インベスト・イン・キシダ
いささか遅きに失した感が否めませんが、食料安全保障の強化策を自民党が取りまとめました。これは原材料価格高騰対策において輸入に頼ってきた小麦、大豆、トウモロコシ等の穀物についての国産増強が主題です。しかし令和2年度カロリーベースでの日本の食料自給率は37%と継続して低水準です。
新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ情勢等で小麦や原油の安定調達が見込めないことを受けて、政府が重い腰を上げて農林・水産関係の予算拡充を決定、前述の対策本部新設の運びとなりましたが、自給率は一朝一夕で結果を出せるものではありません。政府目標は2030年の食料自給率はカロリーベースで45%としていますが、逆算して考えればとても楽観できる数字ではありません。
最近では牛乳の余剰生産分廃棄解消に向けて需要喚起を訴え酪農業を守ったニュースが耳に新しいですが、過去には過剰生産により価格が暴落、生産者は乳牛の殺処分する事態もありました。結局翌年には需要が回復、一転して原乳不足となった顛末は笑い話にもなりません。仔牛が乳を出すまでの年月を知らぬ訳もなく、せめて政府と生産者の連携で海外向けにロングライフの粉ミルク生産に注力・寄付といった工夫・配慮が欲しかったです。そして、政府はすべての食料生産者への影響を少しでも和らげるような仕組みを策定し、原材料の国内生産増強と調達方法の多様化という原点に立ち返った食料安保となって欲しいと願っています。
弊社は二十数年前、政府備蓄の余剰古米・古古米を使った新規アイデア商品を開発する農水省のプロダクトに協力しました。炊いたコメを生地に練り込んだ食パンや、米粉使用のパンや洋菓子など、時を経た現代でも十分通用するものです。本格生産となるとまだまだコストが割高になってしまいますが、共同で携わった製粉・製パン各社の確かな技術力には感服しました。こうした蓄積に今一度光を当て、食料自給率向上の追い風となるような取り組みができればいいのですが。
岸田総理は我が国の経済施策を “新しい資本主義” として首相みずからの名を冠して各国に売り込んでいます。ダウ平均株価が記録的な下落を続ける中、日本の経済、株価は安定を保っています。日本は強い! 日本の製パン業界の明日も明るい! そういう事です。
●●●●●●●●●●●●●●●