とげぬき地蔵
11月あたまの祝日、72年の人生で
都電荒川線に初めて乗車しました。
家内と散歩がてら、とある場所を目指します。1両編成の都電は祝日ということもあってか、結構混んでいました。
もうお分かりかと思いますが、目指すは私達と同世代のジジ・ババの聖地、巣鴨のとげぬき地蔵商店街。
しかし、出発前の下調べなど皆無、降りる停留所も分かりません。子連れの家族に尋ねると、「庚申塚ですよ」と教えてくれました。あやうく手前の巣鴨新田で降りるところを助かりました。庚申塚停留所で下車すると、目の前に小洒落た茶屋があって、お年寄り達で賑わっています。ここからがスタートなのですね。少しワクワクしてきました。線路を渡れば、そこは直線1キロほど先のJR巣鴨駅へとつながるメインストリートが眼前に広がります。
入口に掲げられた「巣鴨地蔵通商店街」の賑々しいアーチ。祝日らしくさまざまな屋台が並び、車道の中央にも露店が陣取っています。すると、歩き出してすぐのお店に目が止まりました。
店先の陳列棚に見覚えのある「ぶすのこぶ」というお菓子を発見!
こちらは岩手県久慈に本店を構える、昭和5年創業の老舗・沢菊製菓の大ロングセラーです。そしてナント! 3代目社長とは旧知の仲なのです。思わず店員さんに「ぶすのこぶを、なぜ販売しているのですか?」と尋ねると、「こちら岩手県のアンテナショップです。このお菓子は当ショップの一番人気ですよ」。
予期せぬ“再会”で、社長の宮沢君との思い出や東北の仲間たちと一緒に海外視察へ行った楽しい記憶が脳裏を駆け巡りました。
夕方近くになって“少し寒いわ”と家内が露店で古着を見つくろっている間にトイレへ。近代的で清潔感にあふれ、感動すら覚えるバリアフリーのトイレに休憩施設。さすがシルバー世代の町ですね。
ほどなくして家内が見慣れぬ上着をはおり、おまけに何やら大きめのレジ袋を提げて現れました。
「どう?」とクルッと回って古着を見せます。
「似合ってるよ」
「これ、上下で300円。もう一着買えば500円って言うから、ワンピースも買っちゃったわ!」
・・・商売上手と買い物上手のウィン―ウィンで何よりです。
再び少し歩くと伝説の“幸運をもたらす”と評判の赤パンツ専門店が軒を連ねています。いやー、面白いですね。屋台ではリンゴ飴、お好み焼き、焼きそば等々、お祭りや縁日の屋台より安くてボリュームがあります。骨董店やアンティークな陶器を売る店もたくさん出店していて飽きることなく歩き続け、あっという間に巣鴨駅が見えてきました。
という訳で、肝心のとげ抜き地蔵様がどこにいらっしゃったのか、お姿を拝むこともなく山手線に乗り、自宅最寄りの新大久保まで。次の休みはどこへ行こうか? と行きつけのコーヒー店でチーズケーキを食べながら深まりゆく秋の散歩先を思いあぐねるのでした。
◆■●◆■●◆■●◆■●◆■●◆■●