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コラム 三寒四温

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大相撲

自由の国アメリカで、自由すぎるとんでもない事件が起こりました。

「コロナパーティー」
若者達が主催するパーティーに新型コロナウイルスの陽性者を招待して、参加者から誰が一番早く感染するか、という趣向というから呆れます。密な接触で優勝者には賞金が出たとの事です。たとえ「自由」が尊重されている国でも、これはドラッグパーティーと同類の理性なき反社会的な破壊活動であり、秩序を根本から否定するギャングじみた行動です。ウイルスの収束に向けて世界平和を願う人々の不安と命を奪う不逞の輩と断言してはばかりません!

そんなニュースが世界を駆け巡ったのち、日本でも行政の責任者から「コロナパーティー」を誘発させるかのような発言があったことは驚きです。それは新宿区長による「新宿区内で新型コロナウイルスの陽性反応が出た区民に一律10万円を支給します」という些か安易な提案。こんなバラマキ政策は若者達の理性を奪いかねません。ワイドショーでの「若者が陽性者となっても重篤な症状には至らない」という識者といわれる先生方のお言葉、そして「一度陽性反応が出れば抗体が体内にできて再発が予防される可能性が高い」というコメントも若者達の背中を押すことでしょう。ホストクラブの “超密空間” で行われるシャンパンタワーは一部の社会経済を潤すかもしれませんが、心配でなりません。

連日発表される陽性者のうち感染不明者が半数を占めている実状は、青森県警の巡査がデリバリーヘルス利用で感染するも自己申告せず発覚後もPCR検査を受けていなかった事案など、ほとんどが性風俗店が感染源であるがゆえに検査拒否が多い事も関係しているかもしれません。

経済復活を目指すGO TOキャンペーンは紆余曲折の果てに「東京発着を除外」というドタバタな政府決定が発出されました。まるで諸悪の根源のような扱いですが、多くの東京都民は外出自粛、ソーシャルディスタンスなど新しい生活様式を守り収束を待っています。そうした一人ひとりの遵守精神を前提に、Jリーグ、プロ野球、大相撲それぞれ三密を避ける対策を尽くしつつ、徐々に観客数を戻す方向で関係者は万全を期しています。

私は23日に大相撲を観に行きましたが、取れたチケットは4人用の升席を1人で、家内も同様に隣の1マスを1人占めという何とも贅沢な割り振りでした。来年の夏場所には「これも良い思い出だね」と言えるように一日も早い収束を願ってやみません。

レジ袋

コロナ禍でソーシャルディスタンス等の新たな生活様式を余儀なくされる中、7月1日よりレジ袋の有料化が全国で始まりました。無造作に捨てられたレジ袋は海洋生物にとって害悪であり、地球温暖化の遠因であるプラスチック製品削減推進といった目的だそうですが、果たして有料化で環境破壊は改善されるのでしょうか? 「買物時に持参するエコバッグは不衛生である」とか視聴率稼ぎのワイドショーでは、にわかコメンテーター達が喧々諤々やっていますが、彼らに支払われる高額なギャラは広告宣伝費として物価に上乗せされています。せめて販促のためのCMを削減して環境対策にあてていただきたいと思います。

ある調査によると、コンビニでやりとりされる「レジ袋は有料ですが必要ですか」「いりません」または「1枚お願いします」といった会話に平均6秒を要するそうです。しかもレジを待つ次のお客さんはそれぞれソーシャルディスタンスで長い行列ができてしまう。ここでも今話題の〇〇警察と今年の流行語大賞にノミネートされるかもしれない “レジポリス” が出没するらしいです。待ち時間にイライラした客が「早くしろ!」と怒鳴ったり、しまいには商品の入った買い物カゴをその場に放置して店を出てしまう等々。皆、少しずつ理性の歯車がすり減ってきて空回りしている気がします。コロナ禍による非日常で新しい生活様式を強いられる中での有料化という法改正は少々タイミングが悪かったかもしれません。

