試練
孫娘が親友と2人で3月4日から4泊の予定で台湾へ高校卒業旅行に行くというので、安心な全日空のチケットと日系の台北オークラホテルを手配してあげたのが今年1月初旬の事でした。しかし予約を入れた翌日あたりから中国・武漢市で発生した新型コロナウイルス関連のニュースが目立つようになり、今では5大陸にまたがる世界規模で流行の兆候をみせ、連日TVやネットで感染者の発見や対応の進捗を伝えるニュースが伝えられています。という訳で、親と孫が協議を重ねた結果、2月27日にキャンセルを決定したのですが、正しい判断だったようです。
SARSや鶏インフル並みの異常な感染力を前に政府関係者や医療機関等で指揮系統が乱れ、デマも流れるといったパンデミックを目前に人々は戦々恐々としています。プロ野球のオープン戦や女子ゴルフ、大相撲にサッカー、コンサートなど大勢の人が集まるイベントは中止あるいは無観客試合といった苦渋の発表が続いています。ついには7月に開催される2020年東京オリ・パラの1年間延期についてIOCが言及、未曾有の事態に世界経済も急激に冷え込んでいる状況です。米国株式のダウは1日にして1,000ドル超えのマイナスとなり、翌日の日経平均も一時千円超の安値を付けるなど、世界経済を震撼させたリーマンショック以来のインパクトが今後の不安を煽っています。
私は2月の12日から10日間程インドネシアのデンパサールとジャカルタへ出かけていたのですが、ドラッグストアのマスク売場には棚一杯、整然と商品が並んでいました。でも誰一人として買う客がいません。というより、街中でマスク姿の人を見かけません。
※インドネシアは3月7日に最初の感染者が発表されるまで、感染者ゼロを維持していました。
一方、日本では深刻なマスク不足との情報を知っていたので、5枚入のマスクを約50袋、少々の罪悪感とともにショッピングカートに入れました。翌日にも同じくらいの量を買い込む私。さすがに周りの客やレジを打つ女性店員の視線が気になりますが、特に咎めるような雰囲気は感じられませんでした。
帰国してからは毎日が驚愕でした。どこに行ってもマスクを着用している人、人、人。おそらく90%超えのマスク着用率という異様な状況にあって、マスクのお土産は喜ばれました。
新型コロナウイルスの世界的な大流行によって食料品の販売方法が変化しつつあります。むき出しの果物や野菜を客が手にとって品定めできる陳列方法、これを続けてよいものでしょうか。リテイルベーカリーも無包装での陳列が珍しくありません。客が好みのパンをトングで取り、トレイに載せてレジに向かうやりとりが、いま果たして安全・安心といえるでしょうか。代金の授受方法も含めて問題は山積していますが、早急にこれまで当たり前だった慣習を見直す必要に迫られています。
人間には様々な思いもよらぬ試練が与えられます。しかし、デマに踊らされたり思考停止に陥らぬよう、的確な判断力と行動力を以って立ち向かおうではありませんか。乗り越えられない試練など、神様はお与えになりませんから。
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