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コラム 三寒四温

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ほどほど

米中露の動向が日々取りざたされますが、とりわけ印象深い首脳会談といえば2018年にウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」での中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の二人。会談後のひとときでシャンパングラスで乾杯した映像がズームアウトすると、二人の前に用意されていた山盛りのキャビアとイクラの大皿が現れました。軽く3kg超えと思われる豪華絢爛さに目が釘付けです。そして二人はロシア風クレープの “ブリヌイ” を焼き、なんとキャビアとイクラをたっぷりと生地に包み込んで口にしたのです。あー、いいなぁと思った瞬間、過去の思い出がよぎりました。
 
20年ほど前に、とある大企業主催のパーティーに参加したときのことです。1㎏はあるだろうと思われるベルーガの特大キャビア缶がパーティーテーブルに置かれているのを発見。すかさず私はその前にスーッと歩み寄り挨拶を聞いていたのですが、乾杯の音頭が取られるや否や、小皿にいっぱいにキャビアを取ってクラッカーにのせて頬張り、シャンパンで流し込むように食べたのです。家内はキャビアより寿司が好みでシャンパン片手にレセプションを楽しんでいましたが、「あなた大丈夫?」と少々呆れつつも気遣ってくれました。しかし帰宅後の晩、頭がズキズキと痛くボーッとしてきたので、家内に連れられて近所の病院の夜間診療へ。なんと200超えの高血圧が判明、即入院となりました。キャビアは塩分が高いので気を付けなければなりません。何事も「ほどほど」がよろしいようで、ひとつ勉強になりました。

あの日、キャビアを頬張った両首脳の血圧は大丈夫だったのか、他人事ながら心配させる映像を見て我が身の恥ずかしい過去が思い出された時、家内は出かけていて不在だったのがせめてもの救いでした。隣で見ていたら、当時の失態を責められていた事でしょう。

胃がんで全摘出手術を受けて5年が過ぎました。直近となるこの2年間はコロナ禍でレセプションパーティーはありませんが、術後は以前のような暴飲暴食を控え無茶な食生活とは無縁です。おかげで少々オーバー気味ながら適正体重を保っています。怪我の功名に感謝です。

「ありがとう」と「あたりまえ」

プラスチックごみによる海洋汚染は深刻な問題ですね。TVニュースでは魚の内臓に留まる大量のプラ廃棄物が消化されずに死に至る悲惨な映像が流れ、目を背けたくなります。かつてはペットボトルを丸飲みするような事態が懸念されていましたが、最近では海流に漂いながら微細化しミクロの粒子となったゴミ(クッション材などで用いられているマイクロビーズも問題となっているようです)を小魚が食べ、それを中型魚、大型魚が捕食している事実!

私はうるめイワシの丸干しや塩焼きサンマのハラワタが特に好物で、あの苦味は盃を重ねる旨さであります。しかし待てよ、内臓に留まったプラゴミは海洋内の食物連鎖サイクルに入り込み隠れ潜んでいるかもしれません。それらは直接目にすることはなくとも、知らぬうちに食して人間の体に取り込まれていても不思議ではないのです。先週、デパ地下で買い求めたイワシの丸干しで燗酒を楽しみましたが、これからは気を付けなくてはなりません。

コロナ禍で新しい日常を生かされている私たちは、これまでの「当たり前」が変容している今こそ、何が当たり前なのかを改めて考える必要がある気がしてきました。なぜって? それは、「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」だからです。これは最近観たTVドラマの、とあるワンシーンで感銘を受けたフレーズです。マスクをする日々は当たり前、マスクが外せる生活に戻れば「ありがとう」です。

なるほど! そう考えると、長年の食習慣だったイワシの丸干しや塩焼きサンマの内臓をおいしくいただくという「あたりまえ」の日常が失われてしまったように、新型コロナウイルス以外にも人間の生命を蝕む摂理はそこかしこに潜んでいるのです。それらは全て「ありがとう」を忘れて人間が自分本位に生活してきた結果なのです。

本コラムの主旨でいえばスリランカ沖海難事故の被害状況が心配ですが、困ったことに尚の事気がかりなのは日々のニュースを賑わす、2つの大国の動向です。コロナ禍であっても、民主主義のもとに生かされている私達の幸せな、人としての特権の自由な日常だけは損なわれることのないよう、平和である事を望みます。

猫まんま

先日見たTVCM。
茶碗に盛られた、炊き立ての熱々ご飯に鰹節をかけるCM映像に添えられたナレーションは、「舞いを愛でて食す」。ご飯にパラパラとかけられた鰹節は確かに舞っているかのようですね。お好み焼きも同様です。でも5~6秒もすると鰹節はすべてへなってしまいます。

活きアワビの踊り焼きも最初は熱さに身もだえして踊っている、舞っているという表現の通りですが、火が入ってくると鰹節同様にへなります。船盛りにされた鮮魚の活き造りは内臓を傷つけずにさばくので刺身になっても口はパクパク、ヒレもピチピチと元気です。活イカの刺盛なら、醬油をつけて口に入れると吸盤が口中にゆるく貼り付きます。これを残酷だなーと思うのは一時で、そのパフォーマンスとおいしい食感ゆえに活け造りは圧倒的に支持されているんですね。

鮮度を保ち産地から届けるために物流はさまざまな進化を遂げました。日本全国、そして世界各地から送る途中に起こる温度変化や振動といったストレスを極力排除し、種類によっては失神させたり神経を抜くなどの工夫も凝らして消費者へ届けられます。しかし未曾有のコロナ禍でレストラン、料理店などは休業や時短、酒類の提供自粛などで物流網が寸断されています。ステイホームを合言葉に頑張ってはいますが、人も街も機能停止が長引くほど日本の経済は疲弊していきます。

オリパラ開催まで2ヵ月を切りました。ようやく進捗しはじめたワクチン接種の一方で目まぐるしく変容する変異株のさらなる流入があった際、効果は期待できるのでしょうか。我々人類への試練は現在、MAXが近づいているのかもしれません。

しかし、越えられない試練はありません。限界寸前の今だからこそ、絶対に収束させようという人智への希望、努力を信じたいものです。国境や人種を超えて連帯し乗り越えられた時、皆が一丸となれた良き試練だったと後世に受け継がれる事でしょう。

私はおかか飯、いわゆる猫まんま(今日び、本当にネコにあげるのはご法度です!)が大好物です。炊き立てのご飯に鰹節をのせ、醤油を回しかけてかっ込む! コンビニのおにぎりは鰹節と決めていますし、台所には木屋の鰹節削り器と本節が常備品という、愛してやまない鰹節愛があります。

昨夜はスーパームーンの月食を楽しみにしていたのですが、あいにくの曇天でTV越しにニュース映像で確認しました。次回の月食は14年後とのこと。力強く回復した健康と経済のもと、猫まんまを食しながら観賞したいですね。

弊社社長 菅田耕司のコラム


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