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コラム 三寒四温

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ホワイト・ライ

日常の生活様式が変わる中、日曜礼拝の様式も変化しています。都から発出された自粛要請により、日曜礼拝はネット配信となりました。事前に撮影された礼拝風景がプロジェクターでスクリーンに映し出され、牧師の説教と賛美歌・聖歌がパイプオルガンで奏でられ、歌詩がテロップで流れます。教会員のいない、ガランとした日曜礼拝は5月末まで、2ヵ月にも及びました。

6月7日から都の外出自粛も解除され、教会員が参加しての日曜礼拝が再開しました。しかし、その様式は一変しました。ソーシャルディスタンスを守るために椅子は間引きされて以前の5分の1に、牧師はマスク姿での説教。賛美歌は配信時と同様プロジェクターで歌詩が映し出されるものの、合唱ではなく美声の教会員が一人で歌います。参加者は詩を目で追い、“心で歌う” のです。

以前の礼拝では大きなパイプオルガンの重厚な演奏と共に皆で歌っていたのが嘘のような光景の中、いつもは聴き慣れない音が耳に入ります。

パタッ、トン、パタッ。

パイプオルガンを演奏する湊恵子さんがフットペダルを踏む音です。湊さんは芸大のオルガン科を卒業後、ドイツへの国費留学を経て帰国後は国内外での演奏会をこなし、毎週日曜日は池の上キリスト教会の専任オルガニストを務められています。そして一人娘のお嬢さんも同じく芸大オルガン科にご進学されてドイツ留学中ですが、現状では訪独も叶わず。けれど礼拝を通じて心は繋がっている事でしょう。普段は気にもしなかったパイプオルガンのペダル音に耳をすますと、リズミカルで美しい音色です。

「嘘のような光景」と冒頭に書きましたが、嘘には二通りあるそうです。
それは、真っ赤な嘘ホワイト・ライ。嘘で固めた人生を歩む人は、一度ついた嘘から一生逃げるために偽りを重ねるのでしょう。一方、ホワイト・ライは相手を思いやり、幸せを願う罪のない嘘。

今、新型コロナウイルスに関するデマが世界中のSNS上で横行し、感染者への不当なヘイトスピーチにつながる事態もみられます。人を傷つける真っ赤な嘘でなく、ウイットやユーモアに富んだホワイト・ライで笑顔になれる日々を信じて、一人ひとりができる事を守り、祈る気持ちを大切にしたいものです。



宇宙の中の並行世界

“新しい生活様式” といわれていますが、なかなかなじめない私です。外出自粛で家に籠もって同じ事ばかり繰り返すうち、うるさいTVは消して14階からの新宿ビル群をボーッと眺めている時間が自然に増えてきます。

眼下には西武新宿線と湘南ライナー、そして山手線の内外回りがひっきりなしに往来し、夕刻には大きな飛行機が眼前を羽田方面に騒音を伴って飛び去っていく雄姿が続けて現われたり。

そんな気だるい日常が続いたある時、普段なら考えもしないであろう自分の内面を直視しつつ躊躇する日が多いのに気付かされました。これまでの人生の中での善行はあまり記憶に残っていませんが、悪行は一つひとつ鮮明に浮かび上がってくるのです。それも数え切れないほどに。

こんな時は宇宙に関する本を読むようにしています。遠大で果てしなき宇宙の仕組みを知ろうとページをめくり続けて現実逃避している自分がいます。解けない未来や宇宙の概念に思いを馳せると、なぜか気持ちが紛れます。

いま読んでいるのはブライアン・グリーン著の「隠れていた宇宙」です。
本の帯には、
あなたと同じ人間が並行世界に実在する!?
『十分に発達した物理学はもはやSFと区別がつかない』のだろうか
とあります。この本は量子力学、超ひも理論、ランドスケープ宇宙、ホログラフィック理論等々、物理学の先端をそれぞれに切り拓いた、あるいは今まさに切り拓きつつある理論をそれぞれ突き詰めていくと、不思議なほど「私たちのいる宇宙から見えないところに別の多くの宇宙がある」という結論に導かれる、空想を超越した宇宙の真実を信じさせられる一冊です。

宇宙のどこかの並行世界にいる私は、新型コロナによる外出自粛で今までの人生における悪行を思い起こして反省しているのでしょうか?

