「人為的なミスによる事故」が発生しかねません。なぜなら、機械はしょせん機械であり、高度に発達した生産ロボットも“すべては人間”が作り上げたもの。100%の成功などありえないのが当然と心得るべきでしょう。

ラインでの製造工程で異常を知らせるブザーが鳴り響いても、1つのミスが改善されればブザーは止まります。ラインは何事もなかったかのように再稼働します。しかし、果たしてミスはその1点だけでしょうか? 原因は必ず他にもあるはずです。しかし、ミキシング、発酵、プルファー、分割それの工程一つひとつのミスをとことん、“今すぐ”洗い出すとなると、すべてのラインをストップし、メイキング過程における「理想所要時間10分以内」は刻々とオーバーしてしまいます。そうなったら過発酵や生地の水分が抜けてしまい乾燥・劣化する等、品質への影響は計り知れません。

今日、製パン企業の生命線でもある食パンを生産している世界の製パン企業はテクノロジーを過信する事なく工場管理者の皆さんが、さらなる感性を駆使して今までインプットしてきた製パン法をいかにバージョンアップしてアウトプットできるかが課題ではないでしょうか。製パン機械メーカーにとってもさらなる企業努力を望むものであります。

9月にドイツのミュンヘンで開催されるiba 2018では欧州最大の製菓・製パン用最新マシーンと食材、関連資材が数多く展示されます。3000年にも及ぶパンの製法は20世紀に入ってから飛躍的に進歩を続けて今日があります。より安全・かつ安心、栄養のあるリーズナブルな価格のパンを供給する事は、私たち業界に携わる人間の“使命”でもあります。

9月18日に弊社企画のiba2018研修旅行はミュンヘンに向けて出発します。上質のインプットから最上質のアウトプットへとつなげる感性を身につける日々となれば、参加者の皆さんそれぞれの使命は必ずや達成される事でしょう。


弊社社長 菅田耕司のコラム


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