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コラム 三寒四温

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美意識

最近の日常生活で困った問題があります。

それは突然やって来ます。
1人で自宅にいる時、お風呂やトイレに入っているタイミングで “ピンポーン” とインターホンが鳴る。宅配便は予告なしに訪れますね! 居間に置いてあるスマホが鳴っても用を済ませてから着信先にコールバックすればよいとして、宅配便の場合はそうもいきません。タワーマンションの場合、不在票は1階の集合ポストに投函されるので、身支度を整えてからエレベーターで降りなければなりません。ポストから不在票を取り出して、記載されている担当ドライバーの携帯番号に連絡。すみやかな再配達はありがたい限りですが、お互い二度手間であることは変わりません。

そしてさらに面倒なのが「ゆうパック」。こちらの不在票にはドライバーの番号が載っていません。配送センターに電話して自動音声に従っての再配達手配は面倒でもどかしい。という訳で、時にはビショビショ泡だらけの体でインターホンに出て、エントランスのドアを解錠しなければなりません。

そして、ここから先の “ルール” が重要なのです。まず自宅玄関のカギはかけておかない事。玄関脇のテーブルに印鑑を置いておく事。何より一番重要なのは配達人に「自宅のドアは開いています。印鑑はテーブルに置いてあるので押して下さい。荷物は玄関内で結構です。決して自宅のドアホンを鳴らさないで下さい」と念を押す事。トイレの場合は座った瞬間にピンポンと鳴れば、すぐに立ち上がってインターホンに向かうのですが、用も足さずに自動で洗浄水が流れ出て “ああもったいない!” という具合にバタバタと師走を過ごしております。せめてもの対処策として、独りで在宅時の風呂とトイレはカラスの行水よろしく早く済ませる術を身につけている自分がいます。

2019年も残すところ1週間。世間は慌ただしい風情ですが、連日のようにドタバタと報道される「総理と桜を見る会」へのバッシングには憤りや呆れを通り越して虚しさばかりを感じます。国会ではもっと重要な審議が行われるべきではないでしょうか。日本の野党の無能さ、視聴率目当てで節操なく煽り立てるマスコミ。ポリシーの感じられない報道番組のエセコメンテーターの言動には見ていて腹の立つ思いです。

私達製パン業界人も含め、政治家の皆様にも心がけて欲しい事。それは、

「美意識を持とう!」です。

ふだんの言葉や立ち振る舞いを決める、大切にすべき価値観ではないでしょうか。宅配業者さんへのサマにならない対応と同様、美意識に欠けた言動は次世代を担う子どもたちに見せたくないものです。

困難な壁

人間には人それぞれに色々な関連性があるといわれています。そのひとつゝはもちろん決まっている訳ではないので、それぞれに不思議な縁で結ばれていると思った瞬間、私は不自由な右手でペンを走らせていました。きっと私と似たような事を考えている人と関連性を共有してみたい、と思ったからです。しかし、そんな事が可能なのでしょうか?

“欲” を追い求めている自分に気づいて罪悪感を覚えてはみても、何でもその場限りで済ませる事が日常となっている私は罪深い人間だ、と思います。令和元年の師走を吹き抜ける風はやたら冷たく、身をふるわせます。心の奥底から罪を認める事などできる訳がない。やはり私は偽善者なのかもしれません。そして、心から悔い改める事は難解であります。

クリスマス前に72歳を迎える、流れるように過ぎゆく人生のスピード感。我が身を振り返るに、こと人間関係においてはトラブルの多い人生でありました。

困難な壁は困難を乗り越えられる者の前にだけ現れる、という説教は私にはあてはまらないかもしれません。困難な出来事は私自身、いつもソフトランディングでやり過ごしてきました。いわゆる隠蔽ですね。

スペインのバルセロナで1882年の着工以来、今なお建設が続くサグラダファミリア。設計者のガウディが職人たちに伝えたとされる言葉が、

「諸君! 明日はもっと良いものをつくろう!」です。

私はこのポジティブな言葉を知って “そうだ、明日があるんだ” と前向きでいる事の意味を知りました。面倒な事から逃げ続け、真正面から向き合ってこなかった自戒の念とともに、ガウディの金言を胸に刻んだのです。

今年も日本人がノーベル賞の栄冠に輝きました。化学賞を受賞した吉野彰さんは旭化成でリチウムイオン電池の開発に携わっていましたが、もう一つ、考古学の研究者の顔もあります。授賞式インタビューで吉野さんは「しつこい執着心と諦めない事。さすれば必ずゴールがあります」と快挙に至った理由を語っていました。

人との関連性の中で “欲” に生き罪悪を背負って生きてきた私ですが、吉野さんを見習い、我が身の行動規範にのみ執着心を持ち前向きな発想で明日に生きれば、きっと良い形で道が拓けるものと信じています。冷たい師走の北風も、常に向かい風とは限りません。

令和元年のラストスパート、もう一息です!

