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コラム 三寒四温

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覚悟をもった対応

新型コロナウイルスのニュースで一日が始まり、終わる。ここ数日はニュース番組をザッピングしながらボーッと過ごす日々が続いています。

この4年間で全身麻酔による大手術を5回受け、うち2回は退院直前で感染症を患い、いずれも隔離された個室病棟で長期の入院生活を体験している。そんな我が身ゆえ、十分に注意を払った生活習慣を徹底せねばと肝に銘じて注意を怠りません。そして巷で相変わらず繰り返されるマスクやトイレットペーパー、長期保存のきく食料品等を大量購入するヒステリックな群集心理は完全無視。とはいえ事態が長引くことでコロナ疲れ、果てはコロナ慣れといった油断に陥らぬよう自分に言い聞かせています。

先月24日のニュースで「人口13億人を抱えるインド政府、全土封鎖を宣言」との一報。感染者の急激な増加という政府発表を受けて様々なデマが飛び交い、常識ではありえないような事件・事故がインド各地で起こった事で封鎖決定に至ったとのことです。これは宗教上の慣習から誤った治療法等がインド全土に拡散し混乱を招き、歯止めが効かなかった事が挙げられていますが、日本を含め全世界でもネットやSNSを通じて根拠のないデマや不安を煽る人、そんな情報に右往左往している人が少なくありません。こんなパニック状態はどのようにして止める事ができるのでしょうか? 現段階ではオーバーシュート(爆発的患者急増)を起こしていない事がせめてもの救いだと思います。

小池東京都知事が23日の記者会見で「首都封鎖も視野にある」と発言、そして2日後の25日夜に緊急記者会見を開くという発表に、「すわ、いよいよ首都封鎖か!」と固唾を飲んで会見に耳目を傾けました。内容は「不要不急の外出は避けるように」との自粛要請でホッと胸をなで下ろしたものの、いつ首都封鎖が発令されるかも知れぬ恐怖には覚悟をもって対応しなければならないでしょう。コロナ対策ではやたらと多用されるカタカナ用語の中でもロックダウンだけは回避したいものです。会社へ向かう車中から目にする新大久保や原宿、渋谷の賑わいは相変わらずで、特に若年層からは危機感がみられません。皆が一丸となって物騒なカタカナ用語がニュースで使われなくなる事を祈っています。新型コロナウイルスには万全を尽くして一人ひとりが取り組み、注意を怠らぬ事が肝要です(コロナ慣れなど、もってのほかですね!)。

東京オリパラの延期が決定し、老若男女多くの国民に愛されたコメディアンの志村けんさんがお亡くなりになりました。楽観できる状況ではありませんが、犠牲になられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、一日も早い収束を願ってやみません。

山椒は小粒でもピリリと辛い

先日刊行された弊紙『日本パン・菓子新聞』3月15日号の巻末付録、昭和23年8月16日号(第42号)復刻版に掲載されている、とある記事の見出しに興味を惹かれて読み進めると、当時のパン屋さんの消費者に対する真摯な姿勢が伝わってきます。現代にも通じる店主の思いに心を打たれました。その記事とは……。

消費者にうける藤の木パン
山椒は小粒でもキリリと辛いと云ふが、此の店は小粒でも素敵にウマイと云ふところから客の口は正直で、近所の消費者は勿論、委託加工には中野本町あたりから乗もので來る人もあると云ふ都電杉並車庫前の藤の木パン。
(中略)
よく賣れる理由を尋ねると「私の處では家族全部が從業員でありパンの理解者であり消費者と同じパンの愛好者、随つて例え工場は小さくとも客の愛好する氣持で作り上げる氣持がパンの製品にも表れて評判を戴いてゐるものと思ひます。今後我れゝ委託業者の生きる途は單にコッペーや食パンのみでなく藝術的な菓子パンを作り、時代に適應した製品を消費者におくることが必要ではありますまいか」と語つた。(以上紙面ママ)

これは71年前、東京・杉並区の「藤の木パン」の第1号店を立ち上げた立川良一氏の活躍を伝える、私の父によるインタビュー記事です。立川氏のパンに対する熱い思いは現代の日本のベーカリーに受け継がれているようです。芸術的で栄養価の高いパンは世界大会での日本選手の躍進が示すとおり、時代に適応した製品が関連各社の協力のもと製パン事業各社の開発により確実に進化を経て発表されています。「素敵にウマイ」パンの種類も多彩にラインアップされ、パン食の文化は着実に消費者の嗜好の選択肢として定着しています。

先人達の偉業、思いは時を超えて胸を打つものがありますね。ヴィーガンやプラントベースといった時勢をふまえた様々な創意工夫を重ねながらユーザーの愛好する気持ちに寄り添って新製品をつくり上げる、そんな姿勢が “山椒は小粒でもピリリと辛い” 現代のベーカリーとして愛される条件ではないでしょうか。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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