つなぐバトン
新型コロナとの戦いの中、パラリンピックが始まりました。障がいを乗り越えてがんばる姿は感動そのものです。かく言う私も歩行障害3級の手帳を持つ一人として、IPCが唱えるパラリンピックの人権運動――世界人口の15%の人々が何らかの障がいを持っている「We the 15」――に共感することが多く、TV画面に連日釘付けとなっています。
感動を呼ぶ熱戦とは対照的な問題もあります。地球規模の異常気象により農産物の生育に甚大な被害を及ぼし、コロナ禍という特殊な事情も重なって諸原材料の生産不足による高騰が全世界に広がり、二次加工品の値上がりも多発しています。住宅用の建設木材の高騰、いわゆるウッドショックは記憶に新しいですね。米国や欧州諸国のロックダウン解除後の需要拡大、輸送コンテナ不足が相まって一時的に日本向けの原木輸入がひっ迫しました。
厳しい状況は食品業界にも及んでいます。主原料となる麦や大豆などの絶対量が不足して、和洋菓子や製パンが今までにない大幅値上げを余儀なくされています。鶏卵、小麦、油脂、電気、物流、そして人件費の値上げ等々。コロナ禍による非日常の事態に世界はワクチンの争奪に躍起となり、はたまた政治の不透明感をマスコミが煽り、パンデミックを引き起こしかねないプロパガンダが横行していますが、少し冷静になりましょう。原材料の値上げが商品価格に与える影響は一時的な要因とも考えられる可能性も高いのです。
地球温暖化抑制に向けた「温室効果ガス」の排出削減策は各国の取り組みにより着実に進められています。陸海であらゆる生態系に害をもたらすプラスチック材からリサイクルの効く容器に移行する企業努力や、食品ロス抑制をふまえた法整備など、政・官・民が一体となって少しずつでも意識を変えていきたいものです。
ネガティブにニューノーマルを過ごすのではなく、パラリンピアンのように力強くしなやかに逆境を受け入れ克服するマインドをお手本に、世代から世代へとバトンをつなぎたいものです。
●●●●●●●●●