宇宙の中の並行世界
“新しい生活様式” といわれていますが、なかなかなじめない私です。外出自粛で家に籠もって同じ事ばかり繰り返すうち、うるさいTVは消して14階からの新宿ビル群をボーッと眺めている時間が自然に増えてきます。
眼下には西武新宿線と湘南ライナー、そして山手線の内外回りがひっきりなしに往来し、夕刻には大きな飛行機が眼前を羽田方面に騒音を伴って飛び去っていく雄姿が続けて現われたり。
そんな気だるい日常が続いたある時、普段なら考えもしないであろう自分の内面を直視しつつ躊躇する日が多いのに気付かされました。これまでの人生の中での善行はあまり記憶に残っていませんが、悪行は一つひとつ鮮明に浮かび上がってくるのです。それも数え切れないほどに。
こんな時は宇宙に関する本を読むようにしています。遠大で果てしなき宇宙の仕組みを知ろうとページをめくり続けて現実逃避している自分がいます。解けない未来や宇宙の概念に思いを馳せると、なぜか気持ちが紛れます。
いま読んでいるのはブライアン・グリーン著の「隠れていた宇宙」です。
本の帯には、
あなたと同じ人間が並行世界に実在する!?
『十分に発達した物理学はもはやSFと区別がつかない』のだろうか
とあります。この本は量子力学、超ひも理論、ランドスケープ宇宙、ホログラフィック理論等々、物理学の先端をそれぞれに切り拓いた、あるいは今まさに切り拓きつつある理論をそれぞれ突き詰めていくと、不思議なほど「私たちのいる宇宙から見えないところに別の多くの宇宙がある」という結論に導かれる、空想を超越した宇宙の真実を信じさせられる一冊です。
宇宙のどこかの並行世界にいる私は、新型コロナによる外出自粛で今までの人生における悪行を思い起こして反省しているのでしょうか?
6月10日は家内の誕生日。表参道の「エラン」でお祝いしました。シャネル路面店が入ったビルの4階ワンフロアで今年1月にオープンしたフレンチレストランです。友人でもある信太(しだ)オーナーシェフの絶妙な料理とペアリングされたワインに舌鼓を打ち、かつての日常を取り戻してリフレッシュできました。
同店も4月より6月8日までの営業自粛を余儀なくされ、想定外のスタートに心配していましたが、信太シェフ以下スタッフ全員の明るい笑顔に勇気をもらいました。一致団結して次に備える経営姿勢に泣き言は一切感じられませんでした。来年はミシュランを獲得する勢いで賑わう事でしょう。素晴らしいレストランです。ぜひ、お早めの予約をおすすめします。
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