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コラム 三寒四温

弊社の週刊紙「速報・製パン情報」から、好評の三寒四温をご紹介。
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アマリリス

9年前に知人からいただいたアマリリスの花が3つ、大きく花開きました。蕾があと2つ、ぷっくりとしていてまもなく5つの大輪が咲き、巣ごもりの我が家を賑やかに彩ってくれる事でしょう。家内が我が子のように毎年怠らずこまめに手入れをしてくれたお陰か、花を付けない年もありましたが、今年のアマリリスはひときわ凛として咲き誇り、未曾有の事態に勇気を与えてくれます。
「そうだ、凛としなければ!」
だからこそ「今、この時に何をすべきか」を、花を愛でながら思う事もしばし。しかし結論は見い出せません。

天気の良い日は自宅近辺のなるべく人が少ない通りを選んでの散策を1時間ほど。雑草の中に咲く花を愛でながら体力維持を図るのが日課となって早2年あまり。今まで気にもしなかった野花の名を家内に教わりながら、時にはしゃがみこんでスマホで撮影します。とある一軒家の垣根の下にヤマブキが群生していました。

いやー、美しいですね! グーグルで検索してみると、「山吹草、全緑梅。花のかたち、四つ花びら。いろ、しごく黄。夜しぼみ昼ひらく。葉、野蜀葵に似たり。三月に花咲く」と絵本野山草の解説にありました。「しごく黄」。鋭い観察力と色の表現力に感服します。

我が家に戻り、アマリリスを “観察  してみました。大きさは親指と小指を広げたくらい、白く美しい花びらは凛としている、大輪の花の中央は薄紅色が規則正しい放射状、キリンの首のように長く丸い茎。そして、なんと言ってもその存在感が素晴らしい。

今、何をすべきかの答えが少しだけ見えた感がありました。すべては天から与えられた問答のひとつ。凛と身を正して今の社会情勢をより深く観察すれば、“すべき事” が見えてくるかもしれません。

ありきたりの言葉ですが、「ピンチはチャンス」。そして、その先は?

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ギャラはおいくら?

換気のために開けていたガラス戸からタンポポの綿毛がひとつ舞い込んできました。自宅14階のベランダから道路を見やれば半袖・マスク姿の若いカップルが手をつないで赤白のツツジが咲き乱れる遊歩道を散歩しています。

さんざめく陽射しが降り注ぎ、何とも清々しいステイウイーク明けの5月6日。TVをつけていないと平和な日常そのものであります。

ステイウイークの始めに素敵なニュースがありました。「コロナ」という名の少年がいじめられているのを知った俳優のトム・ハンクスさんが、自身の愛用するコロナ社製のタイプライターで手紙を打ち、そのタイプライターと一緒にプレゼントし励ましたという、心あたたまるエピソードです。

このような「コロナ」で良い話は嬉しいですね。医療従事者に感謝の意を表すブルーライトや拍手(フライデーオペレーション)といったアクションに、絆の深まりを感じます。厳しい状況が続く中での明るいニュースや出来事には笑顔がこぼれます。

ステイホーム中の楽しみのひとつはTV各局がしのぎを削る春の新ドラマなのですが、軒並み延期となり残念ですね。番組表を見ると往年の人気ドラマを各局で再放送して穴を埋めています。そしてニュースやワイドショーはといえば、変わらぬコメンテーターとMCが政府批判を繰り返しています。新型コロナウイルスの収束に向けて政府は生活習慣上の留意点を発表しましたが、もはや反面教師じみたバラエティー番組に成り果てたニュースショーのMCとコメンテーターの言動は一方的な批判に終始し、視聴者を洗脳しにかかっているかのような傍若無人ぶり。

「営業自粛で売上が落ちて家賃が払えない人達に政府はもっと手厚い補償をすべき!」などと声高にアピールし、「我々国民にはスーパーの買い物にはひとりで行けと言いながら、SP二人を伴って視察した西村康稔経済再生担当大臣は何なんだ!」と訳の分からないコメントを重ねる出演者様のギャラは、おいくらなのでしょうか? 報道とは、私感を主張することではなく、事実をフェアに伝えることではないでしょうか。

私達が今できる事は政府発表の生活様式をなるべく守り、一日も早く普段通りの生活に戻るための地道な心がけだと思います。

大使夫人のおもてなし

14年前、ベルギー王国のジャン・フランソワ・ブランデルス駐日特命全権大使を当時の農林水産大臣であった故中川昭一先生に紹介され、図々しくも「大使夫人はご自身でパンを焼かれますか」とお尋ねしたところ、大使よりジョゼフィーヌ夫人をご紹介いただきました。その内容を大使館訪問シリーズ「大使夫人のおもてなし」の第一回として、「日本パン・菓子新聞」2006年5月15日号に掲載いたしました。