私は思うのです。レジ袋そのものを完全に廃止してしまうというのはいかがでしょうか。有料の紙製手提げ袋なら無責任な廃棄が減って環境にも好影響でしょう。もちろんエコバッグも推奨します。マスク不足を経て今ではカラフルで個性あふれるユニークなマスクが話題です。エコバッグや有料の紙袋も、お洒落に進化するものと期待します。

バイオマス素材を使ったレジ袋は環境に良い、水に溶けない従来のレジ袋とは一線を画していると主張し無料を続けるフードチェーン店もありますが、海洋廃棄から溶解するのに300~500年を要する事くらいご存知だと思うのですが。

横浜元町では、かつてポンパドウルの赤い紙袋やバゲットの入った紙袋を持って歩くのがお洒落とされていました。リカちゃん人形も赤い紙製のバゲットバッグを持っているタイプが人気で、私も2つコレクションしています。今でもポンパドウルの赤いショッピングバッグを持った人を街や電車で見かけると「どこの店舗で買ったのかな?」と少し笑顔になって考えてしまうほどです。

お洒落心あふれる紙製の買い物袋が復権し、やがて「レジ袋」が死語として広辞苑に掲載される日が来る頃まで、健康に留意して頑張りたいものです。

親から子へ、世代から世代へと残したいものですね。美しい地球を。

第一聖日

昨年の12月21日、72歳となる私の誕生日に日本相撲協会立浪部屋の親方はじめ関取衆や若者達が、毎年恒例となっているご近所感謝餅つき大会に合わせて、特別に鏡餅をついていただきました。正月の7日間を床の間に飾ったのち、14階の南側ベランダにて寒風日干し。手製の「揚げ餅」を約1ヵ月遅れのクリスマス休暇でバリ島へ持参するために1月いっぱい干しに干して細かく砕いて揚げました。

出発日の2月10日、除湿処理済みの空の海苔缶に詰めて準備万端。クタビーチ沿いのホテルのプールサイド、デッキチェアでスイカジュースを飲みながら醤油味の手製揚げ餅を食べる。私にとって究極の贅沢を楽しむ10日間でした。

この時期、まだ新型コロナウイルスに対する国や都からの指標指示は無く、すんなりと出国できたのです。しかし滞在中に刻一刻と状況が変わり、帰国前に日本へ連絡を入れると「マスクもトイレットペーパー、米も売り切れ」という家内の話。

さっそくホテル近くのスーパーに行くと、マスクは品切れどころか棚いっぱいに並んでいます。5枚入りパックの10袋入りのボックスが日本円換算で15円だったかな? 少々気が咎めつつもおよそ
10箱、500枚を購入して帰国。家内や社員に感謝されました。自宅近辺を散策すると、なんと八百屋さんの店頭でマスクを売っていました。しかも50枚入りで5,000円! それでも「まだ安い方だわ」と家内。スーパーではトイレットペーパーや米、冷食、インスタント麺や納豆にいたるまで売り切れ。不必要な買い占めの横行はかつてのオイルショック時に経験していますが、今回はさらに度を越している気がします。

3月に入ると15日に予定されていた中曽根康弘元総理のお別れ会が延期となり、各国の駐日大使館で開催されるナショナルデーも軒並み中止、そしてついにオリパラ延期が正式発表。この頃から小池都知事が「3密」をメディアを通じて呼びかけましたね。

4~5月は外出自粛要請にテレワーク推奨、国民1人当たり10万円の特別定額給付金の支給決定、株価は連日乱高下という異常事態。そして東京アラートから始まる新しい生活様式を強いられ日々。“尻に苔が生えそうだ” と先輩と電話で愚痴をこぼし合いました。

リビングから窓外を見やると、低空で羽田空港へ向かう旅客機が騒音とともに通過する光景や梅雨明けの美しい夕陽、路地で咲き競う紫陽花。いずれも日常そのものです。以前の賑わいや平穏が戻りつつも予断を許さない状況の中、令和2年の前半が終了しました。

