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コラム 三寒四温

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二元論

噛みしめれば、パンの旨味が心を豊かにしてくれるバゲット。それはバゲットに限らず、全てのパンに使用する自家製パン酵母の使い方次第で大きく味わいが違ってきます。自然界には無数の酵母が存在すると言われており、市販されている「イースト」ももちろんパン用酵母である事に間違いはありませんが、ひとくくりに言えばパン生地を合理的かつ均一に発酵させる、人間が発見したパン酵母がイーストですね。「自家製酵母を使用しています」と売りにしているパン屋さんの商品を喜ぶ消費者の皆さん、どこまで理解しているのでしょうか。

ベーカリーの立場で言えば、イーストは安定した製品の大量生産に欠かせないものであり、さらに独自に開発された自家製酵母をミックスすれば、こだわりの発酵生地ができますね。そして、発酵方法は天文学的に存在し、利用法も取り扱う職人次第で味が決まるのです。もちろん主原料である、あらゆる種類のあらゆる方法で製粉された粉によっても、多彩な「味の顔」をつくり出します。

さらに水、塩、油脂、発酵時間、焼成温度と時間。「パンをつくる」という事はオーケストラの指揮者のようではありませんか。それぞれの主張を聞いて修正して組み合わせ、さらなる高みを目指す。しかし毎回、同じ音色(味)を出す事は不可能であると私は思うのです。要はどちらもお互いが“感動”する事が成功のキーポイントとなるでしょう。作り手と客、2つの原理を基礎とする「二元論」にまで話は及びます。

自然界が生み出す野生酵母が面白いですね。空気中に含まれているかもしれない神のみぞ知る新しいフレーバーが日常生活の周りに漂っているとしたら、日々進化し続ける豊かな食シーンをより一層楽しむためにも、見つけるしかないでしょう。いや、見つけ出してください。

生産者と消費者は善と悪、黒と白というような異質な2つの原理を新しいフレーバーで融合させて捉えられたら、と消費者の立場で夢想する……思いは尽きません。

パン業界の未来を描く筆を携えているのは、あなたかもしれません。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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