パンと言っても、その味や形、つくり方は国によって全く異なっていたり、どこか「あの国のパンと似ている!」というものもあります。また、パンと一緒に食べる料理もさまざまです。

世界ではどんなパンが、どんな料理とともに、どんな風に食べられているのだろう。その国には、どんな食生活、習慣、文化があるのだろう。そんな好奇心からベルギー王国をはじめとする世界23ヵ国の大使館を訪問することになり、これまで70以上のレシピを掲載することができました。

毎回、大使夫人自ら、また公邸料理人のシェフが腕をふるい、材料やレシピもていねいに教えていただきました。そしてパンや料理をいただきながら伺う母国の話は非常に興味深く、その地に思いを馳せる楽しい機会となりました。
 
10年以上にわたり長期連載の「大使夫人のおもてなし」は多くの読者の皆様にご好評をいただき、今回一冊にまとめ、4月に出版することができました。

日本はいま、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が発出されて、不要不急の外出自粛を余儀なくされています。STAY HOME等で今までに経験したことのない非日常が続く中で、「大使夫人のおもてなし」をご参考にしていただき、楽しい笑顔溢れる食のシーンをご提案していただけたら幸いです。

一日も早い収束を願ってやみません。
踏んばれ! 日本と世界の仲間たち。

有名パン職人?

今春、大学生となった私の孫娘が、某大手チェーンベーカリーでアルバイトする事になりました。研修を経て2月中旬よりレジに立つとのことで、シフトを教えてもらい1ヵ月ほど経った先週、ジジ馬鹿ぶりを発揮してサプライズでパンを買いに行ったのですが、新型コロナウイルスによる営業時間短縮で、この日は仕事ぶりを見ることが叶いませんでした。

2週間ほど前、とあるTV番組でポンパドウルの社員イチオシのパン10種を、パンの専門家や著名なパン職人と紹介された7名の審査員がジャッジする、という企画を放映していました。審査基準はパンの味・価格・形状など。試食の後に良いか悪いか○×の札を挙げて審査するのですが、10品目のうち私の好きな「アップルパイ」「塩パンあんバター」が失格となりました。失格となったパンについて「著名なパン職人」と司会者がコメントしたのですが、彼らの言葉に思わず笑ってしまいました。

例えば塩パンあんバターについて女性審査員は「スライスした塩パンに対して餡の量が多過ぎる、その上にかけたバターは両端まで行き届いていない。端から食べ始めると餡だけしか口に入らなかったので、バターも餡と同様に端までのっていないのが失格の理由」。

記憶が曖昧なのはお許しいただくとして、大意ではこのようなコメントを残していました。最近はこの手のエセコメンテーターがやたら露出する番組企画の多さにうんざりします。

製パン職人は消費者の嗜好の変遷を先取りして日々研鑽に励んでいます。
価格に見合った味はもちろん、安心・安全も確保して提供するために万全を尽くしているのです。にもかかわらず、バラエティー番組は視聴率稼ぎのために “著名なパンの専門家” を仕立て上げ、要領を得ない言動で視聴者を惑わせるのです。いつしか笑いを通り越して呆れてしまいました。この〝著名な〟7人の審査員への違和感を、多くの製パン業に携わる人々も同様に抱いているのではないでしょうか。

という訳で翌日、新宿への所要があったのでさっそくポンパドウルへ。お買い上げの品は、アップルパイと塩あんバター、そして私が最も好物であるカレーパン! ポンパドウルのカレーパンは粒々のパン粉がカリッと揚がってカリッ、ザクッと食感が良く、カレーフィリングもたっぷりで空洞がありません。

帰宅後、家内と一緒に “失格” の品をいただきました。家内曰く、「バターが端まで届いていないとダメという審査基準はおかしい。十分おいしいわ」とのことでした。

新型コロナウイルス感染者の爆発的急増を阻止するべく政府が緊急事態宣言を発令した今、ベーカリーが果たす役割は全国民から期待されています。栄養価が高く、安心・安全でおいしくリーズナブルな、バラエティーに富んだパンの数々でSTAY HOMEを守る人々を笑顔にしていただきたいと思います。

失格の判定を出した “先生” 方は、ご自分のコメントに恥じぬよう消費者に失笑されないパンをつくり、この難局を乗り越えるためにご協力くださいませ。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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