会社のベランダから眼前にそびえる新国立競技場からの歓声は1年おあずけですが、一日も早く非日常から以前の日常へ戻れるようにと、7月の第一聖日となる5日の日曜礼拝で祈ってきました。

密な餃子店

もう45年近く経ったかな。中央線の高円寺駅北口から徒歩5分程、純情商店街の終着となる早稲田通りの2軒手前にある1坪の餃子専門店「赤天」は今も元気に営業しています。

人の良い店主の高田さんは髪と眉がすっかり白くなり、腰が少々曲がってきました。今般のコロナ禍による自粛期間中も店を閉める事はなく、朝9時頃から小さな店内で餃子の皮を伸ばし、餡をつくり、夕方6時頃に開店。現在は「生」と「焼き」のテイクアウト販売のみで9時頃には完売してしまう人気店です。厨房と焼場を半坪ずつで仕切るようにカウンターがあって、椅子は4つのみ。そうです、きっちり4人座ると店内は完全に “密” で、当然窮屈な厨房は高田さん1人だけですでに “密”。という事で3月以降、高田さんと語らいつつ餃子をつまむのはおあずけが続いています。

餃子以外のメニューはビールだけ。高田さんの巧みな話術で初めてのお客さんともすぐに仲良くなれる、月に一度の “密” なお楽しみでしたが今は叶いません。

先週の夕方、持ち帰りの餃子20人前を電話で予約してから店に伺った時の事です。

「菅田さん、紹介したい人がいるんですよ。きっと気が合うと思うんです」

皮に餡を包み込みながら、換気対策で全開の持ち帰り用の窓越しに時折こちらを見ながら話を続けます。

「車好きな人でして。確か菅田さん、以前GTRに乗ってましたよね?」

ふむ、確かに気が合いそうだな・・・そこへ自転車を押して店に来たご婦人が「4人前お願いします」と予約無しの注文。

「すみません、少しお時間いただけますか? 20分くらいかかりますね」
「じゃあ帰りに寄るわ」
「お待ちしてます」

こんな調子で会話を遮るように訪れるお客様が5人。コロナ禍なんのそので相変わらずの繁盛ぶりですが、結局お相手は分からずじまい。

高田さんは名古屋出身で、かつてはフジパン関西のゴルフ場でキャディや雑用をしながら練習生としてプロを目指して腕を磨いておりました。しかし25歳を前に見切りを付け、おじいさんが名古屋市内で開いていた「赤天餃子店」を暖簾分けしてもらい上京。秘伝の赤味噌入りタレと皮から手作りの餃子を武器に、ここ高円寺で開店したのは45年程前のこと。開店当時から私の行きつけなんです。

持ち帰った餃子20人前は冷凍保存。ほぼ1ヵ月で消費します。私の73年の人生において、この餃子を上回る味には未だに出会っていません。自粛前、まだお店で焼き立てを食べられた時、高田さんは初めてのお客さんにタレの調合を指示していました。

「お好みの量のラー油と酢と醤油に味噌を入れて下さいね」

私はラー油の入った瓶の底に沈殿している唐辛子をたっぷり小皿に入れて酢、醤油、味噌を入れて待つのですが、

「あっ、菅田さんの真似したらダメですよ。すごく辛いですから」

私含めて男女4人の客の会話はここから始まるのでした。

「どうしてここまでこだわるの?」という私の問いに、妥協を一切せずに赤天の味を守る高田店主はきっぱりと答えます。

「こだわるのは当たり前の事ですから。こだわりが無かったら赤天は存在し ません」

次々と餡を包み込みながら、少し照れた横顔が素敵です。
この絶品なる餃子に魅入られた見ず知らずのお客さん、そして高田さんと楽しく語らいながら、一日も早くまたカウンターで食べたいと願っています!

弊社社長 菅田耕司のコラム


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