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コラム 三寒四温

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エビデンスと査読

新型コロナウイルス収束に向けて、今現在は第3波の感染拡大を抑えるべく政府の諮問委員会では専門家の意見を参考に議論が交わされています。Go Toトラベルをはじめとする経済復興支援策の一時中断や緊急事態宣言の発令に対する是非を問う様々な声がワイドショーでも連日取り上げられています。(※当コラム掲載号発行からまもなく、ご存知の通りGo To停止が決定しました)

そんなさなか、お気づきになった人も多いかと思いますが、ある日を境に担当大臣や内閣府の重要ポストを担う関係者が一様に「エビデンス」「査読」という言葉を必ず添えて国会答弁や記者へのコメントに臨むのが日常になりました。察するに、頭の切れる官僚が書いた “作文” がなにやら賢そうだからと飛びつき、こぞって回し読みでもしているのでしょう。

右にならえで異口同音を繰り返すのと、かたや「多目的トイレ」のスキャンダル謝罪会見を開いた某タレントが、芸能レポーターから同じ質問で繰り返し追及された際、「今は言えません」と実に23回返答した事が、何ら変わらないと感じたのは私だけでしょうか。むしろ沈黙を貫いて各方面への義理を果たした彼を慮ってしまいます。

欧州や米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。日本でも副作用がなく確実な効用が見込める状況での認可を待ち、一日でも早く全国民が接種できる事を願うばかりです。

「はやぶさ2」が放出したカプセル帰還という明るいニュースが重苦しい日々を和ませてくれました。カプセルの中身の精査結果は来年6月頃に行われるとか。地球、いや宇宙誕生の秘密を解き明かす大事なカギとなるのか、今からワクワクと待ち遠しい限りです。マクロとミクロ、どちらの謎にも人智を以て挑み、ウィズコロナという非日常からウィズアウトコロナの日常を勝ち取りたいものです。

そのためには、迅速な政府決定が不可欠でしょう。エビデンスのない風説が飛び交う中で “コロナ疲れ” の国民を惑わす態度はいただけません。「事態を注視」しているだけでは医療崩壊、ひいては経済崩壊は必至です。ただでさえ日本経済は逼迫していたのですから。

来年は人類がコロナに勝利したメモリアル・イヤーとなることを日々祈ります。

コオロギパン

赤坂の室町砂場は、そば好きの私がもっとも愛する一店であります。新そばはセイロに限りますね。そんな至高のセイロをいただく前に、赤坂砂場を訪れた際には家内と2人だけの楽しい儀式があります。店奥の畳の小上がりで小さな会席盆をはさんで熱燗を猪口で酌み交わし、焼海苔や板ワサ、旬の肴をつまむひととき。思わず笑みがこぼれます。満席の店内に響く、注文を調理場に告げる花番さの声が心地良い!

「おっと、そば屋で長居は無用」

てな訳で新そばの香りを楽しみつつセイロをたぐり、玄関口でお愛想。戸口を開いて表へ出れば師走のお月様が目に入ります。「今宵は新月」。お月さんを愛でながら家内と腕を組み、仲良くゆっくり帰りましょう。

そばといえば、そば粉のカンパーニュやバゲットを最近見かけないですね。そば粉のガレットを提供する店はあっても、そば粉のパンは全粒粉にとって変わられたのかな。私としては3割や5割配合でのそばの風味を生かしたパンが食べたいのであります。それにナッツ類やドライフルーツがたくさん入ったシュトーレンをつくるのは難しいでしょうか。まっ、私は技術者ではないので素人発言で申し訳ありませんが、コロナ禍での新しい食卓のあり方を考えるに、これもアリかな、と思うのです。巣ごもり生活で贅沢を控える消費者に向けて、内食・外食いずれも購買需要を活発化するアイデアで一歩踏み込んだ大胆な攻めの姿勢が求められます。

新型コロナウイルスの感染は再び拡大傾向にあり、依然として不確かな状況が続きます。笑い声の絶えない明るい食卓がある日常を過ごせる食のあり方を考えようではありませんか。

