ミニかきあげ天丼
自分の命のことで何を食べようか 何を着ようかと思い悩むな
命は食べものより大切で 体は衣服より大切
聖書・マタイによる福音書 6章 23~34節に書かれています。
しかし、何という事でしょう。私は今日何を着ようか、今日のランチは何を食べようかと毎日のように思い悩んでいます。もちろん聖書の御言葉は“欲望”を叱っているのではなく、思い悩む前に自分の命の事を考えなさい、それはどのようにして得たのか? 命は神様からの賜物の解釈を例えて教えてくれているのです。が、冒頭の言葉は身に染みるものがあります。衣・食への欲望は限りなく、大きな気持ちが自身の中心にある事を!
我が身を戒めるかのように御言葉を少しだけ思い出しつつ、今日は日本橋三越の地下食品売場へ一人で出張りました。時は13時半、全摘した“幻の胃”なのか小腸なのか、少し小腹が空いたようです。明日のディナーはNOBUだから今日は鰻かなぁ~などとイートインのコーナーを歩くと、すでに10人ほどの列。ならば隣の山の上ホテルの天ぷらをと足を向ければ、運良く空いていた2人席のテーブルに通されました。
いつものようにメニューを開いて思い悩んだ末、少量のミニかき揚げ天丼に決定! 左隣のご老人3人組も、女性2人が私と同じ“ミニ”で男性は普通の天丼をオーダーしていたらしく、私も着席したらすぐにサービスされました。
と、ここで事件が! 奥に座るおばさまが、かきあげの中から小海老をひとつずつ丼のフタに移しています。
「あら、どうしたの?」
もう一人のご婦人が尋ねると
「私、エビが苦手なの」
ありゃりゃ、ミニかきあげ天丼の具材は小海老とイカだけですよー。と思った矢先、ご主人の漬物皿を手に取り、自分の丼に全てのせて食べはじめました。どうやらご主人は漬物が苦手みたいです。結局最後はフタに山積みとなった小海老には誰も手を付けることなくお勘定です。この御老人もまた、あれやこれやと思い悩みつつ、“イカ天とお漬物丼”を承知の上でオーダーしたのでしょうか。
命を創造していただいた賜物の御言葉なのに、食後に「さて、今夜のおかずは何にしようか」と惣菜売場で一人思い悩みながら、内なる葛藤を続ける私でした。