トライ&エラー

我が家の最寄り駅・総武線大久保駅ホームに設置されている、1メートル四方くらいのガラス製の路線図。夕方になると明かりが灯されるのですが、目をこらすと“本物はこちらだ”とばかりに路線図を隠すように広げたクモの巣の真ん中に小さなクモが2匹。冬風に吹かれて左右に揺れている様が“ライトアップ”されています。周りに捕獲された虫の収穫もなく、必死に巣に張り付いて踏ん張っているクモの姿が、なぜか哀愁を誘う今夜の寒さです。地味ゆえに今まで気づかなかった自然界の摂理ですが、都会の片隅でも健気に脈々と営まれているのですね。

その夜、冷え切った体をあたためてくれたのは高円寺さぬきやの店主が送ってくれた、試作品の「全粒粉の半生うどん」。試行錯誤を重ねながら全粒粉にこだわって5年の歳月をかけたという力作を開封、強火で湯がく事8分間。「さて、つゆはどうしようか? 濃縮のそばつゆしかないか……」と冷蔵庫を開けた瞬間、ふと閃きました。卵ケースの隅に隠れていた、塩ラーメン用の濃縮スープを見つけたのです。

「よし、今夜は塩ラーメンスープの全粒粉うどん・たっぷり焼きネギにぶつ切り入りだ!」

え、塩ラーメンスープとうどん? と首を傾げたくなる気持ちもお察しします。確かに味噌ラーメン用スープだったら味噌煮込み風にすれば違和感なく“合う”かもしれません。しかし、塩も意外と結構、いやなかなかのアメイジング・テイストであります。そして塩には焼きネギが合う! もっちりとした全粒粉うどんを噛みしめるほどに、塩・ネギ・小麦のマリアージュで箸が止まりません。両手で丼を捧げ持ち、熱々のスープを少しずつすする。あー、なんておいしいんだー。

大久保駅ホームの2匹は虫を捕らえられたかな、と一瞬クモのことを思い出したら、アラ不思議。TV脇の白い壁に家グモが現れたのです。家グモは福を呼ぶと母から教えられていたので、私はいつも気にする事はありません。「そうだ、生姜をすろう!」。家グモが教えてくれたのかもしれませんね、食いしん坊の私に。すりおろした生姜を丼に回し入れて、塩ラーメンのスープと焼きネギの香りをまとった全粒粉のうどんをひとすすり。これまた絶品であります。今朝あけた食パンをちぎってスープに浸して食すると、これもまた旨し! ケンカしない上品な味に仕上がりました。粉食は身も心もあたためてくれます。

食品メーカーの商品開発も、こんな具合に些細なきっかけで始まるのかもしれませんね。偶然の閃きと失敗の積み重ね、まさにトライ&エラーの試行錯誤です。豊富な記憶や経験という堅実な土台に意外性のあるアイデアを組み合わせることで新たな味、おいしさが生み出される。今夜の私はクモの巣のように張り巡らされた記憶のシナプスが上手くつながったようで、大満足です。

高齢者講習

今年は運転免許証の更新年です。

先月、12月の誕生日に先立って、「高齢者講習」に行ってきました。70歳以上は必須課程で、内容は交通ルール講習と高齢者に多くみられる視力後退の検査。最後の実技運転まで2時間みっちり受講してきました。

講習は民間の自動車教習所で行われ、実技は教習コースを教官と高齢者4人が同乗して1人あたり10
分間ほど助手席の教官が指示したルートを走行するのですが、結構緊張しました。1人目の方はそつなくゴール。続く2番手の私はというと、バックモニターなしの車庫入れに戦々恐々。窓から身を乗り出すほどに後方確認に万全を期し、慎重にハンドルを切りつつ無事成功しました。停止線前で止まる、ウインカーを出して右・左・前方を注視して慎重に慎重に運転したのはもちろんのこと、普段のように左手をコンソールボックス上に置いて右手だけでハンドルをさばくなんて事はとてもできませんね。ハンドル切り替えも初心にかえって両手をきちんと交差させ、無事終了しました。

ホッとしつつ、次の人の運転に身を任せる訳ですが……。7年ほど運転していない女性とのことで、サイドブレーキをかけたままウインカーも出さずに発進・右折するわ、車庫入れでは左右後方を囲むように立てられたポールに接触しまくり。挙げ句の果てにS字路で脱輪の連続!「この人、更新は無理だろうな」と私を含め同乗の受講者全員が思ったに違いありません。正直、同乗し続けるのが少し怖かったです。最後に修了証が交付されるのですが、問題の女性も交付されていました。この実技講習には更新を抑止する法的効力などは一切ありませんから当然の措置とはいえ、少々複雑な心境ではあります。

講習修了を経てようやく指定の警察署や免許センターで免許証が交付されますが、違反歴やゴールドなど関係なく有効期限は3年になり、さらに75歳以上は認知症検査もあるとのこと。あの女性にもすんなり交付されるのか、あるいは内申書のようなデータが免許センターに送られるのか等々気になりますね(本音を言えば、潔く返納してもらいたいものです)。

緊張の連続でクタクタになって帰宅した自分へのごほうびは大好物のグラニュー糖をたっぷりまぶしたイーストドーナツとチーズケーキにカフェモカ。夕食には千切りキャベツをたっぷり挟んだ分厚いカツサンドとシャンパン。好きな食事で一日を締める、この充実感がたまりません。胃もないのに困ったジジイです。

時が経つのは本当に早く感じる今日このごろです。今年のクリスマスはどう過ごそうか? サンクスギビングデイが過ぎてあっという間に12月、シュトーレンを食べながら、あれこれ思案。 今から楽しみです。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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