そんな中、12月1日に敷島製パン(Pasco)が、粉末にしたコオロギを練り込んだパンを新発売しました。2017年に昆虫食ブームに乗ってフィンランドで発売され好評だったコオロギパンが、ついに日本でも買える時代になりました。

同社HPによると、環境に優しい新たな栄養源として昆虫食が世界的に注目されている状況をふまえ、まずは通販にて期間限定発売といった所でしょうか。世界の食糧問題を解決する未来食として関心を集めそうです。ちなみにバゲットには100匹分のコオロギが入っているそうです。万人に受け入れられるまでに少々時間がかかるかもしれませんが、なんと今回の予定数は完売とのこと! 楽しくも頼もしい取り組みですね。

密なラーメン店

甲州街道の京王線笹塚駅近くからまっすぐ、ナベヨコ(鍋屋横丁)交差点で青梅街道を経て中野駅に通じる中野通りは私のライフロードです。この界隈には愛車の修理・車検を任せている正規ディーラーの工場や大型ホームセンターなどがあり、免許を取って車に乗り始めた学生時代から主要道路に出る抜け道としてよく通りました。路線バスも運行する人口密度の高い地域で、道沿いには昭和レトロな個人商店が住宅と共存して活気もまずまず、シャッターが下りっぱなしということもありません。全国区の知名度とは無縁ながらも、昔の面影を令和の時代にも色濃く残す、不思議な町並みといった風情です。

以前当コラムでも紹介した、中野通り沿いの美智子カレー。数十年間にわたって、店の前を走るたびに “いつか一度は” と素通りを続けているうちにデリバリー専門店となっていて、ミルクホールっぽいカウンター席だけの店内に入る事は叶いませんでした。なにせ店名が恐れ多いこと、さらには店頭に立てかけられた黄色いノボリに記された「私をお家に連れてって。」というキャッチコピーに軽く圧倒されたりと、少なからず躊躇していたかもしれません。想像だけが空回りしていました。

中野通りにはもう一軒、気になる店があります。かつて美智子カレーが店を構えていた場所のすぐそばにあるラーメン屋さん。ここも10年来にわたり、“?” 状態が続いています。店頭の駐車スペースには高級車がひしめき合うように並び、入口が開け放たれている店内は常に満席! いささかチグハグな印象を与える外観に対して、店内の雰囲気や料理の味は? そして大将のキャラクターは? やはり好奇心を掻き立てられます。

そしてついに1ヵ月ほど前のこと。平日のランチタイムを過ぎた頃合いで通りかかると1台分の空きスペースを発見し、思わず入店。店内はほぼ満員で一人客の私はカウンターに座って周りを見渡すや、驚きの光景が! 店主をはじめ3人の従業員はすべてノーマスクでアクリル板の仕切り板もない、まさに “密” です。入店した以上、とりあえず急いで食べて退店しようと慌ただしく注文。

天井から吊り下げられた2台のモニターを見やると、店頭の駐車スペースを映しています。なるほど、これで駐禁の不安を解消するわけですね。なんともマイペースな店の雰囲気を受け入れた常連客にしてみれば、たしかに変わりの効かない “名店” といえるのかもしれません。

やがて私のワンタンメンが、フィリピン系のノーマスク店員さんから「ヘイオマチ」と手渡されました。60代前半らしき店主もニコニコの笑顔、つまりノーマスクで鍋をふるっています。ともあれ実食。スープを一口すすると・・・

「オオッ、旨い。懐かしい味だ!」

黄金色に輝く魚介系のスープにプルンとした食感のワンタンと麺。はるか昔、学生時代にはどこにでもあった町中華の味です。今では若者が好む濃厚な “家系” や激辛の担々麺が人気ですが、この店は昭和世代の私たちが愛し、いつしか絶滅危惧種となった「醤油と味の素」のラーメンです(ナルトも入ってます!)。

粉もん料理はいいですね。特にラーメンは身も心もあたためてくれます。でもいくらおいしくても、密は駄目です。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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