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コラム 三寒四温

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人知の為せる業

桜の開花には「600℃」が必要? 

今朝の天気予報で知ったのですが、これは2月1日から毎日の気温を積算した合計が600℃に達する頃に桜が開花するという法則だそうです。世の中にはさまざまな事を考えている人がいるのですね。いわゆるイノベーターとは、こうした斬新な視点で思考し世の中を改革していく人の事を言うのでしょう。

靖国神社の標本木に一輪の桜が咲いたというTVニュースを見て、思わずリビングの窓から様子を伺います。さらに遠景を望めば白い冠雪が輝く富士山が威風堂々とそびえていますが、左斜面には少し地肌をのぞかせています。そういえば昨日の東京の気温は21℃。コートとマフラーなしで出かけられる春の陽気がゆっくりと訪れています。
 
“コロナ”と“株価急落”を同じコメンテーターが各局掛け持ちで解説し続けるTVを消してリハビリ散歩へ。今日は大通りから1本奥に入って普段は歩かない裏道にでかけます。いつもと違う風景の中ですが、いつもの道のりと同じように木々が芽吹いています。桜のつぼみもピンク色に染まってプクプクとふくらみ、“600℃” を待っているかのよう。春めいた自然の表情に心なしか足取り軽く歩を進めると、小さな教会がありました。礼拝を告知するガラスケースの中には「神は愛です」というメッセージ。新型コロナウイルスの一日も早い収束を祈って散歩を続けます。

引き続き初めての道を進むと、垣根に咲く小さな白い花から良い香りが漂ってきます。そしてパンが焼けるおいしそうな匂い。今では珍しい、昔ながらのパン屋さんを発見。3坪ほどの小さな店の商品ケースで気になる一品、小ぶりのドックパンを縦割りしてコールスローがはさんであるものを買って、知らない通りを食べ歩きです。そういえば、パンはショーケースの中から人の良さそうな店員さんが紙袋に入れて手渡ししてくれました。コロナ対策でみても、この昔ながらの対面販売スタイルは理想的ですね。

翌日、所用で日本橋へ。ベーカリーとデパ地下の食品売場をのぞくと、店舗ごとのコロナ対策が見られます。トングでトレーにのせるセルフ販売も、1つひとつが紙袋で包装されて中身が少し見える程度に並べてあります。また、とあるベーカリーでは同じセルフなのですが棚ごとに透明のビニールシートが天井付近から垂らされており、客は暖簾をかわすように手でよけてから中のパンをトングで取り出します。これって、大丈夫なのかな? また某リテイルの売場では普段と変わらぬ販売方法で特にコロナ対策はされていません。人気のパンは焼き立て販売に行列ができ、しかもむき出し陳列です。これを問題提起したところで、大手製パンの袋入りパンについても「客が一度手にしたものを棚に戻したら同じ事」という理屈で言えば、今さら神経質に考えても仕方ないのかもしれません。むき出し陳列の商品をカゴに入れていくという意味では果物や野菜すべて “然り” です。

何が、どのような方策が正解なのかは分かりませんが、お客様の立場になって考えてみよ、という「教え」であり、店側は「学び」の好機と捉えるべきでしょう。

春が来れば夏が訪れるように、コロナも去る時が来る。そこにはたゆまぬ努力の果てに生み出された “人知の為せる業 ” があると信じたいものです。

ヴィーガン

健康上の理由や気候変動、生態系や倫理観など様々な理由からヴィーガンに関心を寄せる人がいます。とはいえ世界的にもまだ少数派で、ヴィーガン専門の食材を販売する店舗やレストランなども少なく、日本での認知もまだまだです。

ヴィーガンの割合は国内外を問わず発展途上で、2014年の調べですが、戒律の厳しいユダヤ教徒が多いイスラエルの10%が最も多く、以下スウェーデン4%、アメリカ、イギリス、ドイツといった先進国でも約1%で、日本では1%以下というのが実情であります。

しかし近年、ヴィーガン・ベジタリアン市場で飛躍的拡大の見通しが立ちつつあるようです。というのも「ノンミート食品」、いわゆる肉代替フードの認知度が急上昇しているからです。急進的なヴィーガンだけでなく自身や家族の健康を気遣い、肉食を減らしたいというライトな消費者に向けて市場に参入する企業が増加しています。

ある調査によると、イギリスでは32%が肉の消費を減らす事によって健康が改善されたとのデータが発表されました。2019年度の統計ではイギリス産食料品のうち23%がヴィーガンであるとの報告もあります。そして植物性のミルクやチーズ、肉代替品が急成長を遂げているのも事実です。やや極端な意見かもしれませんが、「動物愛護」の精神にも相通じるものがあると私は思います。

プラントベースド(植物由来)フードは栄養価が高くてヘルシー、使用する食材は多彩な野菜をはじめ酵素玄米、味噌、豆腐、高野豆腐、塩麹、酒粕、海苔、餅、抹茶など、新しく創造的な方法で生み出される純国産ヴィーガン食も夢ではありません。パンも麺もメニューに多様性を持たせ、健全・健康な食生活を取り入れる時代はもう目の前に来ています。食事パン、調理パン、中食におけるあらゆるヴィーガン食は現代の日常をブラッシュアップして、健全な食生活へと導くのです。決してヴィーガン後進国と言われないよう、努力を惜しまずに取り組んでみませんか。イノベーションの欠如が続くと、いつか足元をすくわれるかもしれません。