6月10日は家内の誕生日。表参道の「エラン」でお祝いしました。シャネル路面店が入ったビルの4階ワンフロアで今年1月にオープンしたフレンチレストランです。友人でもある信太(しだ)オーナーシェフの絶妙な料理とペアリングされたワインに舌鼓を打ち、かつての日常を取り戻してリフレッシュできました。

同店も4月より6月8日までの営業自粛を余儀なくされ、想定外のスタートに心配していましたが、信太シェフ以下スタッフ全員の明るい笑顔に勇気をもらいました。一致団結して次に備える経営姿勢に泣き言は一切感じられませんでした。来年はミシュランを獲得する勢いで賑わう事でしょう。素晴らしいレストランです。ぜひ、お早めの予約をおすすめします。

非日常が日常に

驚きました。昨日のTVニュースで知った、「(一社)日本水商売協議会」という存在。東京アラートを発出した小池都知事がよく口にする「夜の町」発言について、上記の団体が苦言を呈しているのですが、あるんですねー。しかも社団法人です。

国会では「コロナ禍の救済措置に組んだ補正予算1兆2,000億円のうち、事務費が20%超えの3,000億円は異常だ」、あるいは “電通問題” について野党議員が政府に詰め寄っていましたが、もっと他に議論すべき事があるはずです。いつも反対ばかりしている野党の陳腐な質問攻めは、視聴者を洗脳するつもりなのでしょうか。かつて話題となった「2番ではダメなんですか?」という名(迷)言が頭をよぎります。

先日のTVニュースを見ていたら、白人警官が黒人を死亡にいたらしめた実際の映像とともに、アメリカ各地での暴動の様子が流れていました。デモを鎮圧する警官隊から逃げ惑うデモ参加者、それらを各局の取材クルーが追っていました。そんな中で偶然流れた、他局のカメラクルーがマスク姿でカメラを肩に担ぎ、咳込みながら横切る姿が悲惨でした。果たして彼は大丈夫なのでしょうか。一国の大統領による白人至上主義と経済至上主義により、いま世界は未曾有の危機に瀕しています。

私は暇を持て余す時間の中、何事もないかのように映る大都会の夜景を見つめながら思うのです。

「新型コロナが収束しても、”あの頃” に戻れるのかなぁ」と。

非日常が日常になりつつある現在、今日は日本橋三越へ行ってきました。入口でフェイスシールドを着用した店員にアルコール消毒液の使用を促されて店内に進むと、仮設の板塀の中にはサーモグラフィで入場客の体温をチェックする店員の姿。受付嬢もフェイスシールドを着用、陳列されている全ての商品がビニールカバーで覆われています。

帰り際に寄った地下の食品売場は以前の客足が戻りつつあるようでしたが、全てのテナントに透明のビニールカーテンがかけられ、試食はもちろんご法度です。これが新しい生活様式の光景なのですね。

気になるパン売場は……活気が戻っていましたよ! 以前は「夕食にもパンを」というキャッチフレーズがありましたが、外食を控える “巣ごもり団らん” が増えたことで、パンと共に楽しむバラエティー豊かなディナータイムが浸透しつつあるようです。災い転じて福となす、の精神で行きましょう!

自宅で資料を整理していると懐かしいメモ書きが出てきました。農林水産大臣、経済産業大臣、財務大臣、内閣府特命担当大臣(金融担当)、自民党政調会長等を歴任された故・中川昭一代議士が熱心に関わってこられた「水問題」を提議する2008年開催の環境フォーラムに参加した時のメモの走り書きです。

安全な飲料を利用出来ない人々は11億人、世界人口の18%に達しています。

 人間は “水” なしでは生活どころか生きていけません。日本の降水量は年間平均1,715ミリ、世界平均810ミリの約2倍。数字上は豊かですが人口1人当たりの年間水源資源量は世界平均の年間8,559トンに対し、日本はわずか3,337トンと半分以下。この数字は何を意味するのでしょうか。現状で多くを輸入に頼っている食料を仮に国内で生産した場合、水の使用量はさらに膨大になるといった隠れた問題もあります。

