チキンライス
(前号からの続きです)
海外旅行でのご当地グルメ満喫の思い出を引き続き書こうと思っていた矢先、
「Go Toトラベルの東京発着が10月1日より解禁か」
「新型コロナウイルスのワクチン治験がいよいよ最終段階」
という2つのニュース。来春あたり海外へ行けるのではという期待がふくらみます。
さて、舞台は再び30年あまり前。シンガポールから寝台列車でクアラルンプールへ、さらに乗り継ぎでもう1泊。寝台列車はマレーシアのジャングルを走りに走り、ペナンの対岸に位置する玄関駅バターワースへ到着です。早速リュックを背負い直して下船し、タクシーに乗り込み橋を通ってペナンに渡ります。ドライバーにブランチにおすすめの店を訊くと「一緒に行こう」と常連の食堂へ案内してくれることに。
連れて行かれたのは海岸近くの古びた4階建てのカレーレストラン。1階は満席、2階、3階も満席でとうとう屋上へと階段を登るとそこは洗い場。傍らにはチープなプラスチック製のテーブルと丸椅子が置かれています。明らかに従業員の休憩スペースですが、さすがは常連客のドライバー氏、遠慮なしに座るやいなや、洗い物をしているおばさんにカレーを注文してくれました。
待つ事15分、テーブルには3つの丸皿を並べて載せた巨大なナンが登場。その長さ1メートル近くの大きさに圧倒されました。カレーはバターチキンとキーマ風をシェア。手でナンをちぎりカレーを包み込むように右手だけでいただきます。これが旨いのナンの! 我が人生史上ベストワン・カレーの味に感動を覚えたものでした。
それから30 年近くを経て家内とペナンへ立ち寄った際、その店を探すも見つけられず残念でしたが、巨大ナンは、どの店でも供されていました。ペナンはインド系移民が多く住んでいて、インドの食文化が定着しているようでカレー以外のインド料理も屋台でおいしくいただけます。
夕刻、バターワースに戻り、さらに寝台列車でタイのバンコクへ1泊の列車旅。夕食は食堂車からボーイが各寝台のテーブル席まで注文を取りに来ます。飲み物はシンハービールにメコンウイスキーのミニボトルをオーダー。月明かりに照らし出される田園風景を眺めつつチビリチビリとディナーを楽しむのです。バナナの皮に包まれたチキンライスは日本のケチャップ味ではなく、ジャスミンライスの上に茹で鶏のスライスがのせられてナンプラー風味のチリソースが添えてあります。タイ庶民に愛される定番弁当らしいのですが、これまたおいしい! 列車の揺れも相まってウイスキーが効いてきたようです。車掌を呼んでベッドメイクしてもらい就寝。バンコクの中央駅ホアランポーンへ向けて、列車は夜通しひた走ります。
翌日のお楽しみはバックパッカーの聖地、バンコクのカオサン通りに並ぶ屋台料理。タイ料理は日本人の口に合いますね。
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