試練

孫娘が親友と2人で3月4日から4泊の予定で台湾へ高校卒業旅行に行くというので、安心な全日空のチケットと日系の台北オークラホテルを手配してあげたのが今年1月初旬の事でした。しかし予約を入れた翌日あたりから中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス関連のニュースが目立つようになり、今では5大陸にまたがる世界規模で流行の兆候をみせ、連日TVやネットで感染者の発見や対応の進捗を伝えるニュースが伝えられています。という訳で、親と孫が協議を重ねた結果、2月27日にキャンセルを決定したのですが、正しい判断だったようです。

SARSや鶏インフル並みの異常な感染力を前に政府関係者や医療機関等で指揮系統が乱れ、デマも流れるといったパンデミックを目前に人々は戦々恐々としています。プロ野球のオープン戦や女子ゴルフ、大相撲にサッカー、コンサートなど大勢の人が集まるイベントは中止あるいは無観客試合といった苦渋の発表が続いています。ついには7月に開催される2020年東京オリ・パラの1年間延期についてIOCが言及、未曾有の事態に世界経済も急激に冷え込んでいる状況です。米国株式のダウは1日にして1,000ドル超えのマイナスとなり、翌日の日経平均も一時千円超の安値を付けるなど、世界経済を震撼させたリーマンショック以来のインパクトが今後の不安を煽っています。

私は2月の12日から10日間程インドネシアのデンパサールとジャカルタへ出かけていたのですが、ドラッグストアのマスク売場には棚一杯、整然と商品が並んでいました。でも誰一人として買う客がいません。というより、街中でマスク姿の人を見かけません。
※インドネシアは3月7日に最初の感染者が発表されるまで、感染者ゼロを維持していました
一方、日本では深刻なマスク不足との情報を知っていたので、5枚入のマスクを約50袋、少々の罪悪感とともにショッピングカートに入れました。翌日にも同じくらいの量を買い込む私。さすがに周りの客やレジを打つ女性店員の視線が気になりますが、特に咎めるような雰囲気は感じられませんでした。
帰国してからは毎日が驚愕でした。どこに行ってもマスクを着用している人、人、人。おそらく90%超えのマスク着用率という異様な状況にあって、マスクのお土産は喜ばれました。

新型コロナウイルスの世界的な大流行によって食料品の販売方法が変化しつつあります。むき出しの果物や野菜を客が手にとって品定めできる陳列方法、これを続けてよいものでしょうか。リテイルベーカリーも無包装での陳列が珍しくありません。客が好みのパンをトングで取り、トレイに載せてレジに向かうやりとりが、いま果たして安全・安心といえるでしょうか。代金の授受方法も含めて問題は山積していますが、早急にこれまで当たり前だった慣習を見直す必要に迫られています。

人間には様々な思いもよらぬ試練が与えられます。しかし、デマに踊らされたり思考停止に陥らぬよう、的確な判断力と行動力を以って立ち向かおうではありませんか。乗り越えられない試練など、神様はお与えになりませんから。

ノンミート

雲ひとつない青く広がる空、桜が咲いてしまうのではないかと感じさせるような暖かい祝日の昼過ぎ。家内と散歩がてら、新宿の伊勢丹へと出かけました。

家を出てすぐの新大久保界隈は相変わらずの賑わいでごった返しています。多くの人が新型コロナウイルスやインフルエンザを気にしてマスク姿で行き交う様は異様ですが、もはやマスクをしていない私の方がよっぽど異様な人と見られているのかもしれません。

新宿伊勢丹にはさまざまなレストランが出店しています。いつもなら私達夫婦の行きつけである地下2階の有機野菜専門レストランの「畑カフェ」に足を運ぶのですが、今日のランチは7階の「マクロビカフェ」というヴィーガン料理専門店を選びました。意外と行列待ちの客が少ない、隠れ家的なお店です。というのも、まだまだヴィーガンは日本人に認知されていないのが実状なのでしょう。しかし、ノンミートのハンバーグやトンカツがじわじわと広がりを見せているようです。

今日のランチメニューで私が注文したのは大豆ハンバーグがメインで、もちろん野菜の付け合せもたっぷり、そして有機十五穀米のご飯が添えられたヴィーガンプレートです。豪華で華やか、彩りも美しい季節感あふれる料理が運ばれてくると、ワクワクしてしまいます。

人間誰しも季節を感じたいという願いがあるのではないでしょうか。私も四季折々、自然の豊かな恵みを満喫したく、このワンプレートを選んだ訳です。まずは上品なサイズの大豆ハンバーグをいただきましょう。ところで、実はこのプレートをオーダーしたのには理由があるんです。

先日、伊藤ハム米久ホールディングスの小川広道会長と会食させていただいた時に、

「菅田さん、弊社ではノンミート製品が好調なんですよ!」

と話されていたのが頭の隅に残っていたのでしょう。ですからメニューを一瞥するや迷わず大豆ハンバーグのプレートを注文したのです。

さて、お味は……実においしい! この大豆ハンバーグ、サンドイッチやランチパックやお弁当のおかずの惣菜など何でもいけますね。ノンミートだから物足りないなんてことは一切感じさせない、とても良い味です。

今日、私達夫婦は心落ち着く時間を共有できました。今年で73歳、 “人生100年” といわれる時代を自分が好きな事だけして生きてゆく、そんな贅沢! 好きな仕事を続けつつ、新しい人やモノとの出会いをワクワクしながら楽しむ。

アクセルとブレーキを巧みに使い分けて、自分の時間を満喫しよう。

そんな風に改めて思い至った、良い休日でした。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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