東京大学の沖教授が作成した資料によると、1kgの小麦をつくるのに2,000リットル、1kgの牛肉なら20,600リットル。これらを全ての輸入品に換算すると、我が国の「仮想水総輸入量」は年間640億トン。日本の総水使用量835億トンの8割を仮想水として海外に依存する計算になります。

水は地球上すべての生物にとっての基本財産であり、また文明は森・河川・海の循環で発祥し進化しました。例えばメコン河。海抜5,200m以上のチベット高原の水源より、全長4,800kmを経て南シナ海へ注ぐ、流域面積79万5,000平方kmを有する国際河川です。流域は中国・ミャンマー・ラオス・タイ・カンボジア・ベトナムの6ヵ国にわたり、恩恵に預かる国々とって “命の河” であります。多様で豊かな漁業をもたらし、人々は川辺に沿って植物、水稲、野菜を植え、そして河川航路を利用し雨季や乾季などで変わる水位や流量に適応し暮らしています。このように水なくしては生命は維持できません。

そんな “水” が今、危ないのです。
日本国内では今のところ水不足の心配はありません。しかし世界に目を向ければ、水を巡る紛争や深刻な食糧危機、健康と尊厳の逸失など、水問題は危機的状況にあります。その渦中において、多様な水文化と知恵、そして技術を生み出してきた日本こそ、水問題における世界のリーダーを担うべきだと考えます。これは世界の共通財産でもあり、国民一人ひとりの協力あればこそ成し得るものでしょう。

中川代議士とは二期目の農水大臣任期中、ケニア農業視察に同行して当時のキバキ大統領と面会する事ができました。精力的に要人と交流し、ケニアへの水施設建設援助など重要な会談を続け、飛ぶように過ぎた5日間。実りある外交でした。

新型コロナウィルスに人類は必ず勝利します。しかし、今後も危機的事態を想定し万全な研究を続けなければなりません。生前、中川代議士が取り組んでおられた水問題をはじめ、世界の自然資源の維持について国際協力していきましょう。

食卓での祈り

危機に直面すれば、必ず前進できるのが人類です。

私達は今の状況でどう行動するかが大事ではないでしょうか。新型コロナウイルスの感染拡大により人の往来が止まり、サプライチェーンは寸断され物流が滞り、石油価格は未曾有の下落、株価も大暴落。世界経済が深刻なまでに縮小し人々の生活水準が低下するという非日常的な状況においても自粛の生活様式を遵守して、じっと収束を待ち続ける人々の楽しみは? 

そう、生きるために必要な毎日の “食” の楽しみ方でしょう。こう考える私は世界的に見れば恵まれた環境にある日本人だからでしょうか。劣悪な生活環境の中でまともな医療を受けられず、経済力もなく、日々の衣食住にすら困窮する人々にとっては、3密やソーシャルディスタンスなど異次元の世界の話で理解不能な事柄なのですが、前進することはできます。

今朝のTVニュースでは「イギリスの製薬会社が4億人分のワクチンを9月メドで完成予定、ただし大口の出資提供を受けているアメリカ企業の裁量で、3億人分はアメリカに届けられる」と報じていました。トランプ大統領も再選を控え、自国第一主義ぶりがヒートアップしているようです。世界各国のリーダー達は、一体何を考えているのでしょうか。国際社会は国際協力の必要性をしっかりと理解しなくてはなりません。中国政府の態度にも危機感を覚えます、良心ある前進を世界と協調して目指してもらいたいものです。

日本では今、大事な毎日の食シーンを新たに提案する人々の動きが活発です。そんな中、行き場を失った野菜や牛乳などあらゆる食品はNPOや生産者の働きかけにより廃棄処分することなく有効活用する流れになっています。

ネット通販やドライブスルー販売などで食品ロスを減らし、家庭でムダなく消費されています。素晴らしい取り組みですね。我が製パン産業に従事する企業各社の取り組みも立派であります。消費者のニーズをとらえて新しい販売方式を立案実行し、安全・安心な食生活を維持してくれています。

人類共通の課題として国際協力を真っ先に唱えることが必要です。日本のおいしいパンやコメを、アフリカをはじめ学校へも行けない、医療も受けられない世界の子ども達に、お腹いっぱい食べてもらえるために私達は何をすれば良いのでしょうか。コロナ禍の世界収束に向けて、課題は山積しています。

まずは食卓で “祈る” 事が大切だと思います。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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