裸の王様
パン業界は、「おいしい業界」なのでしょうか?
最近やたらと “食い物” にされている感が否めません。特にやっかいなのが「パン請負人」として闊歩している人たちです。白いパンや柔らかいパン、リッチな高級食パンを売りにして異業種や素人を相手に製パン業界に参入させる、“にわかパンの先生”たち! そう、彼ら彼女ら自身は確固たるビジョンなど持っておらず、ブームやトレンドなる追い風で得た名声を盾にマージンを要求する拝金主義者と私は理解します。何はともあれ、言わんとすることは行間からお察しいただければ……。
私としては全ての人の「口福」を満たして欲しいという願いで対峙したいと考えています。できることなら徹底的に排除したいのですが、反面教師として見れば幾許なれどパンの知識向上に貢献しているかもしれません。ここはひとつ、お手並拝見というか傍観してみましょう。消費者はやがて本物を求めてリターンしてきます。売り方、売らせ方、売られ方。考えさせられますね。
日本の製パン業界を牽引してきた大手製パンメーカーやリテイルベーカリーのたゆまぬ研究成果によって培ってきた、世界に誇る製パン技術は私達の食生活を豊かに導いてくれています。「自分らしさ」は企業や店舗の顔だと心得ます。決して周囲の目を気にして変えてはなりません。
自分らしさを貫き通す。これこそが消費者との絆を深めるキーワードでしょう。クープ・デュ・モンド、iba カップ、モンディアル・デュ・パンなど、世界を舞台に国を代表し製パン技術を競う各種コンテストが毎年開催されていますが、日本の技術が世界トップクラスにある事を私は誇りに思います。彼らこそが伝道者であり、業界発展の牽引者でもあるのです。その一方で、技術力や指導力はおろか人望すら持ち合わせていない形だけの責任者が居座っている団体があるのも事実です。そんな環境でもめげずに活動している指導者や選手達が不憫でなりません。
エセライター等と同様に一時の権力や名声に固執し続ける、裸の王様の如き振る舞いは滑稽でしかありません。
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